でも、おもしろいのは三体だけじゃないんです!
邦訳版の劉慈欣作品の制覇を目指す管理人、わんこたんが、劉 慈欣作品の魅力と、「三体の次に読みたい」劉 慈欣作品について、語りつくします。
三体シリーズは全作品「聴く読書」Audibleの聴き放題対象
祐仙 勇さんの朗読により、各キャラの感情がダイレクトに伝わってきます。未読の方にはもちろん、シリーズ既読の方にこそ、おすすめしたいです。
特に史強の、冷徹さと頼もしさのこもったセリフは、ファン必聴!思わず聴き入ること、間違いなし。
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超新星紀元 や 白亜紀往事 も聴き放題対象なので、登録するだけで劉慈欣ワールドにどっぷり浸かれます。
洗濯物干しながら耳から物語にどっぷり!さいこー!
ずばり、三体の次に読みたい1冊はこれ!
わんこたん一押しはSF短編集の流浪地球。
どの収録作品もクオリティがえげつない「全部おもしろい短編集」!
まだまだあります おすすめの劉 慈欣作品
劉 慈欣作品、最初はやっぱり三体シリーズがおすすめですが、三体以外にも邦訳で読める名作がたくさん!短編と長編に分けて紹介します。
おすすめ短編作品
発売中の邦訳短編集は以下4冊。この4冊で、劉慈欣氏の短編著作ほぼ全てを邦訳で読むことができます。各短編集で作品の重複はありません。
流浪地球/老神介護
原著は1冊の短編集でしたが、邦訳に際し、ボリュームの都合で2冊に。
太陽系から脱出を図る人類の旅路を描いた表題作「流浪地球」、地球に突如現れた神様と、人類文明誕生にかかわる重大な秘密を描いた表題作「老神介護」など、壮大なテーマと、想像を超えた展開が魅力の2冊です。
収録短編はストーリーの内容を考慮して分けられており、緩やかなテーマ性があります。
2冊に分かれたことで、テーマの「差」が和音のようになって、美しい余韻に。個人的にはナイス分冊化だったと思います。
ぜひ2冊セットで読んで、壮大な劉慈欣ワールドを堪能してほしい!
円 劉慈欣短編集
流浪地球、老神介護は壮大な展開の作品が多一方、ですが、こちらの「円」では、「社会」「個人」というミクロな部分にフォーカスした作品が多め。
貧困問題や環境破壊、中国の歴史(始皇帝とか)といったトピックも盛り込まれ、SFであることを忘れるほどのリアリティがたまりません。
特に、収録作品の「円」は三体のワンシーンを短編用にアレンジした作品。(このアレンジの仕方がまた最高!)
長編の三体を読むのはハードルが高いけど、短編なら、読んでみたい。というあなたにおすすめの一冊です。
※なお「円」収録の「詩雲」は、「流浪地球」収録の「呑食者」の続編なので、先に流浪地球から読むのをおすすめします。
時間移民 劉慈欣短編集Ⅱ
劉 慈欣さんの短編作品一覧
短編作品を初出の時系列順に一覧にしました。収録タイトルはカッコ書きで示しています。
- 流浪地球→(流)
- 老神介護→(老)
- 円 劉慈欣短編集→(円)
- 時間移民 劉慈欣短編集Ⅱ→(時)
- その他は個別に記載
また、★マークはわんこたんイチ押し作品です。ひとこと感想つき。
※量が多いので、以下をクリックしてお読みください
ここをクリックで開きます
- 「中国2185」 - (未)
1989年の天安門事件直前に書かれた未刊のデビュー作。毛沢東の死体の脳をスキャンしてサイバースペースで復活?これ刊行できるの?
参考▶群像・論点 福嶋亮太「文化史における『三体』」|⑦ダーク・コスモロジー|tree - 「鲸歌」(邦題:鯨歌)1999年6月 (円)
- 「微观尽头」(邦題:ミクロの果て)1999年6月 (時)
- 「宇宙坍缩」(邦題:宇宙収縮) 1999年7月 (時)
★三体でも活躍する丁儀博士が登場!? - 「带上她的眼睛」(邦題:彼女の眼を連れて)1999年10月(老)
★中国では国語の教科書にも掲載されたそう。壮大で切なくてすばらしい作品なのですが、教科書で読んだら恐くてトラウマになりそう - 「地火」(邦題:地火(じか))2000年2月(円)
★迫りくる災害のリアリティがすごい。SF版プロジェクトXのような。 - 「流浪地球」(邦題:さまよえる地球/流浪地球)2000年7月(流)
★映画化もされNetflixで配信中。ひたひたと迫る絶望感と、大衆の愚かさと、かすかな希望も - 「乡村教师」(邦題:郷村教師)2001年1月(円)
★貧困にむしばまれる農村の描写と、教育を守ろうとする姿に涙 - 「微纪元」(邦題:ミクロ紀元)2001年4月(流)
★流浪地球のIF世界版という感じ。こちらもよき。 - 「全频带阻塞干扰」(邦題:全帯域電波妨害)2001年8月(時)
★ロシアを舞台にした戦争物。ロシアのウクライナ侵略と重ねて読んでしまうが、そこからさらに凄絶なSF展開が繰り広げられ、圧倒される - 「纤维」(邦題:繊維)2001年8月(円)
- 「命运」(邦題:運命)2001年11月(時)
- 「信使」(邦題:メッセンジャー)2001年11月(円)
- 「中国太阳」(邦題:中国太陽)2002年1月(流)
- 「梦之海」(邦題:夢の海)2002年1月(時)
- 「朝闻道」(邦題:朝に道を聞かば)2002年1月(時)
- 「混沌蝴蝶」(邦題:カオスの蝶)2002年1月(円)
- 「天使时代」(邦題:天使時代)2002年6月(時)
★倫理観の変化を問うバイオSF。戦闘描写がなかなかこわい。 - 「吞食者」(邦題:呑食者)2002年11月(流)
★地球侵略者との戦い。結末好き。 - 「西洋」(邦題:西洋)2002年12月(邦訳は華語文学の新しい風 (サイノフォン)収録)
中国大陸の明朝、永楽帝に使えた宦官の鄭和(ていわ)は明の国威発揚と、朝貢貿易の拡大を目的に南海遠征に臨みました。
遠くアフリカまで到達したこの遠征が、もしヨーロッパまで到達していたら?というIFルートをたどった世界の物語です。 - 「詩雲」(邦題:詩雲)2003年3月(円)※「吞食者」の続編
- 「光荣与梦想」(邦題:栄光と夢)2003年8月(円)
- 「地球大炮」 (邦題:地球大砲)2003年9月(老)
★すごかった。恐怖と絶望からの、希望の持っていき方が絶妙なのよ - 「思想者」(邦題:思索者)2003年12月(時)
- 「圆圆的肥皂泡」[邦題:円円(ユエンユエン)のシャボン玉]2004年3月(円)
★めずらしく(?)、ハートフル - 「镜子」(邦題:鏡)2004年12月(時)
予知をテーマにした作品だが、冒頭のSFとは思えない犯罪捜査描写も読みどころ - 「创世纪」2005年1月 長編 超新星纪元 からの一部抜粋(未)
- 「赡养上帝」(邦題:神様の介護係/老神介護)2005年1月(老)
★子供に自分の介護を依存しないようにしよう、と決意したくなる - 「欢乐颂」(邦題:歓喜の歌)2005年8月(時)
- 「赡养人类」(邦題:扶養人類)2005年11月)(老)
- 「山」(邦題:山)2006年1月(流)
- 「2018年4月1日」(邦題:二〇一八年四月一日)2009年1月(円)
- 「月夜」(邦題:月の光)2009年2月(円)
- 「人生」(邦題:人生)2010年1月(円)
- 「太原之恋」(「太原诅咒」)(邦題:呪い5・0)2010年2月(流)
★超おバカSF。作品に登場する劉 慈欣さん本人に注目 - 「时间移民」(邦題:時間移民)2010年4月(時)
- 「海水高山」 - 既出短編「山」の短縮版。2014年9月(未)
- 「圆」(邦題:円)「三体」からの一部抜粋・改編による短編 2014年12月(円)
★これを読んで驚愕したわんこたん。そこから三体を読んで、はまる。 - 「不能共存的节日」(邦題:共存できない二つの祝日) 2016年4月(時)
- 「烧火工」(邦題:火守)2016年6月)(邦訳は物語絵本 火守 として出版)
★絵本……?と侮ることなかれ。邦訳版の挿絵は西村ツチカさん。イラストが本当にすばらしいので、ぜひ読んでみてほしい……
火守 紹介記事はこちら - 「黄金原野」(邦題:フィールズ・オブ・ゴールド)2018年5月(時)
★劉慈欣 最新作。エモくて悲しくて美しかったよぉ
おすすめ長編作品
三体0【ゼロ】球状閃電
三体0【ゼロ】球状閃電は三体シリーズ本編の前日譚として邦訳ば販売されていますが、実は物語上のつながりはほとんどありません。
共通の登場人物はいますが、三体シリーズ未読でも、まったく問題なく楽しめます。
量子物理学をベースに「球電」の謎にいどむ科学者たち、球電を軍事利用しようとする政府、そして「兵器」に翻弄されるひとりの女性。
徐々に明らかになる球電の正体と、その結末に驚かされること間違いなし!劉 慈欣さんの想像力のものすごさに、驚き、ワクワクすること、請け合いです。
白亜紀往事
それはありえたかもしれないもうひとつの「白亜紀」。恐竜と蟻は、相互補完的に繁栄し、高度な文明を築いていました。その2つの文明が対立したとき、もたらされるものとは、、、
蟻と恐竜。「人間不在」でここまでの物語をつむぐ、この発想力!
実は短編バージョンも存在し、「老神介護」に収録されています。個人的には短編版のほうが展開がダレないのでおすすめ!
なお、劉 慈欣さんは蟻に思い入れがあるのでしょうか。三体シリーズの2作目「黒暗森林」では、冒頭とラストに、「蟻=無知な人類文明」に見立てた印象的なシーンが登場します。
そして、そんな黒暗森林を意識したためか、テンセントドラマ版三体では、「蟻」や「虫」を意識したオリジナルシーンがちょいちょい登場したり。
超新星紀元
1999年末、超新星爆発によって発生した放射線バーストが地球に降り注ぎ、1年後に13歳以上の大人すべてが死にいたることが判明。
地球の運命はこどもたちに託された!
劉 慈欣さんの長編デビュー作にして、膨大なエネルギーを発散させたような、攻めに攻めた問題作。正直、かなり好みの分かれる作品。読者の想像と全く違う方向に、物語は突っ走っていきます。
怖いもの知らずの方、ぜひぜひチャレンジを。
日本語で読める!劉 慈欣作品の邦訳まとめ
ここまで紹介した「三体シリーズ」以外の、日本語で読める劉慈欣作品は、以下の通り。ぜひ「三体シリーズの次に読みたい本」として、チェックしてみてくださいね。
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劉慈欣さんの新作予定は?
劉慈欣さんの長編の著作は「三体シリーズ」が最後。2024年現在、新作の発売予定はありません。
短編の執筆も2018年の黄金原野が最後です
一方で、2022年の以下インタビューで、三体などとは違う物語を書こうとしている、とも述べています。
中国SF小説「流浪地球」の劉慈欣氏、宮崎駿監督や「エヴァ」「銀河英雄伝説」から影響:朝日新聞GLOBE+
新技術がインターネットであっという間に広がるこの時代、「新しい発想」を見つけ出すのに苦労されているそう。
わんこたんはいちファンとして新しい作品が出るのを、静かに座して待ちたいと思います。
既存作品の映像化も進んでいますので、まだまだ劉慈欣ワールドを堪能したいですね!
劉 慈欣作品以外の、おすすめ小説
三体シリーズと鏡合わせのような展開に注目!
「元気の出る」大人気SF作品。映画公開前に要チェックです!
劉 慈欣作品では意外と少ない、タイムスリップSF。
軽いのから壮大なのまで。古今東西のタイムスリップSFを集めました。
三体とは違うジャンルでおもしろいSFを読みたいあなたへ。
おすすめの小説を集めました。