
映画プロジェクトヘイルメアリーがあまりにも良すぎて、ずっと映画版のことを考えている管理人わんこたん。
映画と原作で明かされる謎、明かされない謎や、作中の時間経過を整理しました。
ネタバレ特盛です。ご注意を。
※考察以外の映画の感想はこちらの記事からどうぞ
▶︎よい!よい!よい! 映画プロジェクト・ヘイル・メアリーを観ました - わんこたんと栞の森
※原作小説の感想はこちらの記事からどうぞ
▶︎プロジェクト・ヘイル・メアリー 原作小説の魅力をイラスト付きで語る - わんこたんと栞の森
- 原作を読んでも明かされない謎
- 原作を読めば明かされる謎
- イリュヒナが自殺用に持ち込んだはずのヘロインはどこにあるの?
- 2つの異星文明がたまたま出会えるなんて、幸運すぎない?
- ロッキーとグレース博士、2人の聴こえる音の周波数が近いのはなぜ?
- ロッキーが余剰の燃料を積んでいたのはなぜ?
- ロッキーはグレース博士の英語をどうやって翻訳したの?
- 船がぐるぐる回ったり回らなかったり。どういうこと?
- グレース博士の船の空気はどうなっていた?
- エイドリアンでの危機的状況、どうやって切り抜けた?
- ロッキーの仲間を奪った宇宙線。グレース博士は大丈夫なの?
- なんでロッキーの船でエイドリアンのサンプル採取をしなかったの?
- エリディアンの軌道でサンプルのボールを引き上げたのはなぜ?
- サンプル回収時に、見えているオレンジの光球はなに?
- エリディアンの種族の重さは?生態は?繁殖は?生理機能は?
- 原作を読み、映画を観て、原作を読む。ずっと楽しいプロジェクトヘイルメアリー
原作を読んでも明かされない謎
映画版プロジェクトヘイルメアリーには、明かされていない重要な謎が2つある、と管理人わんこたんは考えています。
①ヤオとイリュヒナはなぜ死んだの?
グレース博士と一緒に乗り込んだ、船長のヤオと技術者のイリュヒナ。しかしグレース博士が目覚めたとき、2人はすでに死亡していました。
映画でも原作でも長期間の昏睡による人体への影響が仄めかされていますが、2人の明確な死因は不明。
原作では遺体の状態から「先にヤオ、後からイリュヒナが亡くなった」と、グレース博士は推測。映画版でヤオの遺体の顔が映されないのは、イリュヒナより遺体の状態が悪かったことを示唆しているのかも。
なお、原作者アンディ・ウィアー氏は、2人の死の経緯は執筆ネタとして温存している、ということを以下の動画で発言しており(!)続編やスピンオフでその辺り明らかになったら嬉しいですね(以下動画の14:20あたり)
(個人的には、ヤオとイリュヒナは、先に昏睡から目覚めたものの、なんらかの経緯で、グレースを生き残らせる必要に迫られたために、死を選んだのでは?と妄想してます。どうかな?)
②ラストシーンは何年後?プロジェクトヘイルメアリーの時間経過について
光速に近い移動による時間の遅れ効果によって、いったい何年経過したのかよくわかんなくなってきたので、原作小説と、以下の記事を参考にざっくり図を作りました。
参考▶︎オーケイ、この宇宙は計算可能だ——『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の精緻な世界を無粋にも計算してみる|ALL TALE(おーるてーる)

しかしここで一つ謎が残されます。
原作では、エリド到着から16年が経ったある日、太陽の明るさが戻ったことをロッキーから知らされ、グレース博士はすすり泣くんですが……
映画では太陽の明るさが戻ったことをグレースが知る描写がありません。
映画では太陽の明るさが戻ったことをグレースが知る描写がありません。
(大事なことなので2回言う)
アストロファージが減少していく描写はあるんですが……
しかも映画版では、タウメーバを受け取った25年後のストラットは明らかに老いているのに、グレース博士はあまり老いていないんです。(セーターの毛玉とか、靴の劣化具合とか、それなりの経年変化は感じるけど)
もし太陽の輝度が戻るまでエリドに滞在していたら、地球出発からグレースの体感では24年経過しているはずなのに、です。
だから、映画版のラストシーンは、エリド到着からせいぜい2,3年後、地球を出てから10年後くらいなのではないかと、わんこたんは考えています。
なぜ映画版でこのように改変したのかは不明ですが、これはやはり続編への布石、なんじゃないかな!!
原作を読めば明かされる謎
映画だけ見た時に感じる多くの疑問は、原作を読めばほとんどスッキリするはず。
まずは原作小説をぜひ!
朗読版だと読み飛ばさずにじっくり理解できるので、さらにおすすめです。(←のリンク先で「▶︎プレビューの再生」から試聴もできます)
イリュヒナが自殺用に持ち込んだはずのヘロインはどこにあるの?
原作では、イリュヒナの私物いれに普通に入っています。
ふっつーに1kg入っています…… いやいやそんなにいらないでしょw 1kgが宇宙船の燃費にどれだけ影響するか、考えてw
映画版ではヘロインの行方は不明。絶望したグレース博士が使っていたら、地球もエリドも滅亡するところだった。よかったよかった(?)
2つの異星文明がたまたま出会えるなんて、幸運すぎない?
原作には、なぜこれほどまでに似たように発達した異星文明が、幸運にも出会うことができたのか。その考察が書かれています。
尊い、尊い、尊い。
ロッキーとグレース博士、2人の聴こえる音の周波数が近いのはなぜ?
これも原作では「多分こういう理由じゃないかな?」という考察があります。進化って面白いね。
ただ、エリディアンは人間の知覚より広い音域でコミュニケーションできるんじゃないかなあ。何せ視覚がなく音だけで生き抜いてきた種族なのだから。
なおエリディアンの言語の情報密度は地球の言語のおよそ6倍という設定あり。
→参考:『プロジェクト・ヘイル・メアリー』エリディアン設定ドキュメント 勝手全訳|空条HYO太郎ヲ
ロッキーが余剰の燃料を積んでいたのはなぜ?
ロッキーが燃料をグレース博士に分けようと申し出るシーン。この時のグレース博士の泣き顔が最高すぎる。ライアン・ゴズリングが子供みたいに泣く姿に、胸がギュッとなる。
ロッキーの船もヘイルメアリーと同じく燃料はアストロファージなのだが、以下の要因が重なり、大量の燃料を準備していました。
- まず大前提としてロッキーの母星エリドは高温環境下なので、アストロファージの増殖が地球よりも簡単。
映画では言及されていませんが、原作ではヘイルメアリー号の燃料を準備するのに、地球上で大変な苦労を重ねていて…… - そのため、エリドに帰還する分まで、しっかり燃料を準備。
- しかも、エリド→タウセチで6年間の航行の予定が、相対性理論による時間の遅れ効果で3年に縮んでいた。
ここで、エリディアンに相対性理論の認識がないことが明らかに。
エリド→タウセチ間は距離10光年。しかし光の速さを超えられないという認識がないので、燃料(アストロファージ)で加速しまくれば無限にスピードアップできるぜ!と考えていたことから「片道6年間の航行」と想定。
光速に近い速度でかっ飛ばしたら急速にタウセチが近づき、慌てて減速したらタウセチがどんどん遠ざかる。しかもクルーの他のエリディアンはどんどん死んでいく。この時のロッキーの混乱と恐怖を想像するとすごく、苦しい。
なお映画版ではヘイルメアリーに燃料を分けることで、ロッキーの帰郷が「6年遅れる」とされているが、これがどのように算出されたのか、ロッキーの体感時間なのかエリド側の時間なのかは不明。
アンディウィアー先生が全面的に計算関係をバックアップしているっぽいので、何か根拠があるんだろうなあ。
ロッキーはグレース博士の英語をどうやって翻訳したの?
エリディアンは人間よりも膨大な記憶力を持ち、また聴覚も優れているので、ロッキーはグレース博士の英語をあっという間に理解(!)していったぽい。
船がぐるぐる回ったり回らなかったり。どういうこと?
ヘイルメアリー号には遠心力を使ってラボに重力を生み出す設備があり、これを利用してグレースはロッキーからの贈り物を調べていました。
この時の様子や、1回目のトンネル接続時の様子から、ロッキーは、
「どうやらこの異星人は重力があった方が色々やりやすいのでは?」
と認識したのだと思われます。
1回目のトンネル接続
↓
グレースが船に戻る
↓
ロッキー側が先に船をぐるぐる回して「そちらも遠心状態でどうぞ」と提示
↓
その親切に気づいたグレース博士が、再度ロッキーの船と同期させる形で船を回転
↓
2回目のトンネル接続
こんな流れかなと。
この2つの船が一緒にぐるぐる回るシーン、タンゴの曲が使用されています。これが最高にハマってるのよ。
またプロジェクトヘイルメアリーの挿入曲の話をするんだけど、タンゴ「夜明け」の使い方が良いよなあ。
— 離想宮 (@risoukyu) 2026年4月19日
物語の雰囲気がガラッと変わる「夜明け」でもあるし、二人組のイメージが非常に強いタンゴという表現が良い。ブリップAがヘイルメアリー号をダンスに誘うというニクい演出。… pic.twitter.com/ZwyfrP2XFs
原作ではトンネル接続中は遠心力が使えない設定だったので、これは良い改変だったなあと思います。重力があるおかげで、グレース博士とロッキーの「ポーズのマネっこ」ができたわけだからね。
グレース博士の船の空気はどうなっていた?
映画版ではロッキーが2回目にトンネル接続した際、一瞬表示された気圧は21.1kPA=地球の大気圧の約20%でした(この記事によれば)。ロッキーが分子模型で示した通り、構成気体は酸素のみ。
(ロッキーは、グレースが送り返したキセノナイト容器を元に、ヘイルメアリー号船内の大気組成を解析しています)
つまり、地球の大気中に含まれる酸素分圧と同等にしているんですよね。船内気圧を下げればそれだけ船体にかかる負荷も減らせますし。
ただしそれは同時に、ヘイル・メアリー号が地球に帰還する予定がないことを意味していて……
(実際に運用されている宇宙ステーションは、乗組員が地球に帰ることを前提にしているので、窒素80%、酸素20%の1気圧で設定されています。)
原作では、使用するオーラン宇宙服が大気圧の40%で与圧する設定であることを考慮し、船内空間は酸素100%、地球の大気圧の40%の気圧になっていましたが、映画版ではオリジナルの宇宙服でしたね。
船内に窒素がないので、タウメーバはヘイルメアリー号の中では生存できますが、金星など窒素を含む大気中では死滅してしまいます。そこでグレース博士はタウメーバの品種改良をし、窒素含有環境でも死なないタウメーバを生み出していたのでした。
(ここら辺の説明、映画ではほんとに一瞬だった笑)
エイドリアンでの危機的状況、どうやって切り抜けた?
手に汗握るシーンの連続で、船内で何が起きたのか理解するのが難しいシーンだったと思います。わんこたん自身、映画3回見て原作読み直して、やっとわかってきた感じ。
サンプルを回収してから過大な遠心力が発生するまで
- 燃料壁が壊れて、中のアストロファージ燃料が露出。エイドリアンの二酸化炭素に惹かれて、アストロファージたちはエイドリアンの大気圏に脱走
- 放出するアストロファージによって、船が回転。グレース博士は、燃料壁が壊れた部分を燃料ごと投棄
- しかし遠心力が強すぎることで椅子の接続部が外れ、グレース博士が叩きつけられる
- グレースは、ラボの遠心力モードを起動しようとする、ヘイルメアリー号の長さが伸ばして回転半径を大きくし、遠心力を低減させようとする
(フィギュアスケートでスピンの時に、腕を体側に近づけると回転が速くなり、腕を伸ばすと回転が遅くなる、あのイメージ)
グレースより体重が重いロッキーには、より遠心力の負荷がかかっていたと思うのですが、頑張って動いていたなあ。(ここでまた泣く)
ロッキーの仲間を奪った宇宙線。グレース博士は大丈夫なの?
地球上でグレースが実験で明らかにしていたように、全ての放射線はアストロファージを透過できません。
映画では描写がないのですが、ヘイルメアリー号は船全体をアストロファージの層で包むように設計されているので、宇宙線からの防護は完璧なのです。(もしかすると、船内の画面のどこかに表示されていたかもしれない)
燃料と同じ物質で船を包むって言う発想がなんだか怖いけどね。
超高出力で、放射線防護も完璧。恒星を食べる特性を除けば、アストロファージは宇宙開発の福音にまちがいない。
なんでロッキーの船でエイドリアンのサンプル採取をしなかったの?
原作では、ロッキーの船の探査装置が故障したため。と説明があります。
加えて、ロッキーの船は宇宙船に対して無防備なので、長時間いろいろ調査をするのには不向き、と言うのもあるかも。
エリディアンの軌道でサンプルのボールを引き上げたのはなぜ?
安全な宇宙空間で、ゆっくりサンプルボールを引き上げたらいいのに……と映画鑑賞中は考えていましたが、原作読み返したらちゃんと答えが書いてありました。ゴメン。
サンプルのボールをひきずったまま、加速してエリディアン軌道を脱しようとすると、サンプルがヘイルメアリーのスピンドライブ噴射熱で焼かれてしまうから。
まあ、ウィンチでボールを引き上げるところまで遠隔操作できていれば、グレースが危険な船外活動をせずにすんだはずなのですが……そこは技術的に難しかった、と言うことにしておこう。
てかあのサンプルボールかっこよすぎだわ。カショッカショッて突起が出し入れされるのすごい。ロッキーのエンジニア魂を感じる。
サンプル回収時に、見えているオレンジの光球はなに?
ヘイルメアリー号は、エイドリアンの大気圏の少し上にいて、そこからサンプルボールを下ろしています。
サンプルボールがスピンドライブエンジンの噴射熱に当たらないように、かつ、ヘイルメアリー号がエイドリアンに墜落しないようにギリギリの角度でエンジンを噴射
↓
噴射赤外線が下層のエイドリアンの大気圏にぶつかるところで、オレンジの光球ができているのですね。
これも原作読み直して、3回映画見て、やっとわかった。(理解が遅すぎる)
エリディアンの種族の重さは?生態は?繁殖は?生理機能は?
ぜひ原作を読んでみてください。なお質量は167kgあり、上に乗られたら普通に死ねると思います。
ヘイルメアリー船内をあちこち転がり回っていましたが、だいぶ船に負荷がかかっていたと思うw
ちなみに、原作者のアンディ・ウィアーはエリディアンの生態設定を惜しみなく公開しています。日本語訳してくださった方に感謝。
ただ、1点わからなかったのは、エリディアンたちがどうやって、アストロファージに感染していない星=タウセチを発見したのか。視覚なし、放射線の知識なし。どうやって……??
原作を読み、映画を観て、原作を読む。ずっと楽しいプロジェクトヘイルメアリー
3/20に映画が公開されて以来、プロジェクトヘイルメアリーの世界から抜けられずにいる。映画と原作が相互補完的に作られているので、とにかくずっと考えずにはいられない。そんな中毒性がこの作品にはあるのよ。
この宇宙のどこかにいる(※いたらいいのに)、グレースとロッキーのことを考え続けてしまう自分がいる。
映画を観たら、原作を読もう。朗読版(Audible)もおすすめ。この記事が、作品の世界を楽しむ助けになってくれたら嬉しいです。
(間違っている部分があったら、コメント欄で教えてね)




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