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村上春樹作品の最高傑作!世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの感想と解説

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

村上春樹氏の代表作であり絶大な人気を誇る「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
その魅力について、本作を3回読んだわんこたんの考えをまとめました。
小難しい批評はいっさいなし!気楽な気持ちで最後までお読みください。

あの「やみくろ」のオリジナルイラストも!

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)
 

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ねじまき鳥クロニクル1
ねじまき鳥クロニクル2
ねじまき鳥クロニクル3
海辺のカフカ上
海辺のカフカ下
1Q841

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドのあらすじ

村上春樹さんの初めての書きおろし長編小説であり、第21回谷崎潤一郎賞受賞作。

「私」と「僕」2つの世界が、交互に描かれ、その謎が解かれていきます。

 

作中で描かれる2つの世界
  • 私」サイド 〜ハードボイルド・ワンダーランド〜

計算士として働く「私」は、博士からとある依頼を受けるが、そのことをきっかけに記号士たちに狙われることになる。

  • 僕」サイド 〜世界の終り〜

高い壁に囲まれ、獣と共に生きる世界。その世界に流れ着いた「僕」は、番人に言われるがまま、自分の影を切り離し、夢読みとなる。

ここから先はネタバレを含むため、ご注意ください。

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの基本情報

 

  • 著者:村上春樹
  • 発売:新潮社 1985/6/15
  • Kindle Unlimited:読み放題の対象外
  • 「聴く読書」Audible:2024年1月現在 聴き放題対象
    冒頭5分の試聴はこちら  ※リンク先で「▶Audibleサンプル」を押下

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    大森南朋さんによる、心に染み入る朗読、ぜひお試しを。

 

【考察】なぜ「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は最高傑作といわれるのか

わんこたんは村上春樹作品をいくつか読んでいますが、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が一番おもしろい、と考えています。

 

わんこたん的 村上春樹作品ランキング(既読作品のみ)
  1. 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
  2. 海辺のカフカ
  3. ねじまき鳥クロニクル
  4. ノルウェイの森
  5. 1Q84

 

同じことを考える読者が多い(?)ようで、ねとらぼの2020年の人気調査でも本作品が人気No1に。

 

2023年4月13日に最新長編作「街とその不確かな壁」が発売されたので、このランキングも変わる可能性はありますが、なぜ「世界の終りと~」が一番人気なのか、考えてみました。

 

理由①「計算士」「記号士」「百科事典棒」「意識の核」「やみくろ」などSF要素がおもしろい

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」はジャンル的にはSFに近く、やたら意味の分からない言葉がたくさん登場します。この意味不明さが、わんこたん大好き。

ー計算士、意識の核、シャフリング

  • 主人公の「私」は「計算士」
  • 脳内に埋め込まれた「意識の核」を使って、計算処理(シャフリング)を行う。

「計算士」である私は、「意識の核」を使って「シャフリング」という特殊作業を請け負っています。

 

しかし、このシステム開発の経緯には恐ろしい秘密があって、、、

 

意識の核=「世界の終わり」

「意識の核」とはなにか。

「意識の核」はひとつの物語であり、もうひとつの世界、「世界の終わり」の舞台であったことが、判明。

 

この「理解できるけど、ふしぎな世界観」がやみつきになります。

 

外界から隔たれた世界?

図書館の女の子との会話で登場する「失われた世界」。
実はシャーロック・ホームズシリーズでおなじみ、コナンドイルのSF小説。

舞台は崖に囲まれた台地。獣ではなく「恐竜」が登場します。

紹介記事はこちら

【恐竜求めて南米へ!】失われた世界/ コナンドイル あらすじと感想 -

 

失われた世界
失われた世界
 

 

 

さらっと出てくるけどなんだかすごい、「百科事典棒」

「棒」を1本用意し、そこに正確な「刻み目」をひとつつけるだけで、この世の情報を全て収納できてしまう、という「百科事典棒」

 

博士の説明の中に出てくるたとえ話の一つですが、理論的には実現可能っぽいところにわくわくさせられます。

これ、検索しても元ネタがわからないのですが、村上氏独自のアイデアなのでしょうか?

 

謎の存在、「やみくろ」をイラスト化してみた

敵勢力として登場する「やみくろ」。なんだかかわいい名前と裏腹に、人間を食べるともいわれる恐ろしい存在ですが、本編中にその姿を見せることはありません。

せっかくなので想像図を描いてみました。

やみくろイメージイラスト

あなたの想像と似てる??似てない??

 

理由②ストーリーがわかりやすい

村上春樹作品、はっきりいって「わかりづらい」です。

主人公がどんな状態なのか、目的はなにか、これは夢なのか現実なのか、混乱させられることも。

 

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」

  • 二つの世界を交互に描写している
  • 片方が現実、片方は空想(脳内)
  • 脳に時限爆弾がしかけられたのでなんとかしないといけない
  • 壁の外にでなければならない

のように、話の構成、キャラの目的がとても明確で、村上作品を初めて読む方にもおすすめです。

 

理由③結末の美しさ

  • 「ハードボイルド」サイドの主人公(私)
    →自分の「結末」を受け入れ、旅立ちを決意。
    ラスト、晴海ふ頭でのシーンがとっても美しい。

 

  • 「世界の終わり」サイドの主人公(僕)
    壁に囲まれた世界から脱出することを目指していましたが、結末では、、、

 

「壁に囲まれた世界」は不自然で、心がなくて、間違った世界。しかし、それを生み出したのが「〇〇」であったことに「僕」は気づきます。

 

例え失うものがあっても、壁の中の者たちを大切にしたい という「僕」のおもい、やさしさが心に響きます。

思い出の音楽「ダニーボーイ」の登場シーンも、シンプルながら美しい、村上作品を代表する名シーン!

 

「私」と「僕」の切なくも美しい結末。読んだことのない方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)
 

 

理由④暴力シーンが控えめ

村上春樹作品、意外と暴力的、グロいシーンが多く、この点については正直苦手です。(「ねじまき鳥~」の〇剥ぎ男、海辺のカフカのジョニーウォーカーなど)

 

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」でも主人公が敵に襲われるシーンがありますが、へその下を浅く切られるだけ。安心ですね。

安心とは

 

ところで、、、
村上春樹氏の最新作「街とその不確かな壁」も、Amazonレビューを見る限り暴力シーンはほぼなし。安心して読めそうです。


「図書館」「壁」など「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」と共通するキーワードが多く、気になります。

 

街とその不確かな壁
街とその不確かな壁
 

 

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の結末で、主人公は何を失い、何を得たのか?

「壁の中」で生きることで「僕」が何を失い、何を守ったのかは、作品中では明言されません。村上作品ではありがちですが「はぐらかされ」ます。

 

何を失い、何を得たのか、読者サイドの想像に委ねられている、というよりは、読者が 「自分の中にある、失われない、確固たるものはなんだろうと」それぞれ考え、「僕」に当てはめる ことが、この小説の結末であるように感じました。

 

Audible版「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を正直に評価する

「聴く読書」サービス、Audibleで、本作を全編聴いてみました。

結論

Audible版「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」本当に素晴らしかったです。

 

\\ ▶Audibleサンプル を押して冒頭5分を視聴できます //

 

語り手は大森南朋(おおもりなお)さん

「世界の終わり〜」を朗読している大森さんは、多くのテレビドラマ、映画に出演している人気俳優さん。ちょっと怖いシリアスな役から、愛嬌のある役、優しい包容力のある役など、幅広い役がらで活躍してます。

ドラマ「コウノドリ」(Prime Videoで見られます)では、新生児科部長の今橋先生役。命の瀬戸際で戦う母子を支える、温かいキャラクターを演じていました。

 

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ファンです(直球)

 

大森さんの声と「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が世界観がベストマッチすぎる

村上春樹作品の特徴は、なんといっても淡々、飄々とした主人公のキャラクター。そのどこか現実感のないキャラクターに、大森さんのざらついた声がベストマッチ!

 

あくまで俳優さんであり、感情の込め方、聞き取りやすさはプロの声優さんのそれに劣るかもしれません。

 

しかし、大森さんボイスでの「ふうん」「やれやれ」を聴くと、もうこの人しかいない!という気持ちに。

 

実際に「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」をぜんぶ聴きましたが、何度も読んだ作品なのに「聴く」ことで、新たな発見があり、とても楽しめました。

まるで映画を観ているような臨場感 、「ただの朗読」とあなどるなかれ。

 

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読んだことがある方にも、Audible版、オススメです!

 

ここが残念!Audible版「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の欠点

「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」文庫版にある「世界の終わり」の地図が付属していないのが、非常に残念でした。一部挿絵のデータはAudible版にも添付されているのに、このイラストがないのはもったいなすぎる!

 

地図がないのは残念ですが、ドライブしながら、家事をしながら、耳から村上春樹作品の世界にひたってみませんか?

 

ドライブ中の「聴く読書」がおすすめ!

Audibleの使用感を、こちらの記事でも紹介しています。

車内でも読書を満喫する!車酔い(乗り物酔い)対策の方法と読書のコツ

 

「村上春樹作品」の人気・特徴とは

わんこたんが考える「村上春樹作品」の特徴を書きました。

 

村上春樹作品は「ものすごいブーム」を引き起こした

村上春樹作品が「大人気」となったのは1987年発表の「ノルウェイの森」がきっかけといわれています。

ノルウェイの森
ノルウェイの森
 

2023年現在、50代前後の方々にとっては、まさに「青春の1ページ」となる作品。

2000年頃、わんこたんが教室の片隅で、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでいると、その年代の教師から「おお~村上春樹を読んでいるのか!」と、何度も声をかけられたり。

 

間違いなく、「かなりのブーム」であったのでしょう。

 

淡々と描写される「性」

わんこたんが本作品を初めて読んだのは中学生のとき。「性」について淡々と語られるシーンが多く驚きました。

 

いわゆる「濡れ場」的な、エッチな表現ではなく。「勃起した」とか「勃起しない」とか「この娘とセックスをするかどうか」みたいなことを主人公が黙々と考えるシーンが多いのです。

 

「大人になるとこういうかっこいいこと(?)を考えるようになるのか」と、当時はとっても憧れました。

 

大人になったけど別にそんなことはなかった

 

村上春樹作品の中、キャラクターたちはいとも自然に、朝起きたら歯を磨くような感覚で「セックス」します。

 

「セックス」は村上春樹作品の中でも重要なキーワード。「この人とはセックスをする」「この人とはしない」というのも大事な意味をもっているようで、 主人公の決断、精神的な切り替わりの象徴としても描かれます

 

まとめ

村上春樹作品の中でもファンの多い「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」について、書きました。

ストーリーもわかりやすく、SF的要素もあって楽しめる本作品、未読の方はぜひチャレンジしてみてください!

読んだことある方も、「聴く読書」Audibleで、新しい「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を体験してみてくださいね。

 

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)
 

 

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