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ミステリー好き必読の1冊!「そして誰もいなくなった」感想と解説 

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

吹雪の山荘に、鍵のかかった地下室に、あるいは絶海の孤島に閉じ込められて、、、そんなミステリー作品を誰しも一度は読んだことがあるのではないでしょうか。
この記事ではそんな「クローズドサークルもの」を世に広めた元祖、ともいえる作品「そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティー」の感想を語ります。
 
Kindle版では、 1976年4月刊行時の装丁の復刻版(以下)があしらわれています。
そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
 

 

そして誰もいなくなった あらすじ

イギリス デヴォン州。孤島の邸宅に招待された10人の客人。彼らは全員「ある秘密」を抱えていた。

客室に飾られた童謡の詞をなぞるように、ひとり、そしてまたひとりと亡くなる客人たち。犯人はいったい誰?

 

  • 著者:アガサ・クリスティー
  • 翻訳:青木 久恵
  • 発売:早川書房 (作品の発表は1939年)
  • Kindle Unlimited:対象外
  • Audible(聴く読書):聴き放題対象
    5分間のサンプル音声の試聴はこちらから(リンク先で▶サンプルを押下)

 

冒頭にアガサクリスティの孫、マシュー・プリチャード氏の解説が掲載されていますが、これが結構なストーリーのネタバレで、、、飛ばして本編から読むのがおすすめです。

 

著者 アガサ・クリスティー氏について

言わずと知れたミステリーの女王。特に有名な作品を以下に並べました。

「そして誰もいなくなった」には登場しませんが、エルキュール・ポアロやミス・マープルといった有名探偵たちの生みの親でもあります。

 

後世の多くのミステリー作品に影響を与え、映像化された作品も多数。小説を読んだことはなくとも、映像版を観たことがある!という方も多いのではないでしょうか。

 

かくいう管理人わんこたんも、アガサ・クリスティー作品を読むのは、「そして誰もいなくなった」が初めて。あまりにもおもしろかったので、他の作品も早く読みたい!

 

※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプします。

アクロイド殺し
オリエント急行の殺人
ABC殺人事件

 

影響を受けた(であろう)作品

日本で「新本格ミステリムーブメント」を巻き起こした傑作、十角館の殺人。

脱出不可能な孤島の別荘に閉じ込められた登場人物たち。警察の登場タイミングや海に投げ込まれる○○など、「そして誰もいなくなった」との相似形を感じることができます。

 

一方で、本土側の登場人物パートがある、などの相違点も。その結末は、、、

「そして誰もいなくなった」とセットで読みたい一冊。ネタバレを見ないでお楽しみくださいね

 

十角館の殺人〈新装改訂版〉
 

 

十角館の殺人 感想記事はこちら(微ネタバレ注意)

 

そして誰もいなくなった 感想

「そして誰もいなくなった」

わんこたんにとっての初アガサ・クリスティーでしたが、もう面白くて一気読み。

以下に感想と解説をまとめました。

 

登場人物を覚えるのが大変だったけど、、、

「そして誰もいなくなった」では、最初に館への招待客10人の来訪理由が順番に紹介されます。全員カタカナ名なので、覚えるのに苦労しましたが、、、

 

名前さえ覚えてしまえば、スリリングな展開にページが止まらなくなること間違いなし!

特に途中で描かれる登場人物の「心のセリフ」。どのセリフが誰のものか隠してあるので、誰が犯人なのか?と、読者の緊張感が高まる演出がにくいですね。

 

ストーリーの進行につれて、各登場人物の仄暗い過去が明らかに。緊張感を保ったままラストまで展開する構成に唸ります。

 

昔は違うタイトルだった?

1939年発表当時のタイトルはTen Little Niggers。

これが差別的な表現であったため、1940年に今のタイトルAnd Then There Were Noneに改題されています。

 

結末の展開をタイトルで盛大にネタバレしているのに、読むとめちゃくちゃ面白い、というのが作品の構成の素晴らしさを表していますよね。その日本語版の「そして誰もいなくなった」も本当に名訳!

 

差別をきっかけにした改題でしたが、結果的に素晴らしいタイトルがつけられる結果になりました。

 

読み返せばわかる!犯人につながる違和感

冒頭、10人の登場人物が次々に描かれ、どういった経緯で兵隊島に招待されたのかが明かされます。当然ながら、犯人だけはその「招待」自体がニセモノなのですが、巧妙に書かれているため、初見では気づけませんでした。

読み返すと、おお!となること請け合い。

 

モデルとなった島 バー・アイランド

美しいバーアイランドの浜辺 「桐原晴子のハーブダイアリー」様より引用

「そして誰もいなくなった」の舞台のモデルとされているのが、イギリスのバー島(バーフ島)。小説とは違い、干潮になれば本土まで歩いていけます。

 

観光地でもあり、絶景を楽しむことも。島にはホテルもあり、「そして誰もいなくなった」の世界観を楽しめそうです。

 

参考:イギリス・バーアイランドホテル - 桐原春子の ハーブダイアリー

こちらの記事では、バーアイランドホテルの美しい写真をたくさん見ることができます。

(写真掲載をお許しいただきありがとうございました!)

 

そして誰もいなくなった 登場人物

孤島に集められた10人と、その周辺人物についてまとめました。

 

孤島に集められた10人
  • ロレンス・ウォーグレイヴ 元判事

  • ヴェラ・クレイソーン 体育教師

  • フィリップ・ロンバード 元陸軍大尉

  • エミリー・ブレント 老婦人

  • ジョン・マッカーサー退役将軍

  • エドワード・アームストロング 医師

  • アンソニー・マーストン 青年

  • ウィリアム・ブロア 元警部

  • トマス・ロジャーズ 執事

  • エセル 執事の妻

 

ロレンス・ウォーグレイヴ(招待客①)

コンスタンス・カルミントンという女性からの誘いの手紙を手に、「兵隊島」を訪れます。判事時代に、無罪の青年に死刑判決をくだした、との噂あり。

 

ヴェラ・クレイソーン(招待客②)

オーエンと名乗る人物から、秘書の仕事を依頼され「兵隊島」に向かいます。家庭教師時代に、不慮の事故で教え子を失っているようですが、、、

 

フィリップ・ロンバード(招待客③)

アイザック・モリスという男から、報酬100ギニーの代わりに兵隊島に行くよう、指示されます。当時の100ギニーのレートは、はっきりとは不明ですが、50万~200万円くらいのようです。これはいかざるをえない。

 

エミリー・ブレント(招待客④)

数年前に知り合った婦人(?)からの、夏休みを兵隊島で過ごさないか、との招待状によって、兵隊島に招かれます。

 

ジョン・マッカーサー(招待客⑤)

オーエンと名乗る人物からの招待状を手に島へ。招待状には、退役軍人であるマッカーサー氏の古い友人が何人か参加する、かのように書かれていましたが、、、

 

エドワード・アームストロング(招待客⑥)

多くの患者を抱える売れっ子の医者。オーエンと名乗る人物から「神経の敏感な妻を診てほしい」という依頼を受け、島を訪れます。酒による後ろめたい過去がある様子。

 

アンソニー・マーストン(招待客⑦)

スポーツカーで颯爽と登場する青年。

 

ウィリアム・ブロア(招待客⑧)

元警部、という素性を隠し、南アフリカの植民地出身を名乗る人物。秘密の依頼を受け、館を訪れたようですが、、、

 

トマス・ロジャーズ 執事 とその妻エセル(招待客⑨⑩)

館の主、オーエン氏に雇われた執事夫婦。しかし、雇われたのはほんの数日前で、オーエン氏に会ったこともない様子。

 

フレッド・ナラコット

招待客たちをボートで島に運んだ船乗り。

 

「そして誰もいなくなった」まとめ

クローズドサークルミステリ、見立て殺人ものの元祖であり、今なお世界中で愛される名作「そして誰もいなくなった」。

ミステリー好きには外せないこの1冊、ぜひ多くの人に読んでもらえたら嬉しいです。

 

そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
 

 

「そして誰もいなくなった」の次に読みたい 他のおすすめ作品

とまらないミステリー あります

読み始めたらとまらない小説を大集合!ミステリー作品多めです。

わんこたんの一押しは「黒牢城/米澤穂信」!戦国時代を舞台にした歴史もの、なのに、密室ミステリのようなシーンが登場。歴史×ミステリに酔いしれて。

 

黒牢城
 

 

硝子の塔の殺人/知念実希人

そして誰もいなくなったが「元祖」なら、その最終進化系、ともいえるのがこの作品かも。

美しい硝子の塔で巻き起こる惨劇。ミステリのおいしいところ特盛の豪華絢爛な一冊です。

 

硝子の塔の殺人
 

 

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