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平成生まれの必読書!?そして誰もゆとらなくなった の感想

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

 

史上初の平成生まれ(ゆとり世代)の直木賞受賞者であり、男性受賞者としては最年少者でもある、朝井リョウ氏。

受賞作となった何者、「正しさ」とはなにかを問うた、正欲。人間の心を丁寧に観察、描写した作品で読者の心をつかむ朝井氏、その実態は……!?

丁寧な自己観察力で己を綴った予測不能自由律爆笑エッセイ、そして誰もゆとらなくなったの感想です。

 

電車の中の読むの禁止!朗読版はさらに予測不能!

 

そして誰もゆとらなくなった
そして誰もゆとらなくなった
 

 

そして誰もゆとらなくなった あらすじ

史上最年少の直木賞受賞作家、朝井リョウ氏が、自分の身の回りのこと、思うこと、肛門のことを赤裸々に綴った、苦笑い必至のエッセイ本!

 

  • 著者:朝井リョウ
  • 発売:文藝春秋 2022/8/8
  • Kindle Unlimited:対象外
  • Audible(聴く読書):聴き放題対象
    ▶︎1分間の試聴はこちら(リンク先で「▶Audibleサンプル」を押下)

    Audible版(朗読版)でエッセイを聴くと、朝井さんご本人がしゃべっているかのような錯覚に。(実際は声優の渡辺紘さんの朗読)

    もう私の中で朝井リョウさんの声は、これで確定。落ち着いた、淡々とした朗読で語られる驚愕爆笑エピソード。必聴です!
    //合わなければ体験中の解約OKで安心\\

 

著者 朝井リョウさんと、エッセイ「ゆとりシリーズ」について

朝井リョウさんといえば、直木賞受賞作 何者 や、第34回柴田錬三郎受賞の正欲など。登場人物の感情を冷静に分析、俯瞰したかのような描写が、心に迫る作品を多く書いています。

 

何者
何者
 

 

 

 

正欲
正欲
 

そんな朝井さんが、その冷静な観察力を己に向け、直木賞受賞の巧みな比喩表現(?)を駆使して産み出されたのが、このエッセイ そして誰もゆとらなくなった

そのあまりに冷静な自己分析によって、なぜか朝井さんのヤバい部分が曝け出され、なぜか爆笑エッセイが誕生……いやどうしてそうなった。

 

そして誰もゆとらなくなった は、朝井さんのエッセイシリーズ(ゆとり三部作)のラストを飾る3作目ですが、前作を読まずとも頭空っぽにして楽しめるのでご安心を。

以下に朝井さんのエッセイシリーズ、ゆとり3部作を並べています。

 

※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ。1作目 時をかけるゆとりは2024年6月現在、Kindle Unlimited 読み放題対象です。

時をかけるゆとり
風と共にゆとりぬ
そして誰もゆとらなくなった

 

そしてもゆとらなくなった 感想

いつのまにか、誰もゆとり世代のことを話題に上げなくなった。

そんなぼやきから始まるこのエッセイ。Z世代だのなんだの、新しい世代に追いやられて忘れさられていくこの世代。

 

「ゆとり」と馬鹿にされるのは嫌だけど話題に上がらなくなるのはやっぱり嫌だ、というひねくれ加減が、まさにゆとり世代!!管理人わんこたんも朝井さんと同世代なので、この気持ちわかる、気がする。

 

朝井リョウさんはお腹が弱い

エッセイシリーズ ゆとり3部作の1作目 時をかけるゆとりでは、その冒頭から自身のお腹の弱さをカミングアウトしている朝井氏だが、お腹の弱さは今作も健在。健在とは。

症状としては過敏性腸症候群に近いようで、朝井氏の生活にも支障をきたしており、本来ならば笑っていいネタではない、なのですが。

 

その荒ぶる便意に対する比喩表現が秀逸すぎて、結局笑わされてしまう。人間にはなぜか「unkoネタ」で笑ってしまうという小学生みたいな本能が刻み込まれてしまっているらしい。不思議。

 

しかしやはり生活に支障が出てしまう状態はかなり気の毒なので、治るといいな。

 

朝井リョウさんは時々謎の行動力を発揮する

朝井リョウさんの行動はぶっ飛んでいる。

決して行動力があるというわけではないらしい。自発的に旅行に行くことはしない(他人の旅行プランに乗っかる)し、ご自宅のスマートホーム化など、ご友人に丸投げ。

 

ところが、一度やろう、と決めると一転、ゴールに向かって粛々と計画を立て実行する謎の行動力を発揮する。

なぜ結婚式の余興でアレをしようと思ったのか。なぜホールケーキをめぐり赤の他人にライバル意識をもつのか。疑問と笑いが止まらないエピソードの数々は、ぜひそして誰もゆとらなくなったで確かめて。

 

成瀬は天下を取りにいく、という小説で、思ったことをなんでも実行する主人公成瀬が人気となったが、朝井リョウ氏はまさに「成瀬」である。しかし成瀬のような青春の輝きはない。なぜ。

 

成瀬は天下を取りにいく
成瀬は天下を取りにいく
 

 

 

Audible(聴く読書)で聴くと、先が読めなくて非常にやばい

一般的に文字書籍を読むと、ページをめくったところで見開きの情報が視界に飛び込んでくる。

あ、このページではこんなことが起きるのね〜という情報が、ある種ネタバレのように読者に伝わってしまう。

 

(※もちろんこれを克服するために、わざとページのめくりの直後に驚きの描写を持ってくるなど、作家側も工夫を凝らす。)

 

これがAudibleだと、朗読なので次の文字は一切見えない。1文字先は闇。

だから不意打ちのように飛んで来るのである。

unkoを祀る奇祭が、はらぎゅるが、シザーハンズが、ごぼうが。(こうして単語だけ抜き出すと何も面白くないし、訳がわからないのだけど)

そして誰もゆとらなくなった ぜひAudible版をお試しあれ!

 

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そして誰もゆとらなくなった から得られるなにか

朝井氏の行動はぶっ飛んでいるが、その行動原理には、つい共感してしまう部分も。

 

学生のうちにしておくべきことスタンプラリーを埋めることで安心を得ようとする朝井氏。わかる、わかる。学生のうちに旅行、特に海外に行っとくと、なんか安心する気持ち。

 

そして誰もゆとらなくなったを読んで何かを得ることはないけれど(ないんだ……)、「笑い」と「じぶんだけじゃないんだ」という謎の安心をもたらしてくれる。疲れた時に、ふあーと放心しながら一気喰いするポテチのようなエッセイ。

ポテチと違ってゼロカロリー。体に悪くもないので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

そして誰もゆとらなくなった
そして誰もゆとらなくなった
 

 

そして誰もゆとらなくなった の次に読みたいおすすめ作品

関連する(?)おすすめ書籍をまとめました。

 

タイトルの元ネタはこちら

そして誰も◯◯なくなった。構文の元になった。偉大すぎる邦訳。誰もがタイトルだけは知っているであろう、傑作ミステリーです。

タイトルでめちゃくちゃネタバレしているのに、読むとめちゃくちゃ面白いってのがまたすごいよね。

 

そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
 

 

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