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正直な感想は?世界でいちばん透きとおった物語

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

 

読めば必ず「透きとおる」と話題の小説、世界でいちばん透きとおった物語の感想を書きました。
仕掛けが楽しい関連書籍もあわせてご紹介!ぜひお楽しみください。
 
世界でいちばん透きとおった物語
世界でいちばん透きとおった物語
 

 

世界でいちばん透きとおった物語 あらすじ

僕、藤阪燈真は大御所ミステリ作家の宮内彰吾の隠し子。

宮内は正式な家庭をもちながら、母を含め多くの女性に手を出していた。そんな宮内が亡くなり、僕はその遺稿探しに巻き込まれることとなる。

その作品のタイトルは「世界でいちばん透きとおった物語」。遺稿を探しの旅は、予想外の結末に……?

 

  • 著者:杉井 光
  • 発売:新潮社 2023/4/26
  • Kindle Unlimited:読み放題対象外
  • Audible(聴く読書):Audible版 なし

 

著者 杉井 光さんについて

高校卒業後、フリーター・ニートを経験したのち、「火目の巫女」で第12回電撃小説大賞で銀賞受賞しデビュー。

ライトノベルレーベルからの多数の作品を発表、『超越数トッカータ(神曲プロデューサーに収録)』以降は一般文芸ジャンルの刊行も。

『世界でいちばん透きとおった物語』が30万部のヒット作となりました。

 

以下に著者の作品の一部をご紹介(書影クリックでAmazonのページにジャンプします)。この他の作品は、Amazonの杉井 光さん作品一覧ページをチェックしてみてくださいね。

 

楽園ノイズ
この恋が壊れるまで夏が終わらない
神様のメモ帳
さよならピアノソナタ
生徒会探偵キリカ1
楽聖少女

 

世界でいちばん透きとおった物語 感想

CAUTION!

この先、本作のネタバレを含む箇所があります。未読の方は回れ右!

 

ストーリー本編以外の感想

本編の感想の前に。

 

管理人わんこたん、この本がXで話題になっていて、早速Amazonへ。

そしたら、Kindle版がなくて

あっ

この時点で、紙媒体ならではのトリックであることを察してしまった。前情報なしに本作を楽しみたかったので、この時点でけっこうダメージでした。

 

「Kindle版がないというネタバレ」

 

仕方ない、紙書籍はできるだけ書店で買うというポリシーもあり、書店に行き、本作を見つけました。その時についていた帯がこれ。

電子書籍化絶対不可能!?

“紙の本でしか”体験できない感動がある!

絶対に予測不能な衝撃のラスト

これはねー。人によっては大大大ネタバレだと思うんです。一方で、こういう帯をつけるかどうかで、売上が大きく左右されるであろうことも事実。

なので文句はいえませんが……けっこうショックだった笑

 

というわけで、普段から紙書籍派で、かつ、帯がついていない状態でこの本を買って、一切のネタバレを見ずに読めた方。あなたはかなーり幸運です。おめでとう!

そして、あなたに本好きのご友人がいらっしゃったら、ぜひ本作を買って、帯を外した状態でプレゼントしてあげてくださいね。

 

「あの仕掛け」にどこで気づけたか?

しょっぱなからネタバレを食らった管理人わんこたん

  • 紙書籍ならではの仕掛け
  • タイトルの「透きとおった」

から、なんとなく紙を透かした仕掛けがあることは予想していました。なんなら序盤から見破ってやるぞと意気込んでいたわけですが。

わりと終盤(200ページ目あたり)まで気づけませんでした笑

ネタバレがどうのこうの言っときながら、気づけませんでした。

いやー悔しかったですね。

 

A先生とは誰のこと?

世界でいちばん透きとおった物語の、謝辞に登場するA先生は泡坂妻夫先生のことだと言われています。泡坂先生も「本そのもの」をトリックに使った書籍をいくつか書いているんです。

同じ新潮社から出ている「生者と死者ー酩探偵ヨギガンジーの透視術」はなんと、文庫本の随所に袋とじが!

袋とじを開ける前と後で、この全く違った物語になるというから驚きです。管理人わんこたんもついつい購入。読むのが楽しみ!

 

生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術
生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術
 

 

ストーリー本編の感想

仕掛けを見抜けなかった!と悔しがりつつも、改めて本作の感想を。

率直に書くと、「仕掛け」を除いた物語部分は、ちょっと消化不良という印象でした。

 

燈真くんの「目」の伏線は良かった

電子書籍だと本が読めるのに紙書籍だと読めない。などといった、燈真くんの視覚にまつわる伏線が随所に登場します。わかりやすい伏線なので、途中で真相に気づいた方も多いのでは。

本作は「電子書籍化不可能」という触れ込みの作品ですが、その登場人物が「電子書籍じゃないと読めない」というギャップが印象的でよかったです。

 

大御所ミステリ作家 宮内彰吾の印象

宮内は女性関係に奔放で、妻子いる身でありながら藤阪恵美に手をだし、妊娠させる、というキャラクター。恵美の希望もあり、離婚時に慰謝料は支払わず、藤阪親子は母子家庭として生活している……

 

と、この時点で宮内彰吾の印象ダダさがり。生前、担当編集をこき使っていた、というエピソードもあり、ますますイメージ悪化が加速。

物語がすすむにつれて、宮内彰吾が実は藤阪母子を気にかけていた、ということも明らかになりますが、当初の悪いイメージを覆すほどではなく、そのままラスト「     」で幕を閉じる。

 

感動話ふうに終わらせているようで、そんなにいい話じゃない!というのが正直な感想。「     」と書くのに相応しい人物、納得感ある結末であってほしかったです。

 

また、宮内は、生前〇〇しようとしたことを、「自分は人を殺そうとしたことがある」「殺し方は、まず腹にえものを突き入れて……」などと言い換えて、何人もの女性に語っていますが、そこも個人的には好きになれない点でした。

本当に〇〇しようとしたことを悔いているなら、そんな妙な表現で言いふらすなんてこと、しないでしょうに。

 

深町霧子さんという印象的なキャラクター

深町霧子さんは編集者で、主人公燈真の母親(フリーランスの校正者)とは一緒に仕事をする仲。

新卒1年目で文芸部に異例の大抜擢、という、おそらく才能あふれるキャラクター。作中では燈真の遺稿探しを手伝う役回りですが、作中ではあまり印象的な活躍シーンがなく、ちょっと残念。

 

不法侵入した犯人は……

燈真の家に不法侵入したり、といった不穏な事件も発生。犯人は後ほど明らかになりますが、この犯人の心情は、何も解決しないままなんですよね。

下手すると燈真くんに危害が及ぶのでは?と若干心配になるシーンでした。ここも物語としての消化不良感は否めない。

 

世界でいちばん透きとおった物語の次に読みたいおすすめ作品

世界でいちばん透きとおった物語、のような仕掛けが楽しいおすすめ書籍をご紹介!

 

きこえる/道尾秀介

書籍と音声のコラボ!

物語を読んで、途中に現れるQRコードを読み込むと、、、?

文字×音で紡がれる新感覚ミステリー!音声ならではの種明かしに、思わず「なるほど!と叫びたくなります。

ホラー表現はないので、怖がりな方もご安心ください。

 

きこえる
きこえる
 

 

感想記事はこちら▶︎真実を再生せよ!「きこえる/道尾秀介」の感想と、ほんのり解説 - わんこたんと栞の森

 

読み始めたらとまらない作品、揃ってます

 

世界でいちばん透きとおった物語
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