11/7まで。三体、プロジェクト・ヘイルメアリー、アガサクリスティ作品など、SF・ミステリーの傑作のまとめ買いチャンスです。
- 殺戮にいたる病 あらすじ
- 殺戮にいたる病 ネタバレ感想
- 殺戮にいたる病 実はたくさんあった伏線を解説
- 蒲生雅子の母性と殺人〜読者の思考の偏見〜
- 殺戮にいたる病 タイトルの元ネタは?
- 「殺戮にいたる病」がおもしろかったならこちらもおすすめ!
殺戮にいたる病 あらすじ
都内で猟奇殺人を重ねる「蒲生稔」。
くり返される惨殺と死体からの切り取り。蒲生稔の恐るべき行為と、それを追う刑事、母親、被害者遺族。果たして事件の結末は?
- 著者:我孫子 武丸
- 発売:1992/9/1 講談社
- Kindle Unlimited :対象外
- Audible (聴く読書):対象外
著者の我孫子武丸さんについて
デビュー作は8の殺人。推理小説を得意とする作家さんです。
本作「殺戮にいたる病」は重いタッチの作品ですが、凛の弦音のような青春ミステリも。
実は、1994年発売のサウンドノベルゲーム『かまいたちの夜』のシナリオ担当としても有名。
最新作「真かまいたちの夜 11人目の訪問者」でも引き続きシナリオを担当しています。
「我孫子武丸」という一風変わった作家名は、これまた本格ミステリ作家として有名な島田荘司さんによる命名なんだとか。
我孫子武丸さんの作品の一部を以下に。あなたの読んだことのある作品はありますか?
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【注意点】グロ描写が多い作品です
性的描写、グロ描写を多く含むため、苦手なかたはご注意ください。
でもそれを乗り越え読み進めれば、結末に驚かされること間違いなし!
殺戮にいたる病 ネタバレ感想
騙されたーーーーーーーー!
まさか、あいつが「息子」ではなく「◯」だったとは!
また一つ、すばらしい叙〇トリックに出会えて、感激です。
読み返すと、第一章の時点で、
同時に、雅子の夫が「育児への関わりが消極的」であることを印象付け、夫の描写が少ない点に、読者が違和感を感じないよう、工夫もされていました。
ここまで爽快にやられたのは、硝子の塔の殺人以来かも。
※「硝子の塔〜」はトリックが異なりますのでご安心を
殺戮にいたる病 実はたくさんあった伏線を解説
本作でさりげなく登場する伏線、ミスリーディングポイントをまとめました。
伏線① 隠された「〇〇の同居」
本作のトリックの鍵となるのが同居人「〇〇」の存在。
蒲生雅子や蒲生稔が
彼がもともと両親と住んでいた一軒家も、五年前に義父が他界してからは夫の名義となっている (第一章より)
ここで、雅子一家が○○と同居していることが、さりげなく匂わされていました。
「稔さん。大学はどうしたの?」彼女は不服そうに言った。
「(中略)一回くらい休講してもかまわないさ」 (第三章より)
「彼女」というのは、同居している〇〇なのですが、読者が
「休講してもかまわない」も不自然でした。休講するのは「教師(大学助教授)の稔)」であり、学生(雅子の息子)の立場で「休講する」とは、普通言いません。
とはいえ、学生さんが「自主休講する=講義をさぼる」と言うケースもありますし、、、あまり違和感を感じず見逃してしまいました。
伏線② 隠された「夫の職業」
稔のいる東洋文化大は私大にしては入学試験が遅く(中略)それが終わる頃にはみんなが多少は暇になっているはずだから (第5章より)上記は雅子が家族旅行について考えるシーン。
稔が大学生なら大学の入試のスケジュールなんて、関係ないね。
伏線③ 武田教授の指摘
連続殺人事件を追う元刑事の樋田。犯罪心理学に精通した竹田信教授のもとを訪ね、犯人特定の糸口を探ります。(犯人の)年齢の推定はほとんど無意味だと思う。 (中略)敢えて限定を行うとすれば、二十代後半から五十歳までというところかね。(第7章より)
年齢を限定しすぎるな、と、しっかりクギを刺してる!
伏線④ 足りないビニール袋
黒いビニール袋が出てくる。全部で、三つ (第9章)
蒲生雅子の母性と殺人〜読者の思考の偏見〜
この小説、トリックとは別に、さらなるひっかけがありました。彼女はほぼ毎日、息子のいない間に彼の部屋をくまなく調べて変化を探してきた(第一章)子供部屋のゴミ箱を漁ってマスターベーションの頻度を確認するやばい母親。
殺戮にいたる病 タイトルの元ネタは?
- アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」 の第拾六話は「死に至る病、そして」。
- 阿部サダヲさん主演映画「死刑にいたる病」 など
「殺戮にいたる病」がおもしろかったならこちらもおすすめ!
①長編ならこれ!「硝子の塔の殺人」
硝子の塔に集められたゲストたちの運命は?二転三転するストーリーに転がされること間違いなし!
以下の記事でも詳しく紹介しています。
②短編ならこれ!「儚い羊たちの祝宴」
結末でひっくりかえる系短編集!ミステリーではありますが、全体的に漂うダークな雰囲気も魅力的な作品です。
ぜひ読んでみて、感想をコメントいただけたら嬉しいです。
「殺戮にいたる病」のような、読み始めたら止まらない小説を集めました。
あなたの本探しのお役に立てば、幸いです。