彼の考え方、そして闘いの記録を著書「生涯投資家」をもとにひもときます。
- 何者?日本中から批判された「天才投資家」村上世彰氏
- コーポレート・ガバナンスとは ~上場とROE~
- 低い株価はとっても危険 ~低PBRの国、日本~
- 村上氏の戦い、そして逮捕
- 現在の村上世彰氏 ~IT企業に対する考え方~
- 日本への提言
- 記事あとがきに替えて~もっと簡単に村上流の考え方を知りたいあなたに~
何者?
日本中から批判された「天才投資家」村上世彰氏
以下を読んで、あなたはどのように感じますか?
「この会社は鉄道会社Hの株を
「鉄道会社Hが
かつてそう報道され、日本中で(特に阪神エリアで)批判されまくった「村上ファンド」。その代表であり、金の亡者のごとく叩かれたのが
村上ファンドはハゲタカファンド?
この報道から
村上ファンドはハゲタカファンド?
村上世彰氏はハゲタカ?
と思った方も多いはず。
実は「
ハゲタカファンドは一般的に、破綻した/寸前の企業を安値で買い再建させて売却する投資ファンドを指します。
そこからイメージが転じ、会社を乗っ取り、従業員や顧客を無視して、会社の資産を好きに売って利益を出すファンドを指す場合もあります。
※上記イラストは、会社法329条1項、同309条1項の記載を基に作成しました。
一方で村上ファンドは
企業の株式を持つことで、その経営を監督、意見を出し、長期的な目線で企業の価値を高め、株価が上昇したら株式を売却し、利益を出すこと、
を目的としています。
企業の価値を高め、従業員も契約先も顧客もメリットを得る、という点で、ハゲタカファンドとは明確に違いますね。
この「
経営のルールである
コーポレート・ガバナンス を守らなければ企業は存続する意味がない (はじめに より)
そして、
日本企業の改革には、株主からのガバナンス (
コーポレート・ガバナンス ) が必要なのだ (第2章 より)
コーポレート・ガバナンスとは ~上場とROE~
株主が企業を監視・監督するシステムのことを
まず企業が「上場する意味」を考えてみよう
企業が「上場する」ことの意味
「東証一部上場企業」てすごいイメージがあるけど、どうして企業は上場するの?
「生涯投資家」では以下のように
株式の流動性が高まり、株式を売却しやすくなる。
上場することのメリット2:
株式の発行を通じて資金を集められる。
一方で上場にはデメリットもあります。
コストがかかる。
上場することのデメリット2:
いつ誰が株主になるかわからない。
上場している企業の株はいつ、誰に買い占められるかわかりません。
潤沢な資金や借り入れ余力があれば上場する必要はないため、非上場を選択する会社もあります。(例 サントリー)
株式発行による直接金融で資金を調達する必要のない企業は、上場を 廃止して非上場になることを検討すべきだと思う。(中略)本当に買収されることを回避したいのであれば、 非上場化すべきだ。(第1章 より)
上場するからには
コーポレート・ガバナンスの意義
繰り返しますが、
株主が投資した先の企業で、健全な経営が行われているか?企業価値=株主価値を高める経営をしているか?
といったように、株主が企業を監視・監督するシステムを
会社の重要な意思決定は株主総会でなされ、経営者と株主の間には適度な緊張関係があります。
企業価値を測る指数 ~ROE~
どうすれば企業価値を高められるのでしょうか?企業価値を表す数値のひとつが
ROE (Return on Equity=投下資本利益率)は、
コーポレート・ガバナンス のひとつの指標で あり投資した金額に対して利益がどの程度生まれるかを示す。
すなわち、当期純利益/純資産 という式で算出できる。 投資家にとっては、自らの投資したお金がどれだけ効率的に利益を生んでいるかを知る指標だ。(第2章 より)
企業が
- 当期純利益を増やすために
企業がお金を貯めこまず、成長のために設備や人材に投資して、利益を増やすことが必要です。
- 純資産を減らすために
自己株式の取得、配当で投資家へ還元する方法などがあります。
企業価値(ROE)が高まれば、株価は上昇するので、投資家は株を売り、次の投資先に資金を動かします。こうして資金が流動し、社会にお金が行き渡り、経済活動を活発にできる。これが村上氏の考えです。
まだ途中だけど話が難しくなってきた。当期純利益とか、純資産とか。
先に決算書の読み方を学ぶのもいいじゃろう。
世界一楽しい決算書の読み方は初心者にもわかりやすくておすすめじゃ。
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まとめ
ここまで書いてきた村上氏の訴えを、以下のようにまとめました。
↓
↓
企業価値を追求し、「ROE」が向上すれば株価が上昇する
↓
結果、世の中のお金の流動性が高まり、お金が社会のすみずみにいきわたる!
低い株価はとっても危険 ~低PBRの国、日本~
日本には株価が低くて、 PBR が1.0未満の企業がたくさんあります。
急にでたPBR。なにこれ?
企業の持っている資産(負債を除く)に対し、株価がどれくらいか?つまり、「株価の割安度」を示す指標です。
企業のもっている現金、不動産、有価証券、売掛金などなどを全て合わせた価値を資産と呼びます。資産から負債を差し引いた残りが「純資産」です
少し極端にいうと
100万円の資産を持つ企業の株を70万円で買い占めてしまえる状態。
これがPBR 0.7の状態です。
こんな企業を、ハゲタカファンドが見つけたら?70万円で株を買い占め、資産100万円をまるもうけ。
したがってPBR が低値=株価が割安なまま上場し続けるのは、企業にとって
日経平均の PBR は1.58
(2022年11月末現在)
この状態を改善するには、企業価値を高め、株価を上昇させる必要があります。
村上氏の戦い、そして逮捕
かつて、株価を割安のまま放置し、一方で買い占めを防ぐためにグループ会社で株式を持ち合いしていた企業がありました。
企業価値を高めようともせずに、会社を私物化する経営者達。村上氏は彼らとどのように戦ったのでしょうか?
関係者との交渉、戦略的な株式の取得、そしてホリエモンの登場、突然の逮捕、、、
「生涯投資家」で手に汗握る、戦いの記録を読むことができます!
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本書を読めば、村上氏が「お金大好き」だけど、決して「悪のファンドの親玉」ではなく、日本の未来を見据えて行動していたことが伝わるはず!
村上氏のイメージがガラッとかわるかも
現在の村上世彰氏 ~IT企業に対する考え方~
現在はシンガポールに拠点を構えている村上氏。
インターネットの世界で生み出される革新的なサービスやAIの凄さが、実は私にはよくわからない(第6章)
と述べつつも、ご子息に意見をもらいながらIT企業への投資を実践しているそうです。苦手な分野についても勉強し、投資を続ける姿勢はまさに「生涯投資家」!
本書では日本のITバブルとその崩壊に触れつつ、楽天、ライブドアなど、一世を風靡し現在も成長を続ける企業について、村上氏独自の視点で解説しています。
日本への提言
本書第8章では、日本の経済を活性化させ資金を循環させるために、投資家目線で持論を展開しています。日本を株式会社として考えた場合に、バランスシート(資産・負債・純資産の内訳)はどのようなっているのか?どうすれば株式会社日本のROEを改善できるのか?
自民党の総裁選で話題になった「
記事あとがきに替えて~もっと簡単に村上流の考え方を知りたいあなたに~
村上氏の考え方を理解するのに、なにかいい方法はないかな?
方法1 村上氏の著書 「いま君に伝えたいお金の話」を読む
手ごろなお値段も魅力!
方法2 漫画版「生涯投資家」を読む
漫画版なら読みやすいかも、、、?
方法3 まず決算書についての基礎を理解してから読む
記事でも紹介しています。
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お読みいただきありがとうございました。
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