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面白さと寂しさが交錯する2作目 アルモニカ・ディアボリカの感想

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

 

前作 開かせていただき光栄です から5年後の1775年 英国。解剖学教室から姿を消したエドとナイジェルに思いを馳せつつ、精力的に活動する、元<バートンズ>。

しかし、とある屍体をきっかけに、仲間とショッキングな再会を果たすことに……

ナイジェルの過去にスポットをあてる、シリーズ2作目 アルモニカ・ディアボリカ。恐るべき精神病棟や秘密結社など、複雑に絡み合った因縁が、立ちはだかります。

 

アルモニカ・ディアボリカ
アルモニカ・ディアボリカ
 

 

 

アルモニカ・ディアボリカ あらすじ

1775年英国。

愛弟子のエド、ナイジェルを失った解剖医ダニエル。その弟子、アルたち<バートンズ>は盲目の判事の要請で犯罪防止のための新聞を作っていた。

ある日、オックスフォード郊外で天使のごとく美しい屍体が発見され、その胸には〈ベツレヘムの子よ、よみがえれ! アルモニカ・ディアボリカ〉と謎の暗号が。それは彼らのかつての仲間、ナイジェルの過去へとつながっていて……

 

 

著者 皆川 博子氏と、エドワード・ターナー三部作について

幻想的な世界観の作品を次々に生み出してきた、皆川博子氏。

御年90を超えてもまだまだ現役、日本を代表するレジェンド作家のおひとりです。

以下に著書の一部をご紹介。※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ。

 

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)
みだら英泉 (河出文庫)
双頭のバビロン 上 (創元推理文庫)
花闇 (河出文庫)
死の泉
薔薇忌

 

エドワード・ターナー三部作は皆川博子さんの以下3作品をまとめた総称。

18世紀ロンドン。外科医ダニエル・バートンと、その解剖教室の5人の弟子<バートンズ>、盲目の治安判事ジョン・フィールディングスの活躍を描いた、科学と迷信が交錯する幻想歴史ミステリーです。

 

開かせていただき光栄です
アルモニカ・ディアボリカ
インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

 

 

アルモニカ・ディアボリカ 感想

あの<バートンズ>が帰ってきた!

管理人わんこたんは、バートンズ再集結という希望を密かに胸に抱きながら読み進めていたのですが、その結末は……

 

CAUTION!

以下、アルモニカ・ディアボリカの読了を前提とした記事になります。未読の方はご注意ください。

 

ナイジェルへの印象がかわる、2作目

1作目 開かせていただき光栄です は、バートンズの秀才、エドワードが奸計をめぐらせ、愛する恩師と解剖教室を守りつつ、悪人に裁きを下す、物語でした。

首謀者のエドと、共犯者のナイジェルは、法の裁きを逃れる代わりに責任をとって解剖教室から去っていきます。

この時は、エドワードがリーダーで、ナイジェルはエドに協力していた、という印象でした。

 

ところが2作目 アルモニカ・ディアボリカを読むと、その印象が一変。

ナイジェルの才能が次第に明らかになり、実は1作目からナイジェルが、エドやその他の人々をうまいこと操っていたのでは?と思いたくなるような展開に。

もちろん、そこには友情と義憤あってのことかもしれませんが、自分が望むようにエドを変えていった、ナイジェルの底知れない能力と、精神病棟で負った心の深い闇が、胸にせまります。

ナイジェルの出生、1作目で登場した薔薇亭でナイジェルが働いていた経緯、なども明らかになり、いろいろと腑に落ちるので、1作目でナイジェルのことが気になった方は、2作目 アルモニカ・ディアボリカをぜひぜひ読んでみてほしいなと思います。

 

正直、物語がかなりややこしい

アルモニカ・ディアボリカ、面白いんですが、登場人物が多く関係性も入り組んでいて、かなりややこしい。

とにかく、いろんな要素が盛りだくさんなんです。

  • フランクリン・ベンジャミン博士による電気を操る新技術
  • 人生を翻弄される、エスター、アンディ、レイ・ブルース、ケイト
  • 当時の精神病院(ベドラム)での悲惨な環境とナイジェルの生い立ち
  • 新大陸(アメリカ)の動向だったり

さらに、様々な謎・伏線が提示されるのですが、これらが終盤にまとめて、ジョン・フィールディングス判事の長説明で片付けられてしまうので、ちょっと詰めこみ感が強いのが残念でした。

前作が「解剖」という話題を主軸に物語を展開していたのに対し、話題がとっ散らかってしまった印象です。

 

三部作の登場人物 解説します

エドワード・ターナー三部作の登場人物などを解説しています。読みながら、これ誰だっけ?状態になってしまった方は、こちらの記事を併せてどうぞ。

ついに完結 エドワード・ターナー三部作の登場人物解説と感想 - わんこたんと栞の森

 

法の限界と、ジョン・フィールディングス判事の悔恨

1775年当時の英国は、法治国家とは名ばかりの、賄賂と買収が横行し、弱いものが搾取され、豊めるものが、のさばる国だったようです。

正義を重んじる、ジョン・フィールディングス判事(実在の人物です)は、正しく法が庶民の味方になるよう尽力していましたが、やはり限界が……

法は権力者に対してはか細い蜘蛛の糸であり、無力なものには鋼鉄の鎖だ

1作目から一貫するこのテーマが、重くのしかかります。現代を生きる私たちこそ、忘れてはならぬテーマだなあとも思います。

 

結末がやるせない

アルモニカ・ディアボリカの結末、本当にやるせなくて。

前半でナイジェルが亡くなってしまう(亡くなっていた)というだけでもショックなのに、最後はエド、クラレンスともお別れ。ベドラムからディーフェンベイカー氏が出所できたことが唯一の救いですが、氏も、アンディたちとは再会できず。

 

判事 サー・ジョンの「エド、クラレンス。帰ってこい、必ず。」という言葉が切ない。

この結末に、ダニエル先生は何を思うのでしょう。最後は先生のセリフが欲しかったなあ。

 

さて、エドとクラレンスは新大陸から帰ってこられるのでしょうか。バートンズはまたイギリスで再会できるのでしょうか。

なんて一縷の望みをかけて、3部作の最終章、インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナーを読んだのですが……はぁ……

 

読者の望む結末ではないかもしれないですが、アルモニカ・ディアボリカまで読んだあなたにはぜひ、最終作 インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナーを読んで、エドとクラレンスの生きざまを見届けてほしいなあと思います。

あ、ミステリーとしては大変面白いし、胸が熱くなりますので、そこはご心配なく!

 

インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー
インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー エドワード・ターナー三部作 (ハヤカワ文庫JA)
 

 

 

 

 

アルモニカ・ディアボリカの次に読みたい おすすめ作品

次に読みたいおすすめ書籍をまとめました。われらが解剖教室「バートンズ」つながりで、英国うまれのミステリー2作品!

 

ストーンサークルの殺人 /M W クレイヴン

 

凸凹バディが事件を追う!

英国カンブリア州のストーンサークルで次々と発見される焼死体。

故あって停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーと、オタクで変わり者、だけど超優秀な分析官、ブラッドショーのコンビが事件に挑む!

読み始めたら最後、ページをどんどんめくりたくなること請け合いの、人気ミステリーシリーズ1作目です。

 

ストーンサークルの殺人
ストーンサークルの殺人
 

 

感想記事はこちら▶︎ポーとブラッドショーのコンビが最高! ストーンサークルの殺人 感想 - わんこたんと栞の森

 

そして誰もいなくなった /アガサ・クリスティー

 

イギリスのミステリーといえば

レジェンド女流作家つながりで、アガサ・クリスティーの代表作をご紹介。有名だけど、意外とまだ読めてなかった!という方は、レッツチャレンジ!

衝撃的なタイトルは、中身を裏切りません。

 

そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
 

 

感想記事はこちら▶︎ミステリー好き必読! そして誰もいなくなった ネタバレなし解説  - わんこたんと栞の森

 

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