自称ヤスミスト(※小林泰三作品の大ファンの意)である、当ブログ管理人わんこたんが、初心者から玄人まで、おすすめの小林泰三作品を紹介します。
小林泰三は「タイゾウ」ではなく、「ヤスミ」だよ!
\迷ったらまずはデビュー作から/
- ずばり、小林泰三さんの最高傑作はこれ!理由は?
- 小林泰三さんは、どんな作家なの?
- 迷ったらこれ!小林泰三 初心者向けの作品はこちら
- 記憶をテーマにした作品多数
- 玄人向け!?おバカとハードのギリギリ作品も
- 小林泰三作品が気に入ったなら、こちらもおすすめ
ずばり、小林泰三さんの最高傑作はこれ!理由は?
ヤスミストゆえに悩みました。
最高傑作には、玩具修理者(表題作と酔歩する男を収録)を選びました。収録2作品合わせた1冊で最高傑作、とさせてください。
選出理由は以下の通り。
- 小林泰三さんが得意とする量子力学ジャンルベースのSFホラー。
- これが合わなければ、他の小林作品もおすすめできない、と言える、「らしさ」(不条理な会話劇、じわじわくる恐怖)が詰まってるから
もちろん、小林泰三作品には他にもおすすめ多数!この記事の後半で紹介します。
小林泰三さんは、どんな作家なの?
小林泰三(こばやしやすみ)さんは1962年うまれ。ホラー、ハードSF、サスペンスを得意とする小説家です。
1995年、「玩具修理者」で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しデビュー。翌年単行本化され、ベストセラーに。
2020年11月に残念ながら逝去。未来からの脱出(角川ホラー文庫)が遺作となりました。
SF自体が、Science Fictionと書かれる通り、フィクション=作り話ですが、その中でも特に、科学的な整合を取ろうとしているSFを「ハードSF」と呼ぶことがあります。
参考▶︎ハードSFの金字塔/湯川高志
\ ハードSFとしてよく挙げられる1冊 /
当ブログ管理人わんこたんは、理論の実現可能性はおいといて、何かしら科学的な説明をつけようとしている作品は、ハードSFとみなしています。(この辺りの定義は、人による)
決してハードSFがSFの中でも優れている、という訳ではなく、あくまでひとつのジャンル話にすぎない、ということをご理解ください。
シリーズ作品や、キャラクターのカメオ出演も
小林泰三さんのシリーズ作品として名高いのは、メルヘン殺しシリーズでしょうか。ハードSFが得意な作家さんですが、ミステリーも面白い!
シリーズ1作目アリス殺しは、このミステリーがすごい!2014年版 国内編で4位の快挙。
また、ひとつの作品で登場したキャラクターが、他の作品にカメオ出演することも多く、(例、田村二吉シリーズなど)遊び心ある作品も多いです。
迷ったらこれ!小林泰三 初心者向けの作品はこちら
はじめて小林泰三作品を読む方におすすめの3作品を選びました。小林泰三作品の中でも、作者らしさを色濃く出しつつも、初心者がとっつきやすい作品になっています。
玩具修理者
- 喫茶店の中で会話する「わたし」と「彼女」。彼女は、こどもの頃の事故について語り始めます。事故でけがを負った彼女が出会った「玩具修理者」の正体は……(玩具修理者)
-
血沼(ちぬ)は飲み会の帰り際に、小竹田(しのだ)という男に出会う。
小竹田は血沼のことをよく知っているようですが、血沼には覚えがありません。
物語は2人が所属する研究室に菟原手児奈(うない てこな)が配属されたところにさかのぼり……(酔歩する男)
ホラーでバイオでタイムトラベル!?じわじわくる恐怖と混乱がたまらない、「最高傑作」な1冊です。
アリス殺し
不思議の国でハンプティ・ダンプティが塀から落ちて死ぬ夢を見た後、亜理が大学に行くと、玉子というあだ名の人物が転落死していた。
夢の世界の死は現実の死?容疑者となった亜理は、同じ夢を見ている井森と、真犯人を捜しもとめるが……
メルヘン世界での特殊設定ミステリー。SF、ホラーだけじゃない、ということを知らしめた1冊です。
小林泰三作品を読みなれていると、仕掛け部分が予想できてしまうので、早めに読むのがおすすめ!
海を見る人
旅をする世界。対立する2つの国の世界。逆さまの世界……かなり不思議で、ちょっぴりホラーな世界と、そこに生きる人間たちの、少し切ない物語。小林泰三ワールド全開のハードSF短編集!
不思議な世界の数々は物理学的にも検証してデザインされており、ハードSF入門者も、ガチ勢も楽しめる作品となっています。
記憶をテーマにした作品多数
小林泰三作品といえば、記憶!というくらい、記憶をテーマにした作品多数。
記憶が失われたり、混ざったり。ややこしい展開に、脳みそはこんがらがりますが。先が気になり、ついつい読むのが止まらなくなります。
殺人鬼にまつわる備忘録
ストーリーはずばり「記憶が30分しかもたない主人公」VS「相手の記憶を改変できる殺人鬼」
圧倒的に不利な主人公ですが、アイデアと、記憶代わりの記録ノートで殺人鬼に立ち向かいます。ハラハラ展開に一気読み必至なサイコスリラー!
SF要素は少ないので、SF苦手な人、小林泰三作品ははじめて、という方にもお勧めできる1冊です。
忌憶
記憶にまつわる3つのホラーエピソードが収録された中篇集。3つの物語は絶妙にリンクしており、生理的な嫌悪感と、論理的な恐怖がジワジワ。
ただし、クセが強いので、小林泰三作品は初めて、という方にはお勧めしません。逆に小林泰三作品に慣れた、ヤスミストなあなたなら、随所に現れるヤスミっぽさにニヤニヤできるでしょう。
なお、収録作品の「奇憶」を長編に改題した作品が、ひとつ前に紹介した、殺人鬼にまつわる備忘録です。
失われた過去と未来の犯罪
全人類記憶喪失SF!
あるときを境に、人類の長期記憶能力が一切失われ、記憶用デバイスが必須となった未来。事故で他人とデバイスが入れ替わった男女の運命は……?
記憶デバイスにまつわる事件を描いた連作SF短編集。死んだら意識はどこにいくのか?という、子供の頃に感じた根源的な恐怖を思い出す、ちょっと不思議でゾワゾワする作品です。
玄人向け!?おバカとハードのギリギリ作品も
小林泰三ファンなら、思わずニヤリとしてしまう、クセの強い作品たち。いきなり読むのはおすすめしません。
でも、初心者向け小林泰三作品を制覇したあなたにぜひ読んでほしい「変化球すぎる」作品を集めました。
見晴らしのよい密室
閉ざされた核シェルター内で胴体を切断された遺体。不可能犯罪の真実は……?
そんな結末あり?読者を翻弄するミステリー、ではなくSF短編集。初心者にはおすすめしづらいですが、小林泰三作品にハマった方なら、思わずニヤリとしてしまうこと、請け合いです。
大きな森の小さな密室
短編集見晴らしのいい密室とは異なり、こちらは純粋なるミステリー短編集。
と思いきや、後半にすすむにつれて、徐々にぶっ飛んだクセ強ミステリーが登場するので油断はできません。
オーソドックスな犯人あてから、SFミステリーにバカミスまで!小林泰三ワールドではおなじみのアイツやコイツも登場する、ヤスミストなら外せない1冊!
天体の回転について
小林泰三作品が気に入ったなら、こちらもおすすめ
小林泰三作品の次に読みたい、おすすめ書籍をまとめました。
なめらかな世界と、その敵/伴名 練
人間の脳の知覚や思考をテーマにした作品が多い点は、小林泰三作品に通じるものがあります。一方で、グロさはないので、小林泰三作品はグロいのがちょっと……という方にもおすすめしたい!
本当に一人の作家さんが書いたの!?と思うくらい、作品のベクトルが様々なので、1冊の満足感がすごいです。おすすめ!
感想記事はこちら▶︎(読了)読書感想文/なめらかな世界と、その敵 「秒速0.0003cm」の世界 - わんこたんと栞の森
閉じ込められた女学生の運命は?〔少女庭国〕
卒業式を迎えた羊歯子は気がつくと、ひとり部屋に閉じ込められていた!ドアには卒業試験を告げる貼り紙が。ドアを開けるとまた1人卒業生が。卒業生次々と増えていき、、、
これはデスゲームなのか?それとも……読者を驚愕の世界へ導く、理解不能系SF!
感想記事はこちら▶︎