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村上春樹作品の最高傑作!世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドの感想

村上春樹氏の代表作であり絶大な人気を誇る「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
その魅力について、本作を3回読んだわんこたんの考えをまとめました。
小難しい批評はいっさいなし!気楽な気持ちで最後までお読みくださいね。

 

 

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドは無料体験で「聴け」ます

Amazonの提供する「聴く」読書サービスAudibleでは、以下の村上春樹作品が聴き放題対象となっています。(2023年4月10日現在)

「Audible聴き放題」対象の村上春樹作品
  • 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド(上下巻)
  • 海辺のカフカ(上下巻)
  • ねじまき鳥クロニクル(全3巻)
  • 1Q84(BOOK1まで公開中、以降は随時公開予定)
  • 他多数!

Audible版の村上春樹作品一覧はこちら

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実際に「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」をぜんぶ聴きましたが、何度も読んだ作品なのに「聴く」ことで、新たな発見があり、とても楽しめました。

まるで映画を観ているような臨場感、「ただの朗読」とあなどるなかれ、です。

Audible版「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の魅力は、本記事の後半で紹介しています。

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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドの概要・あらすじ

村上春樹氏の初めての書きおろし長編小説であり、第21回第21回谷崎潤一郎賞受賞作。

「私」と「僕」2つの世界が、交互に描かれ、その謎がだんだんと解かれていきます。

  • 「私」サイド 〜ハードボイルド・ワンダーランド〜

「計算士」として働く「私」は「博士」から、とある依頼を受けるが、そのことをきっかけに「記号士」たちに狙われることになる。

  • 「僕」サイド 〜世界の終わり〜

高い壁に囲まれ、獣と共に生きる世界。その世界に流れ着いた「僕」は、番人に言われるがまま、自分の「影」を切り離し、「夢読み」となる。

ここから先はネタバレを含むため、ご注意ください。

【考察】なぜ「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」は最高傑作といわれるのか

わんこたんは村上春樹作品をいくつか読んでいますが、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が一番おもしろい、と考えています。

わんこたん的 村上春樹作品ランキング(既読作品のみ)
  1. 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
  2. 海辺のカフカ
  3. ねじまき鳥クロニクル
  4. ノルウェイの森
  5. 1Q84

同じことを考える読者が多い(?)ようで、ねとらぼの2020年の人気調査でも本作品が人気No1に。

2023年4月13日に最新長編作「街とその不確かな壁」が発売されたので、このランキングもまた変わる可能性はありますが、なぜ「世界の終わりと~」が一番人気なのか、考えてみました。

理由①「計算士」「記号士」「百科事典棒」「意識の核」「やみくろ」などSF要素がおもしろい

「世界の終わりと~」はジャンル的にはSFに近く、やたらかっこよくて意味の分からない言葉がたくさん登場します。この意味不明さが、本作の魅力!

計算士と意識の核とシャフリング

  • 主人公の「私」は「計算士」
  • 脳内に埋め込まれた「意識の核」を使って、計算処理を行う。

「計算士」である私は、その「意識の核」を使って「シャフリング」という特殊作業を請け負っています。しかし後に、このシャフリング能力を与えられた30人の計算士のうち、生き残っているのは自分だけ、という事実を知らされます。

意識の核=「世界の終わり」

「意識の核」とはなにか。「意識の核」はひとつの物語であり、「壁に囲まれた、一角獣と生きる人々の世界」=「世界の終わり」の舞台であったことが、下巻の冒頭で判明。

この「理解できるけど、意味不明でふしぎな世界観」が本作のおもしろさでもあります。

外界から隔たれた世界?

図書館の女の子との会話で登場する「失われた世界」。
実はシャーロック・ホームズシリーズでおなじみ、コナンドイルのSF小説です。
「外界から隔たれた世界」ですが、こちらは壁ではなく崖に囲まれた台地。獣ではなく「恐竜」が登場します。

紹介記事はこちら

【恐竜求めて南米へ!】失われた世界/ コナンドイル あらすじと感想 - わんこたんと栞の森

理由②ストーリーがわかりやすい

村上春樹作品、はっきりいって「わかりづらい」です。

主人公が何をしているのか、どんな状態なのか、目的はなんなのか、これは夢なのか妄想なのか現実なのか、混乱させられることも。

「世界の終わりと~」は

  • 二つの世界を交互に描写している
  • 片方が現実、片方は空想(脳内)
  • 脳に時限爆弾がしかけられたのでなんとかしないといけない
  • 壁の外にでなければならない

のように、話の構成、キャラの目的がとても明確で、村上作品を初めて読む方にもおすすめです。

理由③結末の美しさ。

「ハードボイルド」サイドの主人公(私)は、「自分の脳」に重大な時限爆弾を仕掛けられたことに怒りますが、最終的に受け入れ、静かにこの世界から去ります。

晴海ふ頭に車をとめ、音楽を聴きながら意識を失うシーンが印象的。

一方「世界の終わり」サイドの主人公(僕)は、壁に囲まれた世界から脱出することをやめ、影とわかれて「女の子」と共に、森で生きていくことを決意します。

「壁に囲まれた世界」は不自然で、心がなくて、間違った世界。しかし、それを生み出したのが「自分自身」であったことに「僕」は気づきます。

自分の生み出したものに責任を持ちたい。失うものがあっても、壁の中の者たちを大切にしたい という「僕」のおもい、やさしさが心に響きます。

思い出の音楽「ダニーボーイ」で失った心を取り戻すシーンも、シンプルながら美しい、村上作品を代表する名シーンです。

理由④暴力シーンが控えめ

村上春樹作品、意外と暴力的、グロいシーンが多く、この点については正直苦手です。(「ねじまき鳥~」の皮剥ぎ男、海辺のカフカのジョニーウォーカーなど)

「世界の終わり~」でも主人公が敵勢力に襲われるシーンがありますが、へその下を浅く切られるだけ。安心して読めます。

安心とは

ところで、、、
村上春樹氏の最新作「街とその不確かな壁」も、Amazonレビューを見る限り暴力シーンはほぼなし。安心して読めそうです。
「図書館」「壁」など「世界の終わり~」と共通するキーワードが多く、気になります。

主人公は何を失い、何を得たのか?

「壁の中」で生きることで「僕」が何を失い、何を守ったのかは、作品中では明言されません。村上作品ではありがちですが「はぐらかされ」ます。

何を失い、何を得たのか、読者サイドの想像に委ねられている、というよりは、読者が 「自分の中にある、失われない、確固たるものはなんだろうと」それぞれ考え、「僕」に当てはめる ことが、この小説の結末であるように感じました。

Audible版「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を正直に評価する

結論

Audible版「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」本当に素晴らしかったです。

語り手は大森南朋(おおもりなお)さん

Audibleには「声優さん」が読んでいる作品と「俳優さん」が読んでいる作品があります。

「世界の終わり〜」をはじめ、村上春樹作品のAudible版は、ほぼ「俳優さん」の朗読。「世界の終わり〜」を朗読している大森さんは、多くのテレビドラマ、映画に出演している人気俳優さん。ちょっと怖いシリアスな役から、愛嬌のある役、優しい包容力のある役など、幅広い役がらで活躍してます。

ドラマ「コウノドリ」(Prime Videoで見られます)では、新生児科部長の今橋先生役。命の瀬戸際で戦う母子を支える、温かいキャラクターを演じていました。

ファンです(直球)

大森さんの声と「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が世界観がベストマッチすぎる

村上春樹作品の特徴は、なんといっても淡々、飄々とした主人公のキャラクター。そのどこか現実感のないキャラクターに、大森さんのざらついた声がベストマッチでした。

プロの声優さんではないため、感情の込め方、聞き取りやすさはプロの声優さんのそれに劣るかもしれません。しかし、大森さんボイスでの「ふうん」「やれやれ」を聴くと、もうこの人しかいない!という気持ちに。

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んだことがある方にこそ、このAudible版を強くお勧めしたいです。

ここが残念!Audible版「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のデメリット

文庫版ファンとしては、文庫版表紙裏にある「世界の終わり」の地図が付属していないのが、非常に残念でした。一部挿絵のデータはAudible版にも添付されているのに、このイラストがないのはとても勿体無いです。

どうか地図のデータをつけてほしいなあ。

 

 

村上春樹作品は「ものすごいブーム」を引き起こした

村上春樹作品が「大人気」となったのは1987年発表の「ノルウェイの森」がきっかけといわれています。

2023年現在、50代前後の方々にとっては、まさに「青春の1ページ」となる作品。

2000年頃、学生のわんこたんが教室の片隅で、父から借りた「世界の~」を読んでいると、居合わせた教師(ちょうどその年代の方)から「おお~村上春樹を読んでいるのか!」と、声をかけられることが何度もあったので、間違いなく「かなりのブーム」であったと推察されます。

「村上春樹作品」の魅力・特徴とは

わんこたんが考える「村上春樹作品」の特徴を書きました。

淡々と描写される「性」

わんこたんが本作品を初めて読んだのは中学生のとき。「性」について淡々と語られるシーンが多く驚きました。

いわゆる「濡れ場」的な、エッチな表現ではなく。「勃起した」とか「勃起しない」とか「この娘とセックスをするかどうか」みたいなことを主人公が黙々と考えるシーンが多いのです。

「大人になるとこういうかっこいいこと(?)を考えるようになるのか」と、当時はとっても憧れました。

今では大人になったけど別にそんなことはなかった

村上春樹作品の中、キャラクターたちはいとも自然に、朝起きたら歯を磨くような感覚で「セックス」します。

一方で「セックス」は村上春樹作品の中でも重要なキーワードとなっているようで、「この人とはセックスをする」「この人とはしない」というのも大事な意味をもっているようで、主人公の決断、精神的な切り替わりの象徴としても描かれます

まとめ

村上春樹作品の中でもファンの多い「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」について、わんこたんの考察を書いてみました。

ストーリーもわかりやすく、SF的要素もあって楽しめる本作品、未読の方はぜひチャレンジしてみてください!

読んだことある方も、「聴く読書」Audibleで、新しい「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を体験してみてくださいね。

<お礼>

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」をわんこたん一押しの一冊として、読書ブロガー仲間「なかじ」さんのブログ記事で紹介していただきました。ありがとうございました!

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