この記事ではそんな「クローズドサークルもの」を世に広めた元祖、ともいえる作品そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティーの感想を語ります。
そして誰もいなくなった あらすじ
イギリス デヴォン州。孤島の邸宅に招待された10人の客人。彼らは全員「ある秘密」を抱えていた。
客室に飾られた童謡の詞をなぞるように、ひとり、そしてまたひとりと亡くなる客人たち。犯人はいったい誰?
- 著者:アガサ・クリスティー
- 翻訳:青木 久恵
- 発売:早川書房 (作品の発表は1939年)
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):聴き放題対象
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冒頭にアガサクリスティの孫、マシュー・プリチャード氏の解説が掲載されていますが、これが結構なストーリーのネタバレで、、、飛ばして本編から読むのがおすすめです。
著者 アガサ・クリスティー氏について
言わずと知れたミステリーの女王。特に有名な作品を以下に並べました。
「そして誰もいなくなった」には登場しませんが、エルキュール・ポアロやミス・マープルといった有名探偵たちの生みの親でもあります。
後世の多くのミステリー作品に影響を与え、映像化された作品も多数。小説を読んだことはなくとも、映像版を観たことがある!という方も多いのではないでしょうか。
かくいう管理人わんこたんも、アガサ・クリスティー作品を読むのは、そして誰もいなくなったが初めて。あまりにもおもしろかったので、他の作品も早く読みたい!
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影響を受けた(であろう)作品
日本で「新本格ミステリムーブメント」を巻き起こした傑作、十角館の殺人。
脱出不可能な孤島の別荘に閉じ込められた登場人物たち。警察の登場タイミングや海に投げ込まれる○○など、「そして誰もいなくなった」との相似形を感じることができます。
一方で、本土側の登場人物パートがある、などの相違点も。その結末は、、、
そして誰もいなくなったとセットで読みたい一冊。ネタバレを見ないでお楽しみくださいね
ネタバレありの記事です。ご注意ください。
▶新本格ミステリーの代表作「十角館の殺人」の感想と思い出 - わんこたんと栞の森
そして誰もいなくなった 感想
そして誰もいなくなったは、わんこたんにとっての初アガサ・クリスティーでしたが、もう面白くて一気読み。
以下に感想と解説をまとめました。
登場人物を覚えるのが大変だったけど、、、
そして誰もいなくなったでは、最初に館への招待客10人の来訪理由が順番に紹介されます。全員カタカナ名なので、覚えるのに苦労しましたが、、、
名前さえ覚えられれば、スリリングな展開にページが止まらなくなること間違いなし!
特に途中で描かれる登場人物の「心のセリフ」。どのセリフが誰のものか隠してあるので、誰が犯人なのか?と、緊張感が高まる演出がにくいですね。
ストーリーの進行につれて、各登場人物の仄暗い過去が明らかに。緊張感を保ったままラストまで展開する構成に唸ります。
昔は違うタイトルだった?
1939年発表当時のタイトルはTen Little Niggers。
これが差別的な表現であったため、1940年に今のタイトルAnd Then There Were Noneに改題されています。
結末の展開をタイトルで盛大にネタバレしているのに、読むとめちゃくちゃ面白い、というのが作品の構成の素晴らしさを表していますよね。その日本語タイトルの「そして誰もいなくなった」も本当に名訳!
差別をきっかけにした改題でしたが、結果的に素晴らしいタイトルがつけられる結果になりました。
読み返せばわかる!犯人につながる違和感
冒頭、10人の登場人物が次々に描かれ、どういった経緯で兵隊島に招待されたのかが明かされます。当然ながら、犯人だけはその「招待」自体がニセモノなのですが、巧妙に書かれているため、初見では気づけませんでした。
読み返すと、おお!となること請け合い。
モデルとなった島 バー・アイランド
「そして誰もいなくなった」の舞台のモデルとされているのが、イギリスのバー島(バーフ島)。小説とは違い、干潮になれば本土まで歩いていけます。
観光地でもあり、絶景を楽しむことも。島にはホテルもあり、「そして誰もいなくなった」の世界観を楽しめそうです。
参考:イギリス・バーアイランドホテル - 桐原春子の ハーブダイアリー
こちらの記事では、バーアイランドホテルの美しい写真をたくさん見ることができます。
(写真掲載をお許しいただきありがとうございました!)
そして誰もいなくなった 登場人物
孤島に集められた10人と、その周辺人物についてまとめました。
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ロレンス・ウォーグレイヴ 元判事
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ヴェラ・クレイソーン 体育教師
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フィリップ・ロンバード 元陸軍大尉
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エミリー・ブレント 老婦人
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ジョン・マッカーサー退役将軍
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エドワード・アームストロング 医師
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アンソニー・マーストン 青年
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ウィリアム・ブロア 元警部
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トマス・ロジャーズ 執事
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エセル 執事の妻
ロレンス・ウォーグレイヴ(招待客①)
コンスタンス・カルミントンという女性からの誘いの手紙を手に、「兵隊島」を訪れます。判事時代に、無罪の青年に死刑判決をくだした、との噂あり。
ヴェラ・クレイソーン(招待客②)
オーエンと名乗る人物から、秘書の仕事を依頼され「兵隊島」に向かいます。家庭教師時代に、不慮の事故で教え子を失っているようですが、、、
フィリップ・ロンバード(招待客③)
アイザック・モリスという男から、報酬100ギニーの代わりに兵隊島に行くよう、指示されます。当時の100ギニーのレートは、はっきりとは不明ですが、50万~200万円くらいのようです。これはいかざるをえない。
エミリー・ブレント(招待客④)
数年前に知り合った婦人(?)からの、夏休みを兵隊島で過ごさないか、との招待状によって、兵隊島に招かれます。
ジョン・マッカーサー(招待客⑤)
オーエンと名乗る人物からの招待状を手に島へ。招待状には、退役軍人であるマッカーサー氏の古い友人が何人か参加する、かのように書かれていましたが、、、
エドワード・アームストロング(招待客⑥)
多くの患者を抱える売れっ子の医者。オーエンと名乗る人物から「神経の敏感な妻を診てほしい」という依頼を受け、島を訪れます。酒による後ろめたい過去がある様子。
アンソニー・マーストン(招待客⑦)
スポーツカーで颯爽と登場する青年。
ウィリアム・ブロア(招待客⑧)
元警部、という素性を隠し、南アフリカの植民地出身を名乗る人物。秘密の依頼を受け、館を訪れたようですが、、、
トマス・ロジャーズ 執事 とその妻エセル(招待客⑨⑩)
館の主、オーエン氏に雇われた執事夫婦。しかし、雇われたのはほんの数日前で、オーエン氏に会ったこともない様子。
フレッド・ナラコット
招待客たちをボートで島に運んだ船乗り。
そして誰もいなくなった まとめ
クローズドサークルミステリ、見立て殺人ものの元祖であり、今なお世界中で愛される名作そして誰もいなくなった。
ミステリー好きには外せないこの1冊、ぜひ多くの人に読んでもらえたら嬉しいです。
「そして誰もいなくなった」の次に読みたい 他のおすすめ作品
そして誰もいなくなった、のような、おすすめミステリー作品を集めました。
読み始めたらとまらない小説を大集合!ミステリー作品多めです。
わんこたんの一押しは「黒牢城/米澤穂信」!戦国時代を舞台にした歴史もの、なのに、密室ミステリのようなシーンが登場。歴史×ミステリに酔いしれて。
そして誰もいなくなったが「元祖」なら、その最終進化系、ともいえるのがこの作品かも。
美しい硝子の塔で巻き起こる惨劇。ミステリのおいしいところ特盛の豪華絢爛な一冊です。
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