三体シリーズで有名な世界的SF小説作家の劉 慈欣氏。実は絵本作品があるのをご存知でしょうか。
劉 慈欣唯一の物語絵本にして、美しい物語と挿絵がグッとくる 火守。感想を書きました。
火守 あらすじ
病気の少女を救うため、地の果てに棲む火守の許を訪れたサシャ。サシャは火守の老人と共に、天にある「少女の星」を探す過酷な旅に出る。
美しい挿絵と切ない物語が印象的な、ファンタジーSF絵本。
なお、絵本ですが、漢字にルビはありません。
- 著者:劉 慈欣 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 絵:西村ツチカ → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 翻訳:池澤 春菜 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:KADOKAWA 2021/12/20
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
著者 劉 慈欣氏について
劉慈欣氏は中国のSF小説家。代表作はなんといってもSF小説三体シリーズですが、その他の作品、特に短編は傑作揃い!
以下に作品の一部を紹介します。※書影クリックでAmazonの作品ページへ。
火守 感想
とにかく挿絵がすごい。
書き込みは緻密なのに、味わいは素朴。素朴でありながら、熱さ、冷たさ、透き通る美しさが、まるで自分のてのひらで触っているように伝わってきます。
特に、星を拭くシーンは圧巻。2025年現在、電子書籍しか刊行されていないのですが、これはぜひ紙媒体で読んでほしい。紙書籍は絶版ですが、中古ならまだ在庫あるはず。でもできることなら復刊してほしいなあ。
イラストは西村ツチカさん。この火守を読んで、初めて知りました。Xでも作品を公開していますので、興味のある方はぜひ。
西村ツチカさんバージョンのイラスト、邦訳版オリジナルだと思われます。日本人として、ちょっと得した気分。
ちなみに原著版は以下のような雰囲気。こちらもクレパス絵のような温かみと素朴さがあって、いいですね。
SFと、ファンタジーの融合
SF作家の劉 慈欣氏ですが、火守は童話絵本ということもあってか設定はファンタジー寄り。現実世界と違う、天体の運行システムがあって、そこがまた良かったです。
そういえば、三体シリーズ 3作目 死神永生でも、結構なページ数を割いて童話を語るシーンがありました。劉 慈欣先生、実は童話書くのも得意なのかも。
劉慈欣作品らしい、自己犠牲的なストーリーが切ない。
訳は池澤春奈さん。後書きを読むと、キャラクターの中国名をどう訳すか、いろいろ工夫されていることが分かって、興味深かったです。
正直、劉 慈欣ファンを名乗る以上は全作品を読んでおかなきゃな、くらいの軽い気持ちで購入しましたが、想像以上のクオリティに大満足でした。紙書籍版の復刊、待ってます!
火守の次に読みたい おすすめ作品
火守のような、「絵本×グッとくるイラスト」をテーマに、管理人わんこたんのおすすめ作品を紹介します。
無人島漂着100日日記 /gozz
まるでフィギュアのような、独特の断面スタイル「箱庭ヴィネット」のイラストで、無人島に流れ着いた主人公の100日間の冒険が描かれます。
ちょっと怖くて愛らしいクリーチャーたち。地面の中にも洞窟の中にも秘密がいっぱい!子どもも大人も一緒に楽しめる、美しくて楽しい、冒険絵本!
イラストの雰囲気はこんな感じ!(著者ご本人のX投稿より引用)
眠る太古
— ごず/gozz🦖 (@gozz_sss) March 23, 2025
時折大きくゆっくりと大地が波打ち静かな地鳴りがする
何故か狼が現れず放牧に適した豊かな草原である pic.twitter.com/9rVcABRNyb
たむらしげる作品集 /たむらしげる
ロボットの国SOS や、かたつむりタクシーなどの絵本作家としてお馴染みのたむらしげるさん。
作品集では、透明感ある美しいイラストを楽しめます。子供の頃にたむらさんの絵本を読んだあなたも、また水晶の街に出かけませんか?
おすすめ作品、他にもいろいろ!
当ブログでは、他にもさまざまな小説を紹介中。ぜひブクマして、気になる記事をチェックしてみてくださいね。