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(読了)読書感想文/占星術殺人事件 島田荘司

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

出版は1981年と少し古いですが、
その当時、大胆なトリックでミステリ界を震撼させた作品です。
(と認識しています。)

実は金田一少年(マンガ)が本作のトリックをモロパクりし、
トリックが広く知れ渡ってしまっている、、、
ようですが、
幸運にも私は推理マンガはサンデー派(コナン)だったので、
トリックを知らないまま本作を読むことができました。

 

そもそも自分はミステリ読んででトリックを解けた試しがないのですが。
今回も例にもれず、解決パートではめちゃくちゃ驚かされました。
なんて!大胆で!鮮烈なトリック!

 

一方で、本作は読むのが「しんどい」箇所が多く、
私も読書ブログやってる身として頑張って読みましたが
そうでなければ挫折していた、、、という箇所も多々あります。

というわけで、広くおすすめはしにくい作品ですが、
読むのに苦労した分、トリックを知ったときの感動もひとしお!
なので、興味ある方は是非に。(登山みたいな紹介文だ)

 

以下、トリックには触れませんがネタバレありの感想となります。
ご注意ください。

 

本作のしんどいポイント1:冒頭の手記

冒頭で、一連の犯罪行為について仄めかす、
予告状のような手記が登場します。

この内容が占星術を絡めた難解な内容となっており、
冒頭から読むのが苦痛(※)でした。

※手記を読んだ御手洗氏(本作の探偵役)も
「電話帳を読まされたみたいだ」
と言っていますので、こう書いても怒られないはず!

なお冒頭の手記を読むことで、
読者の脳内に、無意識化で強烈なイメージが植え付けられ、
それが最後のトリックに生かされてきます。

本作の最重要アイテムですので、ここは我慢!です。

 

本作のしんどいポイント2:京都訪問パート

後半、探偵の御手洗氏と助手役の石岡氏は事件の謎を解くため
京都を訪れます。

ここで2人は別行動開始。
石岡はなんとか解決の糸口を探るため
事件関係者の知り合いの知り合いの知り合いを探しもとめ、
京都の市街やら明治村(愛知県の観光名所)やら駆け巡ります。

ここのパート、かなり長い上に、知り合いの知り合いの知り合いなんて
読者的にも興味ゼロなので、読むのがかなりしんどくなります

 

しかも!石岡氏の独自調査で巡り合った人たち、
何一つ事件とは無関係でした!!!えーーー!!、

(ミステリ後半でいきなり登場した人たちが犯人でも困るので、
そりゃそうだ、ではありますが。)

それどころか、石岡氏が得た情報は事件解決に
ほぼ一ミリも寄与しません。
犯人特定するだけなら京都に行く必要なかった!
京都訪問パート、(ラストを除き)読み飛ばしても
ストーリー成立してる!

 

後書きにて、
当時世間を席巻していた松本清張的作品」
(靴底をすり減らして刑事が事件を解決するタイプの
リアル路線寄り犯罪小説)に
真向っから切り込んだのが「占星術殺人事件」である
と述べられているので、

靴底をすり減らす捜査パート
(=京都の石岡氏のパート)
(=事件解決に何の進展ももたらさない)
については
著者なりの皮肉の意味も込められているのかなあ、
、、、と勝手に解釈することにしました。

 

鮮烈なトリック

上記2か所の「しんどいパート」を乗り越え、
ついに読者はトリックの種を知ることができます。
やった!!

現実的には、大量の遺体の切断、重労働すぎでしょとか
刑事が行きずりで介抱した女性とそんな簡単に肉体関係もつか?
とか、疑問点はありますし、
そもそも科学捜査されたら成り立たないトリックですが、
(事件発生は40年前(作中1936年)なので、科学捜査技術が
いまほどではなかった、という設定)

でもでも!トリックには感動しました。
読んできてよかった~

 

お札のこと

この時代(本書出版時、1981年頃?)、破れてテープで貼り合わせたお札が
普通に流通しているところに驚き。
私もまだ産まれていない時代、牧歌的だなああ。
トリックについで2番目の驚きポイントでした。

 

明治村

営業してる!なかなかおしゃれっぽい!
今では潰れちゃってるんだろうなあ、とか思って
失礼しました。

www.meijimura.com

 

おしまい。