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(読了)読書感想文/人間をお休みしてヤギになってみた結果 トーマス・トウェイツ

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

人間はつらい。仕事、人間関係、やりたいことをやりたいように
できない不自由さ。(一生ゲームやってたいけどそうもいかない)
なんとなくある将来への不安感(具体的なものも、そうでないものも)

 

かくいう自分も、最近、将来のためのスキルとか経験値を考えて
「この仕事やります!」と手を挙げたものの、
仕事が増える=しんどい
になわけで(そりゃそうだ)
早くも手を挙げたことを後悔したり。

 

なんなんでしょうね、人間。
人間やめて動物、ヤギなんかになったら
人生ゆるっと過ごせるんじゃないんですかね。

 

と、そこで本当にヤギになってやる!と一念発起した男の話が
本書となります。

 
↑表紙がなんだかポップでいいよね。
表紙からもわかるように、筆者は最終的に「ヤギ」になるのですが、
実際にヤギになってみた描写は少なめ(最後の方でちょっぴり)で、
ヤギになろうとする過程に重きを置いた構成となっています。
 
そもそもなんでヤギ?という動物選びの過程を経て
筆者は様々なところから協力(+若干の生暖かい視線)を得て
いろいろ試行錯誤するわけですが、
、、、実際のところなかなかヤギには近づけません。
 

ヤギ(草食動物)のような視界(360度後ろの方まで見えるやつ)
ヤギと同じ思考を得る(ヤギは人間のように悩んだりしないらしい)
ヤギのように胃袋を増設して草からエネルギーを取り出す
ヤギのようにぴょんぴょん岩場をかけまわる

 

筆者がこれらに正面から挑み、
(そして挫折したり妥協したりする)過程が
丹念に、描かれていきます。

そもそも、これで2016年のイグ・ノーベル賞(生物学賞)を受賞しているので
科学的にはめちゃくちゃ「ガチ」です。


ヤギの体はヤギが生きるために最適にできている。
その当たり前の事実が、無情にも筆者を襲います。笑える。

 

日本語訳もかなりユルめに振り切っていて、作者のユーモアをできるだけ
再現しようとしているなと感じます。


少なくとも本書を読んでいる間は人間をお休みできますので、
人間をやめたいみなさまには必読の一冊です。

 

おしまい

 

2点だけ、気になった点を
「脳の大きさ」の進化に関する記述について、
本書では「凶暴なオスを集団から排除することで、
集団の脳が縮小する方向に進化が進んだ」といったニュアンスで
書かれていますが、
以前読んだこちらの本↓の意見とは異なるように思えました。

 

wan3ko5tan.hatenablog.com

 

私は専門家ではないので、どっちが正しいかは知りませんが、
念のため。

 

また、「ヤギと人間が500万年前に進化の系統から分岐した」という
記載もありましたが、ここは明らかにもっと古い年代かなと思います。