そんななか都内で発生する地下鉄立てこもりテロ。その背後に見え隠れする強大な敵の存在。警察組織の軋轢と、それを乗り越え武器をふるう、警視庁捜査部の活躍を描いた、SF警察小説です。
機龍警察〔完全版〕あらすじ
世界中にテロリズムが蔓延し、市街地を舞台とした近接戦闘を主眼におく兵器「機甲兵装」が台頭した世界。
テロの危機から国家を守るため、新設された警視庁特捜部には、3台の新型龍機兵と、その搭乗者、姿、ライザ、ユーリが配属されていた。
警察の中の異分子である彼らは、その心奥にそれぞれの思いと過去を秘めつつ、任務に従い敵を殲滅する!
- 著者:月村 了衛
- 発売:早川書房 2010/3/19 → 加筆修正した〔完全版〕2014/11/7発売
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):聴き放題対象
▶︎5分間の試聴はこちら (リンク先で「Audibleサンプル」を押す)
文字書籍でもただただかっこいいのに、Audible版聴いたら鼻血出てしまいそう。(聴け次第レビューします!)
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著者 月村了衛さんと機龍警察シリーズについて
2010年、月村了衛さんが早川書房から機龍警察で小説家としてデビューを果たしたのは、40歳を過ぎてのこと。デビュー作でこの熱量、この密度。ただただすごい!
機龍警察シリーズは2024年現在7作品9冊が刊行中。この記事で紹介している機龍警察〔完全版〕が1作目になります。
※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ
2作目 自爆条項 も読みましたが、こちらも最高!シリーズ全部制覇を目論む、管理人わんこたんです。
機龍警察〔完全版〕感想
とにかく全てがカッコ良すぎて読み始めたら止まらない1冊でした。
警察組織の確執が超リアル!
メイン舞台となる警視庁。この中に「特捜部」という架空の部署が作られ、日本を脅かすテロ組織や陰謀に対処する、という設定。龍機兵と搭乗者が所属するのも、この警視庁特捜部です。
警視庁特捜部=Special Investigators,Police Dragoon 略してSIPD
特捜部を率いるのは外務省から異例の抜擢をされた、沖津警視長。
特捜部のメンバーは、警視庁などから選抜され一足飛びに昇進。当然、特捜部以外の警視庁の仲間(SAT含む、警視庁警備部など)にとっては面白くない話。
ここで警視庁特捜部 ↔︎ 他の警察官との軋轢がゴリゴリと描かれ、リアリティがあります。
さらに、特捜部も一枚板ではありません。特捜部の中でも龍騎兵に搭乗するメンバーは、全員傭兵。テロ組織出身のライザをはじめ、あまりに異物すぎるメンバー
警視庁特捜部も他の警察官も、異物としてまともに扱おうとすらしない。
そんな逆風下でも、卓越したスキルで活躍する龍騎兵搭乗者がもうめちゃくちゃかっこいいし、現場での彼らの活躍で、警視庁の内部が少しずつ変化していく、、、そんな可能性を感じさせる1作目でした。
魅力的すぎるキャラクター描写
舞台となる警視庁捜査部のメンバーは以下の通り。
- 龍機兵に搭乗する、姿、ユーリ、ライザの警部3名
- 謎だらけの経歴。捜査部を率いる沖津警視長。
- 沖津警視長に疑念をいだきつつ、両腕として支える城木警視と宮近警視コンビ
- 現場捜査を引っ張る夏川警部補と由紀谷警部補コンビ
- かつてライザの属していたテロ組織IRFに家族を殺され、複雑な思いを抱きつつも、技術担当者として龍機兵の整備に徹する鈴石緑警部補
それぞれの複雑な思惑や背景が描かれつつ、国家の安全のために奔走する警察官たち。
1作目 機龍警察〔完全版〕では、捜査部の主要メンバーの背景を一通り紹介。物語が進むにつれ、彼らの関係性はどう変化していくのか?
捜査部発足の秘密が徐々に明らかになるのか?という点も、続刊を楽しみにしていきたいです。
龍機兵がとにかくかっこいい
作中では捜査や会議部分を丁寧に描写しているので、意外と龍機兵の出動は少なめ。活躍場面は冒頭とラストの2箇所のみ。
ですが、とにかくかっこいい!が凝縮されていて、もう最高なのです。
※興奮しすぎて語彙力低下中
3機の龍機兵にそれぞれとがった性能の特徴・カラーリングがあります。いいね!
- フィアボルグ:近接戦闘特化型。ダークカーキの機体
- バーゲスト:黒い猟犬を思わせるフォルム。俊敏
- バンシー:大火力を備えた純白の死神
龍機兵含む機甲兵装全般には、スコットランドやイングランドの伝承にまつわる名前がつけられています。いいね!
ラストのラストに、コマンドをコールして切り札を出すというニクイ演出も。当然、切り札なので制限時間あり。いいね!
専用武器やアタッチメントもみどころ。ナイフによる近接戦闘を得意とする姿警部は、龍機兵戦でも専用のナイフを装備。棍をあやつる、強力な敵龍機兵との戦闘は、見ごたえ抜群です。いいね!
続巻以降でも、専用武器やアタッチメント装備が登場します。要チェック!
こちら、ファンの方が描いた龍機兵のオリジナルイラスト。すばらしい!
機龍警察よりフィアボルグ、バーゲスト、バンシー(オリジナルデザイン) pic.twitter.com/Dubbvyrnb3
— ソロコフ (@solokov09) December 12, 2018
リアルな捜査に引き込まれる、まさにSF警察ミステリー小説
龍機兵という存在から、SF小説と思われがちですが、機龍警察のメインはあくまで警察捜査であり、ミステリー要素も大きいのです。
シリーズが進むにつれて、警察要素がさらに濃くなり、捜査一課、捜査ニ課、都道府県警はもちろん、公安、国税なども登場し、総力戦の様相に。
警察捜査のリアリティもすごいのが、機龍警察シリーズ。緻密で泥臭い捜査の様子に引き込まれます。
2作目「自爆条項」以降もますますおもしろくなるので、ぜひ読んでみてほしい!
機龍警察の次に読みたい おすすめ作品
警察がかっこいい小説!をテーマにおすすめ書籍を集めました。
さえない中年男。自称:スズキタゴサク。しかしその正体は、強烈な悪意で警察を手玉にとる、希代の爆弾魔で……
対抗するのは、クセの強い取調官。悪意と知能のぶつかり合いに、のめりこめる一冊です。
感想記事はこちら▶︎究極のノンストップミステリー 爆弾/呉勝浩 イラスト感想 - わんこたんと栞の森
世界中で大ヒットしたSF小説三体、といえば、主人公を守るやさぐれ警察官、史強(シー・チアン)の活躍は外せません。
頼れる兄貴分でもあり、敵に対しては冷酷非情な作戦をとる捜査官でもあり。史強に注目して読んでみてほしい!
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