
不老不死が一般化された社会で、義務付けられた「100年後の死」。
そんなIFの世界の日本の運命を描いた長編小説 百年法/山田宗樹 の感想を書きました。
百年法 あらすじ
不老不死が実現した日本。人口の調整と社会の維持のため、不老処置を受けたものは百年後の安楽死が義務付けられていた。
西暦2048年。「死」の実行ラインが迫る中で、政治家は、そして国民は、とある選択をするのだが……
- 著者:山田 宗樹 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:KADOKAWA 2015/08/25
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
著者 山田 宗樹氏について
デビュー作は直線の死角(第18回横溝正史ミステリ大賞)。
ドラマ化もされた 嫌われ松子の一生のような現実世界が舞台の作品もあり、百年法のようなSF設定のある作品もあり、さまざまな舞台に翻弄される人々を描いた作品を多く刊行されています。
……と書きましたが、わんこたんは百年法以外まだ読めていません。これをきっかけに色々読んでみたいなあと。
以下に著作の一部を並べました。※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ
百年法 感想
『20歳以上は不老不死化の手術=HAVI を無償で受けられ、ずっと若い肉体のまま過ごせる。ただし術後100年で安楽死処置が必須』
そんな、不老不死が当たり前になった世界で、国家の形はどう変化していくのか。
自分だったらどうする?と、いろいろ想像を膨らませたくなる物語でした。
不老不死ってやだなあ
「20歳でも50歳でも90歳でも、見た目が20歳から変わらない」って、なんだか気持ち悪くない?と思ってしまった。
だから、もし百年法のような不老不死が実現したとして、私は不老化手術を受けないんだろうなあと思うのですが、みんなどうなんだろうか。受けるんだろうか。
以前Xでアンケートをとった時には、結構票が割れて面白かったです
ほろろさん @OchaGenmaicha
— ばうぶっく📕読書犬 (@bow3book5wow) August 28, 2024
推薦図書の「百年法」読了😆
さあみなさん、
『20歳以上は不老不死化の手術を無償で受けられ、ずっと若い肉体のまま過ごせる※ただし術後100年で安楽死処置が必須』
という制度があったら、手術を
ただ、受けないことを決意して、だんだん年老いて体が衰えて、医療や福祉の助けが必要になった時
- HAVIを受けてないやつに、医療費が社会保障費が食いつぶされていく
なんて批判されたら辛いかもw
こんなふうに、自分だったらどうする?を考えられるのが、この作品の魅力なのかなと思います。
物語は、意外な展開へ
市井の人々の内面的な変化を中心とした物語になっていくかと思いきや(もちろんそれもあるけど)思ったより政治的な駆け引きとか、軍事行動とか、そういうサスペンス・アクションよりの展開になっていったのが意外。
独裁者かと思われた牛島大統領が、最後の最後に強烈な一手を繰り出してくる展開は、爽快でした。おみごと!
お出しされる男女像が、きつい
印象的な女性キャラが何人か登場。
みなさん、勝ち気で自分の意思で人生を歩む姉御肌のようでいて
- 主人公のためには文字通り身を投げ出すくらい尽くしちゃう
- 主人公のことをほっとけない。
- 危機的な状況の中で主人公に惹かれていく。。。
という、主人公ハーレム的展開になっていくんですよね。これが、管理人わんこたんはすっごく苦手でして……
「あんたみたいな男が、女を不幸にするんだよね。」
「あんたの質が悪いのはね、女がそれを幸福だと勘違いしちゃうところ」
上記はとある女性キャラが主人公の仁科ケンを評したセリフですが、
「こういうことを女性に言われる男性って、かっこいいでしょ」という思惑が透けて見えてしまい……正直なところ、合わなかったなあ。
あと、やたら艶かしい描写が多いんですよね。
- 女性キャラの口調や様子
- 筋トレに励む仁科ケン
- 相手の記憶を読み取る装置を使用する、女性技官の描写
なんかこう、魅力的なキャラを描写しようとしているのはわかるんだけど、やたらセクシーな言動が目についてしまうというか、男性的な視点を感じてしまうというか。
うーんうーん、不老不死という題材が面白いだけに、残念でした。
こういう国家、あり得るかも?
大統領の私設部隊 センチュリオンとか、パレスフジとか、なんとも言えないセンスのネーミングが次々登場。
いくら本来の日本と違う歴史を歩んだとはいえ、流石に数年でこんな独裁的な変化は起こらないでしょ、と思っていました。百年法を読み終えた2024年当時はね。
でも2026年現在の世界情勢を見ていると、国家って、ちょっとまかり間違ったら、あっという間に変貌しちゃうんだなあ、という思いが湧いてきます。
あれ、百年法に登場するような独裁的な社会、意外と簡単に成立しちゃうんじゃないの?という危機感がある。
劇的な結末、これで良かったのか?
終盤、ある重大な危機が勃発することで、社会は大きな決断を迫られます。その結果、なんだかいい具合に物語としては着地する。
ただ、不老不死が抱える問題とか、百年法をどうするのか、といった問題にとことん向き合うのではなく、緊急事態によってなし崩し的に物語が終結し、お涙頂戴な国民投票でなんか綺麗な感じに終わってしまったのは、ちょっと残念。
(百年法読むと感じるけど、国民投票って一瞬の世論のうねりで簡単に票が動いてしまいそう。民主的なようで、非常に恐ろしい手段だと思う)
とはいえ、百年法を読み終わった後、自分の死ぬ時期が決まっているのといないの、どっちがいいだろうなあ……と、ぐるぐる考え続けてしまったので、心にざっくり爪痕を残す作品であることは、間違いないです。
百年法の次に読みたい おすすめ作品
「寿命」がキーワードの2作品を選びました。SFも!ミステリーも!
超新星紀元 /劉 慈欣
超新星爆発によって発生した放射線バーストにより、1年後に13歳以上の大人すべてが死にいたることが判明!地球の運命はこどもたちに託された!
という、百年法よりもシビアな展開を迎える本作。
「残された大人の知恵でこどもたちがたくましく生き延びる、感動サバイバル」
と、思うじゃん。ぜんぜん違います!(呆然)
暗黒館の殺人 /綾辻行人
不老不死を求める謎の一族、座敷牢、美しい異形の双子、幻視の絵画、そして奇怪な宴……。闇が織り成す、謎と悪意に満ちた、大長編ミステリー!
なぜ中村青司の館は生まれたのか?その起源に迫る、重要な1冊です。
本作は綾辻行人作 館シリーズ7作目にあたります。未読の方は1作目 十角館の殺人からどうぞ。
感想記事はこちら▶︎すべての館はここから始まる 暗黒館の殺人 感想 - わんこたんと栞の森
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