
手のひらサイズの小さな本、不自然なほどの笑顔の口元の表紙。
書店でみかけて、思わずぎょっとなった方も多いのでは。
モキュメンタリーホラー界の人気作家、背筋氏による、口に関するアンケ―ト 朗読版の感想と、考察をかきました。まさかの映画化決定!
口に関するアンケート あらすじ
とある心霊スポットを訪れた、5人の若者の証言。徐々に明らかになる、その真相とは……?
- 著者:背筋
- 発売:ポプラ社 2024/09/04
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象
▶︎5分間の試聴はこちら(リンク先で「▶プレビューの再生」を押下
聴く読書ならではの演出が随所にいれてあり、なかなかの怖さ。1時間でさくっと聴けますので、映画化で気になる方はぜひお試しを。
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聴く読書っていつ聴いたらいいの?Audibleの取り入れ方を解説しています▶聴く読書Audibleっていつ聴けばいいの?ぴったりハマる時間があるんです。
著者 背筋氏 について
小説投稿サイト、カクヨムで連載していた近畿地方のある場所についてが2023年にKADOKAWAより書籍化されデビュー。
著者のXアカウントはこちら▶https://x.com/sesujisesujises
「近畿地方」は、モキュメンタリー、とよばれる、架空ドキュメンタリーの手法で正体不明の怪異を描いた作品、映画化もされる大人気作品となりました。
※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプします。近畿地方のある場所について は、単行本(←)と文庫版(→)で内容が異なります。
映画になります!
原作は全部で60ページ、朗読版で1時間程度の短さなので、そこを映画ではどのように膨らませていくのか?要注目です。
口に関するアンケート 感想
書籍版と朗読版(Audible版)があり、わんこたんはAudibleで読了。
1時間で聴ける短い作品ですが、音声ならではの演出効果もあって、大満足。
驚かせる演出はないので、そういうものが苦手な方も安心して聴けます。でもちゃんと怖いです。
管理人わんこたんにとて初の背筋作品でしたが、これはおもしろい、というわけで、その後、穢れた聖地巡礼について も続けて聴いちゃいました……笑
インタビューに答える登場人物5人
全編、5人の若者それぞれによる、ひとり語りで構成されています。
最初は1つの友人グループなのかと思っていましたが、実は2つのグループに分かれており。徐々に時系列や背景情報、人間関係がわかってくるのが面白い。
登場人物の5人と、亡くなった1人は以下の通り。
- 村井翔太:亡くなった杏の友人
- 伊藤竜也:亡くなった杏の彼氏
- 原美鈴:亡くなった杏の友人。
- 堀田颯斗:オカルト研究部のメンバー
- 川瀬健:オカルト研究部のメンバー
- 杏:心霊スポットを訪れたあと、亡くなった。
各章題は、インタビューの録音のファイル名のようになっています。例えば最初の章は201908262310.m4a、次の章は201908262325.m4a という具合。
ファイル名は録音日時でしょうか。やたら遅い時間に録られているようですねえ……
インタビューを聴き、徐々に違和感が高まったところで、最後のアンケートの部分で状況が明らかになるところで、ゾワリ。
Audible版(朗読版)の演出、めちゃくちゃいい!
口に関するアンケート 書籍版を読んだ方はご存じの通り、この作品、文字が赤くなっている箇所があります。
さて、これをどのように朗読版(Audible版)で表現しているのか?……とそこは聴いてのお楽しみ。
「あの鳴き声」とか「最後のあの音」もちゃんと入っています。
Audibleの良さをめちゃくちゃ生かしてる。最高でした。
ただし!付属資料のPDFは最後の「アンケート」のシーンまで開かぬよう、要注意です
考察 呪いの木から呪われる木へ
美鈴の発言に出てくる、「呪いの木」から「呪われた木」への変化の話。情報が伝播されるうちに概念が変化しているのが、興味深いです。
- 呪いの木:呪いを積極的にかけようとすることで、発動。
- 呪われた木:常に呪いを発していて、近づくだけで呪われそうないイメージ。
上記はわんこたんのなんとなくのイメージですが、「呪われる木」のほうが、呪いがパワーアップしているような。
しかも、翔太のとある行為のせいで呪いに「蝉の要素」が加わっているようなんですよね。
情報の伝播による変化や、呪いを願う人によって追加された要素(この場合は蝉)によって、呪いが強化されているようで、恐ろしかったです。
この「呪いの変遷」は、近畿地方のある場所について でも、取り上げられたテーマでしたね。
考察 呪いはどのような条件で発動するのか?
登場人物のうち、伊藤竜也だけが「呪いの木」の前を通っていません。
けれど、結局彼も呪いの影響を受けています。「俺だけはなにも見ずにすんだはずなのに」て、言ってるくらいですから、彼にとっても予想外だったんだろうなあ。
「呪いの木」という概念を知っているかどうか、が、呪いの影響を受けるかどうか、の条件のひとつなのでしょうか。
(呪いの木に近づいたもの、すべてを呪われるのであれば、通報を受けて駆け付けた大勢の警察官まで呪われちゃいますよねえ。)
となると、ネット上で「呪いの木」「呪われた木」の情報を広めるという行為もまた、呪いの伝播に加担している、といえそう。
というかこの本自体が、「口に関するアンケート」という形で読者の興味をひく、呪い拡散装置になっているんですよね。こわいっ!
以下、口に関するアンケート Audible版の読了を前提とした記載があります。未読の方はご注意ください。
ここをクリックで開きます
語り終えると聞こえてくる。ガチャン、という音。
すごくパイプ椅子の音っぽくて。最初は、インタビューを終えて席をたつ音なのかな?って思ってました。
「あの場所」にパイプ椅子はないでしょうから、みんな持参させられたのかなあ。そう考えると、なかなかシュールな光景です。
表紙に秘められたエピソード
この奇妙で、不気味で、目をひく表紙。
デザインを決めるにあたり、何度も打ち合わせを重ねてきたのだそう。
いかにもホラーな赤黒系デザインとは一線を画す「違和感デザイン」をひろいあげる背筋さんのセンスもすごいし、そのアイデアを形にするスタッフの努力もすごい。
「口」って、そのままデザインすると、ちょっと気持ち悪いというか、生っぽくてぎょっとしてしまうんですが、そういう「気持ち悪さ」を排しつつ、「不気味さ」を残す絶妙なバランスに感動しました。
詳しくはこちらの記事で紹介されています。おすすめ!
▶『口に関するアンケート』制作秘話 前編 | bookwall 書籍の装幀、エディトリアルデザインを中心に活動するデザインオフィス
口に関するアンケートの次に読みたい おすすめ作品
一味違う、ホラーをお探しのあなたに。
梅雨物語 /貴志 祐介
兄の遺した俳句の謎を解いてほしい。教え子に請われるまま、認知症の老人は俳句を読み解いていくが…
謎解きと、追い詰められる恐怖がすごい、「皐月闇」をはじめ、収録3作品がどれも秀逸。読みやすく、恐ろしい、極上のホラーを味わえます!
感想記事はこちら▶︎極上のホラーをお手軽に 梅雨物語 感想 - わんこたんと栞の森
玩具修理者 /小林 泰三
収録の「酔歩する男」はホラーとタイムトラベルを組み合わせた傑作。
何度も足をはこんだ、なじみの店、なのに行こうとすると、なぜかいきつけない。
そんなちょっとした勘違いのようなできごとに、恐怖が潜んでいるとしたら……?
主人公の混乱と絶望がじわじわ迫ります。
おすすめ作品、他にもいろいろ!
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