
これは芝居か?それとも現実の殺人事件か?孤立した山荘で1人ずつ消えていく劇団員たち。驚愕の結末が待つ、ある閉ざされた雪の山荘で/東野圭吾 の感想を書きました。あなたは「視点」の罠を見破れるか?
ある閉ざされた雪の山荘で あらすじ
雪に閉ざされた<設定:山荘>に、集められた7人の役者。
速達で届く演出家からの指示。
消える仲間、現れる<設定:死体>と、<設定:凶器>。
逃げだそうものなら、オーディション合格もご破算に。
どうする?どうなる?<設定>だらけの演劇ミステリ、開幕!
- 著者:東野 圭吾 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:講談社 1996/01/11
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
ドラマ化もされており、Prime Video や Hulu で配信中!
著者 東野 圭吾氏について
デビュー作は、1985年に第31回江戸川乱歩賞を受賞した 放課後。誰もが知る、日本を代表する作家のおひとりです。2006年には 容疑者Xの献身 で直木賞受賞。
文字書籍だけでなく、Audible限定配信の朗読ミステリー 誰かが私を殺した を発表するなど、様々な形の作品を生み出し続けています。
加賀恭一郎シリーズの最新刊ですが、この作品単体で読んでも(聴いても)大丈夫。3時間弱でサクッと楽しめる、聴くサスペンスドラマのような作品に仕上がっています。
以下に著作の一部を並べました(書影クリックでAmazonのページにジャンプ)。
ある閉ざされた雪の山荘で 感想
なんとなく読めてなかったんです。東野圭吾作品。
- 読めばおもしろいのはわかっている
- でも大人気作家だし
- みんな読んでるし
- 私がいまさら読まなくてもいいよね(←?)
という謎の抵抗感があって。10年以上前に 容疑者Xの献身 を読みましたが、その後なんとなく距離を置いていた作家さんです。
でもXでフォロワーさんから ある閉ざされた雪の山荘で をお薦めいただいたので、せっかくの機会だし購入。
そしたら帯にこんなことが書かれていました。

「今さら東野圭吾かあ」と、なんとなく読むのをためらっていた自分を見透かされているようで、怖かったです笑
で、読んだらね、やっぱりおもしろいの。もう悔しいくらいに。
まずとにかく読みやすい
読み始めてすぐに実感。東野圭吾作品って異常なほど読みやすいんですよね。
- 劇団員の男女7人が「東郷先生」の指示でペンションを訪れる
- しかし聞いていた話とは違い、ペンションに先生はやってこない
- 先生から速達で指示がとどき、ペンションで役を演じながら4日間過ごす必要に迫られる
- ペンションには不穏な内容のミステリー小説が人数分置かれ、これからの展開を予感させる
上記を読者にすんなり理解させつつ、7人のメンバーの人物像やペンションの雰囲気をセリフなどで補強する。これを開始20ページでさらりとやってのけるんですよね。
わかりやすさだけが小説の魅力ではないですが、読者を物語の世界に誘う動線があまりにもスムーズで、まず感動しました。
2つの視点を行き来する構成が楽しい
物語は、7人の劇団員の1人、久我和幸からみた視点と、いわゆる「神の視点」の2つを行き来しながら進行します。
- 久我和幸は、劇団に後から加入したメンバー。なので他の劇団メンバーの内情を知りません。読者は彼の視点を通して劇団員同士の関係性や過去を探ることになります
- 神の視点では、客観的な情報や事実関係が描写される、と思いきや……
この2つの視点があるおかげで、劇団員との距離が近づくような、一緒に山荘で過ごしているような感覚を味わいつつ、推理に必要な客観的な情報は、いい具合に提示される。
読みやすいだけでなく、ミステリー小説としてのバランス感覚が絶妙で、あーやっぱり東野圭吾作品面白いなーと唸ってしまいました。
しかも、最後にこの「視点」が………ね………
ここから先は読んでのお楽しみですが、いやー驚いた。
ドラマ版でここのあたりをどう映像化したのか、非常に気になります。
結末、いいじゃんいいじゃん
読者と同じ視点で行動する、久我和幸は演技に対する知識や技量は高いレベルにある一方で、唯我独尊なキャラクターでもあります。
心の中で他の役者を馬鹿にしたり、女性の顔面をこっそり評価していたり、読者からすると「完璧に嫌いにはなれないけれど、100%共感はできない」中途半端な好感度のキャラなんですよね。
で、最後にその久我くんが、いい味出してるんです。最初から好感度100%のキャラクター像だったら、そこまで感動はできなかったかも。
この辺りの絶妙な好感度の調整も、東野先生の計算通りなのかも。東野圭吾ミステリーの絶技、その真骨頂。堪能させていただきました。

ある閉ざされた雪の山荘での次に読みたい おすすめ作品
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「古典部シリーズ」の2作目。おなじみのメンバーが謎に挑みます。ぜひシリーズ1作目の 氷菓 から続けて、お楽しみください。
探偵映画 /我孫子武丸
ミステリ映画の撮影中に、監督が失踪!?残されたスタッフと演者は物語の「真犯人」を推理し撮影続行を目指すが……
愚者のエンドロールと似た展開ですが(※時系列的には探偵映画の方が元ネタです)、こちらはお金がかかっているだけに、切迫感が。
推理談義&メタミステリの合わせ技!真の結末への着地が見事で唸りました。ぜひ読んでみて。
おすすめ作品、他にもいろいろ!
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