多重解決もの(推理合戦もの)と呼ばれる作品ジャンルをご存じでしょうか。
1つの事件に対して、何通りもの解決が与えられたり、当初はこれが正しい!と思われた解決がひっくり返されたり、という趣向のミステリーを指します。
この記事では、いろんなキャラがワイワイ推理合戦を繰り広げる、おすすめ5作品を、歴史順にご紹介します。
\紹介するのはこの5冊/
- 毒入りチョコレート事件/アントニイ・バークリー
- T型フォード殺人事件/広瀬正
- 探偵映画/我孫子武丸
- 愚者のエンドロール 「古典部」シリーズ/米澤 穂信
- 文学少女対数学少女/陸 秋槎
- まとめ 真実はひとつ……じゃない!?
- 他にもいろいろ、おすすめ作品あります。
毒入りチョコレート事件/アントニイ・バークリー
試供品として送られてきたチョコレートは毒入りだった!
この毒入りチョコレート殺人事件の犯人探しに協力するため、犯罪研究会のメンバーが互いの推理を披露することに。多重解決ものの、元祖にして、歴史に残る傑作。
残念ながら訳が古く、お世辞にも読みやすくはありません。でも読み終えれば、なるほど納得、間違いなし。ミステリーのアンチテーゼともされる作品の妙を、ぜひ味わって。(新訳だしてほしいなあ)
- 著者:アントニイ・バークリー (著) → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 翻訳:高橋 泰邦 (1974年訳)
- 発売:東京創元社 2009/11/13(新版) ※作品自体は1929年発表
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
T型フォード殺人事件/広瀬正
自動車の歴史を華々しく彩ったT型フォード。この貴重な一品を買取った富豪宅に集まった7人は、T型フォードをめぐる45年前の密室殺人の謎に迫ろうとするが……
広瀬正さんといえばSFですが、このT型フォード殺人事件は純然たるミステリー。昭和元年のノスタルジーあふれる描写とともに、推理をお楽しみあれ。
- 著者:広瀬正 (著) → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:集英社 2008/11/25 (初出は1972年6月)
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
探偵映画/我孫子武丸
ミステリ映画の終盤パート撮影を前に、監督が失踪!?残されたスタッフと演者はストーリー上の「真犯人」を推理し撮影続行を目指すが……
愚者のエンドロールと似たようなストーリー展開ですが(というか、発表順的には探偵映画の方が元ネタなのですが)、こちらは実際の映画の成否と、投資予算がかかっているだけに、切迫感が。
推理談義&メタミステリの合わせ技であり、かつ真の結末への着地が見事で唸りました。往年の名作映画が多数引用されるので、映画好きの方はぜひ挑戦してみて。
- 著者:我孫子武丸 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:文藝春秋 2009/12/10 (初出は1990年12月)
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
愚者のエンドロール 「古典部」シリーズ/米澤 穂信
神山高校文化祭。2年F組は自主製作のミステリー映画を発表することを決めるが、脚本担当の女生徒が倒れてしまい、撮影途中で「犯人不明」に。
映画に登場するのは6人。「犯人役」は誰なのか?
氷菓に続く「古典部シリーズ」の2作目。おなじみのメンバーが謎に挑みます。
ひとつうえの毒入りチョコレート事件をオマージュしたシーンにも要注目。
ぜひシリーズ1作目の 氷菓 から続けて、お楽しみください。
- 著者:米澤 穂信 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:KADOKAWA 2012/04/25 (初出は2002年7月)
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):聴き放題対象
→5分間のサンプル試聴はこちら (リンク先で▶プレビューの再生を押下)
目の前に千反田が!そんな没入感120%の読書体験を、お試しあれ!
※ただし、愚者のエンドロールは撮影現場の見取り図をもとに推理が展開されるので、音声のみのAudible版は、ちょっとわかりづらいかも。
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文学少女対数学少女/陸 秋槎
数学×推理の知的遊戲!
作中作という形でミステリー小説が展開され、その解決法を数学的に解説していく、異色のミステリー中編集です。
後期クイーン的問題を数論で導きながら、多重解決をこころみる「連続体仮説」をはじめ、脳髄を刺激する4篇を収録。
管理人わんこたん数学マジ苦手ですが、そんなあなたも大丈夫!少女たちの繊細な会話劇も楽しい1冊です。
- 著者:陸 秋槎 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 翻訳:稲村 文吾
- 発売:早川書房 2020/12/3
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
まとめ 真実はひとつ……じゃない!?
以上5作品、おすすめ多重解決ミステリを紹介してきました。
某名探偵のように、真実はいつもひとつ!とは決めきれない、ミステリーの世界の奥深さを体現しているジャンルといえるでしょう。
ここで紹介していないおすすめ作品があれば、ぜひコメント欄で教えていただけたら幸いです。
他にもいろいろ、おすすめ作品あります。