
よい!よい!よい!
原作を読んでから映画を観た、管理人わんこたんによる、書き殴り映画レビュー記事です。
この記事には、原作小説版および映画版 プロジェクトヘイルメアリーのネタバレが含まれています
- 原作とは違う、映画ならではの魅せ方。よい!
- 実はグレースのキャラクターが原作とかなり異なる よい!
- 音楽 よい!
- イリュヒナとヤンとの別れのシーン。よい!
- 宇宙船の動き、ありえないけど、よいw
- ロッキーの試行錯誤が、よい!
- たどたどしいコミュニケーションが、よい!
- 原作には(たぶん)ない、オリジナルシーン、よい!
- ロッキーがかわいくて、健気で、よい!
- グレースの精神的変容。よい!
- 地球とは異なる発展を遂げた異星人 よい!
- 映画→原作でも原作→映画でも、なんでもいいから両方見るの、おすすめです。表明!
原作とは違う、映画ならではの魅せ方。よい!
原作小説↓では主人公グレースが「今自分はどこにいるのか?見えているものは何なのか?」を実験から探究するシーンから始まります。
他にも原作では色々仮説を立て、実験し、試行錯誤して結論を導く、というシーンが何度か繰り返されるのだけど、映画ではこれらのシーンを大幅にカット。
これは英断だと思う。試行錯誤のシーンはじっくり書籍で読んでもらって、映画ではグレースとロッキーの友情と、グレースの精神的変容にフォーカス。
この「棲み分け」が大変良かった。
書籍には書籍の魅せ方が、映画には映画の魅せ方がある。納得です。
実はグレースのキャラクターが原作とかなり異なる よい!
映画を2回観て、さらにもう1度原作を読み直して気づいたんですが、グレースの性格が原作とだいぶ違うことに気づきました(特に前半部分)
- ペトロヴァ計画への積極性
原作:どちらかといえば積極的。メンバーから外されそうになった際には、自分をメンバーに残して欲しいと訴える
映画:どちらかといえば消極的。アストロファージが水基盤生物であるという事実に打ちのめされ、プロジェクト参加への自信をなくすシーンあり - 教室の子供たちへの態度
原作:ペトロヴァライン、および太陽と地球の危機について、科学的事実を子供達に伝える
映画:子供たち恐ろしい事実を伝えることを恐れ、誤魔化そうとする - 記憶をなくし宇宙船で目覚めた時の行動
原作:基本ポジティブ。自分がどこにいるか、見えているものは何か。実験を通して積極的に探索する
映画:地球から100年以上かかる距離にいることを序盤でしり、絶望してやけ酒。
ざっとまとめると、映画版のグレースは、ネガティブ、消極的、悲観的、責任を負うことを避けるようとする、意欲はあるが勇気がない。そんな描かれ方なんですよね。
原作のポジティブ科学オタク(まさにオデッセイの主人公のよう)なグレースも好きですが、映画版グレースのこのキャラクターが、後のロッキーとの友情と結末のカタルシスに繋がることを考えると、良い改変だったなあと思います。
音楽 よい!
1回目の鑑賞ではずっと泣いていて冷静に聴けなかったので、2回目の鑑賞でじっくり聴いてきました。印象的だったのは
- 冒頭:パッキングされたヒゲもじゃ昏睡おしりにチューブの男性が、ひとりぼっちで目覚める、どうみても不気味なシーン笑 だけどそこに悲壮感はなく、どことなく幻想的で明るい未来を想起する音楽が使われているのが印象的
- ロッキーの宇宙船との出会いのシーン
直前にヤンとイリュヒナの遺体を宇宙葬にしているのだけど、ここで明確に音楽が切り替わるのです。
ウッドブロックを多用した、どこかコミカル、どこか原始的、どこか優しい、ロッキーをイメージさせる音楽。この後ロッキーとグレースの2人のシーンでは何度もウッドブロック出てくる。注目。 - ビートルズ Two of Us
原作からしてどこかでビートルズの曲を採用してくるのは確定事項だったと思いますが、採用されたのは Two of Us でした。ちゃんと歌詞も字幕で表示されてました。泣くわこんなん。
- ストラットによる「Sign of the Times」(ハリー・スタイルズ)歌唱
原作にはないこの歌唱シーン。
なんでもこなすストラットは、カラオケも難なくこなしちゃうのです。すんごい美しかった。
これ、グレース博士を励ます選曲、のようにもとれますし、地球のためなら人命を賭すことも否定しないストラットとチームの覚悟を表す選曲でもあるように感じます。泣くわこんなん。
プロジェクトヘイルメアリーのサウンドトラック、CDで買いたいなあと思ってるんですが、(2026/7/24発売予定)Two of Us と Sign of the Timesは収録されていないんですよね……収録されたコンプリート版とか、出ないかなあ。
(配信版はこちら)
イリュヒナとヤンとの別れのシーン。よい!
宇宙船にあった2つの遺体(イリュヒナ、ヤン)を弔う場面。
この時点では、グレースにとっても観客にとっても、2人が何者か情報が少ないんだけど、それでもグレースは2人を丁寧に弔うのですよ。
ああ、主人公グレースは記憶は失ってるけど、心の優しい奴なんだなって。伝わってくる素敵なシーンでした。
なお私は、原作を読んで2人の正体を知っていたこともあり、このシーンで早速泣きました。映画の序盤も序盤なのに早すぎるよ自分。
プロジェクトヘイルメアリー、基本的に怖いシーンはほぼないんですが、この遺体の顔が映るシーンは、子供が見るのには少しだけ怖いかも。すこーしだけね。
遺体とはいえ、綺麗な顔してますけどね。少なくとも猿の惑星の冒頭のシーンみたいな怖さはないです。

宇宙船の動き、ありえないけど、よいw
宇宙船がね、往年のシューティングゲームみたいにスッスッて動くんですよ。
アストロファージ燃料の高出力ゆえ、あのような動きができるのか?
いやいや出力的に可能でも、慣性で破断しないのか?中の人は強烈な加速度で死んじゃわないのか?気になるw

ロッキーの試行錯誤が、よい!
ロッキーはグレースにコンタクトを取るために色々工夫しているんですよね。
- とりあえず物理的にメッセージボトル送ってみよ!
↓ - あれ、こんな簡単な投擲もキャッチできないの?も少しゆっくり投げるか……
↓ - ちょ、キャッチするのに船外遊泳するの?ごめんよ、次は出入り口に直接投げとくわ
宇宙船を接続したときも、相手がどういう方法で情報を得てるのかわからないから、いろんな性質のキセノナイトの壁を作ってるんですよね。
「お、この壁に反応する感じなんすね。よしよし。」みたいな。
なので、2回目にグレースが近づいた時は、壁全体が透明になっていたという。
このあたりは映画では補足がなかったので、ぜひ原作もチェックいただければと。
たどたどしいコミュニケーションが、よい!
これは映画オリジナルだと思うのですが、序盤からロッキーが専用ポッドみたいなので、グレースの宇宙船にガンガン侵入してくる!積極的!
ロッキーの種族は、なんというかパーソナルスペースの概念が薄いですねw
しかも聴覚で情報を得る種族なので、壁とか意味なし。全部筒抜け。
あまりにプライベートを侵害してくるので、ちょっとイラッとするグレースがおかしい。(寝る時にたがいを見張る文化のある種族だから、プライバシーの観念が薄い種族なのかも。)
と、その割に、ハグしようとすると、「え、ハグてなんすか?」みたいに、若干ヒいてるっていうw
原作には(たぶん)ない、オリジナルシーン、よい!
- エリダニのお祝い用の衣装!視覚でなく聴覚でコミュニケーションする種族なので、音がジャラジャラなりそうな感じっぽくて、良かったです
→(追記)この衣装、原作にも登場してしました。でも視覚的に見れたのは嬉しい! - ロッキーの宇宙船の内部もちゃんと映像化。
何だろうあのキラキラしたやつ。コミュニケーションツールなのか、それとも何かの計算回路なのか、想像が膨らみます。 - 寒冷化した地球と、ちょっと老いたストラットが描写されます。
ジーンとくるよね。 - キセノナイト製の、異質感あるオブジェクトの雰囲気!こういうのが見られるのは、映像ならではですね。
ロッキーがかわいくて、健気で、よい!
- 人間より長命で、頑固で、優秀なエンジニア
多分、グレースを子供あつかいしているのか、操縦下手くそ!模型作り下手くそ!床汚い!みたいなことを色々言ってきますw - と思っていたら、予想以上に犬っぽい仕草をしていて笑いました!
最後の海のシーンとか、もうねw
原作でもロッキーの大きさはラブラドールレトリーバーくらい、という描写があるんですが、本当にラブラドールレトリーバーみたいになってます。 - 原作でも「やばい」と言及されていたロッキーの食事シーンがついに映像化!うん、なかなか……やばい笑

ロッキーのお食事にグレースもドン引き - 原作でもあった、ロッキーが命がけの行動をするシーン。わかっちゃいるのに、やっぱり胸がキュンとなってしまいました……
ロッキーはどうやって回復したの?みたいな細かい描写は、ぜひ原作を読んで補完を。
グレースの精神的変容。よい!
原作のカタルシスであった「科学的探究のトライアンドエラーのおもしろさ」を思い切ってカットした一方で、じっくり描かれたのがグレースの内面の変化。
地球にいた頃のグレースは、命を賭してミッションに参加する宇宙飛行士たちと、距離を置いてるんですよね。
- 安全圏にいる自分に、彼らと一緒に行動する資格はない。
- 何かしなくちゃ、という気持ちはある。でも命を賭す勇気はない。怖い
自分を過小評価するとともに、他人を必要以上に慮る、そんな様子が描かれます。
象徴的なのが船の甲板でのストラット(作戦を指揮している女性)とのやりとり。パーティーに参加しないストラットを見て「部下に命を投げ出させるようなミッションを遂行しなきゃならないなんて、辛いよね」という、同情のような気持ちをグレースは抱いているようです。
でも、そうではなかった。ストラットは辛い/辛くないを超えて、とっくに覚悟を決めていたんです。第一選択がダメになったら。次のカードを出すまで。グレースの命さえも地球のためにベットする覚悟を。グレースを裏切る覚悟を。
いや、確かにね。グレースが宇宙行きを拒否する気持ちもわかる。ていうかふつう拒否するよこんなの。でもグレースは宇宙行きを断る理由に「教室のこどもたちが待ってるから」と言ってしまう。
本当はグレース自身が一番わかっているのに。地球がこのままだったら、子供達も多くは死んでしまうことを。そんなグレースの心の矛盾を見逃すストラットではなかった。「子どもたちを行かない理由にしないで」と、突き刺すように言い放つのです。
多分このセリフは原作にはなかったはず。グレースの弱さが象徴されていて、個人的には良い改変だったと思います。
で、そんなグレースが、友人ために人生を投げ打つ覚悟を決める。心が熱くなるに決まってるじゃんこんなの。感動したよ。原作読んでわかっちゃいたのに、もうボロ泣きよ。
(なぜグレースが選ばれたか、もっと他にも宇宙行きの候補はいなかったのか、という点は、原作小説だともうちょっと補足があるので、ぜひチェックを!)
地球とは異なる発展を遂げた異星人 よい!
ロッキーの種族は、キセノナイトのような材料工学分野がめちゃくちゃ発達していて、一方で、放射線や相対性理論の概念に乏しいことが言及されています。
てことは、電波、無線通信などの技術レベルも低いのでしょうか。(音でコミュニケーションが取れちゃうので、通信技術を作る必要性が薄かったとか?)
あと、おそらく光の速度に関する概念も乏しかったのではないかと。
最後にグレースが光の速度を子供達に問うシーンは、冒頭の授業場面のリフレインでもありますが、グレースが新しい知識をエリディアンに授けている、という解釈もできそうです。(原作でも同じ場面はありますが、今回映画でみて、初めて気づきました)
エモいぞ!
しかし、グレースはあの環境下で生きていけるのか。という問題は、原作だとやはりもう少し補完されているので、ぜひチェックを……(今日何度これ書いたことだろう)
映画→原作でも原作→映画でも、なんでもいいから両方見るの、おすすめです。表明!
プロジェクトヘイルメアリーについて、科学的謎解きのワクワク感が失われるから、原作小説を読んでから映画を観た方が良い、という意見を、公開前に多く目にしました。(今も?)
その意見は否定しませんが、管理人わんこたんは断言します。小説からでも映画からでも、どっち先でもいいからとりあえず読もう/観よう!
正直羨ましいです。原作の情報なしで、「宇宙飛行士と異星人のコンビが宇宙を救う話かな〜」みたいなふんわりした事前情報だけで、この映画を観にいけたあなたが。
そして、もし映画を観た後で「ここってどういうこと?」みたいな気になる点があったら、ぜひ原作にチャレンジしてみてくださいね。




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