この記事の概要・ポイント
投資家のバイブルともいわれる
ウォール街のランダム・ウォーカー
500ページあり、難しい本とも言われますが、
できるだけ読みやすくするポイントを探ってみました。
どんな本?
ずばり、
インデックスファンドへの投資がベスト
というシンプルな主張を
データを基に論じています。
投資家界隈ではバイブルとも言われる超有名本で、
あちこちで引用されたり、要約されたり
図だけ切り取られて
紹介されがちな本ですが、
ぜひ、全文読んでみてほしい!と思い
この記事を書きました。
こんなあなたにおすすめ!
ずばり
- 投資家のあなた
- 投資で資産形成を始めたいあなた
すでに投資をされているあなたには
「インデックス投資家以外には
関係のない本ではないか」
と思われるかもしれません。
が、そんなことはありません!
本書ではインデックス投資のみならず
債権、投資信託、ポートフォリオの組み方、
最新の投資戦略についても言及され
投資についての基礎知識が身につくからです。
★ただし、本文中に以下の記載があります★
「投機家は2、3日あるいは
2、3週間の間に大儲けする事を狙って
株式を取得する」
「本書は「投機家」にとっては
何の役にも立たないことを、
あらかじめお断りしておきたい」
また、テクニカル(チャートの形をを元にして取引すること)
を重視するデイトレードや
仮想通貨取引については、
かなりボロクソに書かれております。
あらかじめご了承ください。
全文を読むべき3つの理由
①作者の作者の意図を正確に理解できる
私はこの本のことを以前までは
「500ページかけてインデックス投資するべきと
あの手この手で訴えてくる本」
と思っていましたが、
そうではありませんでした。
切り取られた情報ではなく、
直接、筆者の意図を理解することは、
今後の投資に大いに役立つはずです。
②版改訂ごとに情報がアップデートされている
邦訳版では原著12版が最新
(2019年7月19日 邦訳第1版)となっていて、
版改訂のたびにデータが更新され、
筆者の紹介する投資方針も
(大筋は変わらないものの)
少しづつ修正が加えられています。
そのため、
一度全文をきちんと読めば、
今後の改訂内容も理解しやすくなります。
③資産形成を目的とした投資の
「方法」と「根拠」を
自分の頭で理解できる。
大きな相場変動が起きたときなどに、
どうすれば良いのか?
と動揺せずに、
自分で考え判断できるようになります。
※以下、本書の内容に触れる記載がありますが、
第12版(2022/8/21現在 邦訳最新版)の
記載に基づいていますので、ご注意ください。※
どうやって全文読む?
結局、毎日コツコツ 読む。
もうこれしかないです。(ああ、怒らないで〜)
全部で500ページ
1日20ページなら
約一ヶ月で読み切れます。
私自身、途中で出産をはさみつつ
4カ月かけて読破しこの記事を書いています。
途中でお休みしても本は待っていてくれる!
気長に読みましょう。
本書の構成と全文読むためのポイント
本来、冒頭から順番に読むべき、です。
読者が理解しやすいように構成し
出版しているのですから、
順番に読む方が絶対にわかりやすい。
が、どうしても辛い人は、
以下の章は後回し、
肩の力を抜いて最後に読みましょう。
第6章
テクニカル分析批評に関する章です。
資産形成目的で長期投資する場合は
テクニカル分析に触れる機会は
あまりないので
後回しでも大丈夫。
第11章
新たに登場した投資手法について、
説明しています。
新しい理論で検証期間が
短いものも含まれるため、
参考資料として後回しに読んでも
良いかもしれません。
逆に以下の章は、難易度が高いですが、
後回しはおすすめできないです。
第8章、第9章
おそらく本書の最難関にして
最重要キーワード「ベータ」が登場します。
ベータとはリスク尺度を表す言葉ですが、
第8章でその意味と重要性が、
第9章で「ベータ」の限界が示されます。
本書の最終的な結論にもつながってきます。
他の章については、以下にまとめました。
第1章
ランダムウォークとは何か?の説明。
本書の導入であり、ページ数少なめです。
第2章 第3章 第4章
小説のように面白がりながら読める章
「バブルの歴史」について、のお勉強です。
チューリップバブル〜ビットコインバブルまで
網羅しています。
「歴史は繰り返すこと」
「人は歴史から学ばないこと」
を痛感させられます。
なお、バブルの歴史について、
もっと知りたい!人の不幸は蜜の味!
な(アクマな)あなたは、
こちらの本もおすすめです。
バブル当時の熱狂について、
より臨場感を持って味わえます!
ヒヒヒ~
第5章 第6章 第7章
2大株価分析手法
「テクニカル」
「ファンダメンタル」投資
の成績についての章です。
この章を読むと、
「短期のチャートの形」に意味はない、と
と考えさせられます。
第8章 第9章
(先述のため割愛)
第10章
第8章と第9章だけでは説明しきれない
株価の動きについて、
行動ファイナンス理論をもとに
説明されています。
第11章
(先述のため割愛)
第12章
ここまでの内容を元に
「財産の健康管理のための10か条」
を記載しています。
すごく読みたくなるタイトル!
なお第1条は「元手を蓄えよ」となっています。
米国の税制度、年金制度をもとに書かれているため、
日本人に厳密に当てはめるのは
難しいかもしれませんが、
根底の考え方は共通します。
またこの章にはリスク許容度を「安眠度」に言い換えた
「投資対象と安眠度」の表が登場し、
著者 バートン・マルキール先生のお茶目っぷりを
楽しむこともできます。
第13章
1947年〜2009年を4つの時代に分け、
それぞれの時代の
「株価指数の値上がり」
「債権リターン(金利)」
「物価上昇率」について検証しています。
果たして
「インデックス投資が常に正解」
だったのでしょうか。それとも、、、?
さらに、嬉しいことに
「株価」「債権利回り」「物価上昇率」が
なぜ密接に関係し合っているのか、
めちゃくちゃ丁寧に説明してくれています。
「そもそも」の金融知識を身につけられる
お得な章です。
14章
この章のグラフ
「株式投資の投資期間と年平均リターンのちらばり方」は、
切り取られていろいろな媒体で登場しているので
見たことある方もいらっしゃるかも?
退職後に資産から何%取り崩して生活するか
(いわゆる◯%ルール)にも言及されています。
実は本書、改訂ごとによってこの推奨%が
変わっているんです。
15章 具体的な金融商品の購入ポイント
結論の章です。
インデックスがいいのはわかった。
でも個別株もやりたいんです、マルキール先生、、、!
という私のような人にも配慮された素晴らしい章です。
ちょっと難しい単語も出てきます
本書はできるだけ誰でも読めるよう、
平易な言葉で書かれてはいますが、
初めて投資をするには多少とっつきにくい単語があります。
株価収益率、一株あたり当期純利益、など。
ちょっと読むのが苦しいな、と感じたら、
こちらで箸休めはいかがでしょうか。
ふざけたタイトルと侮るなかれ、
単語の意味をわかりやすく説明しています。
エピローグが一番面白い
もし全ての人間が
インデックス投資のみを行うようになったら
株式市場は正常に機能しなくなるのでは?
という(積極投資家からの)皮肉に対する
作者なりの解答が書かれています。
この本を全部読んだあなたは、
エピローグまで一滴残さず楽しめます。
いかがでしょうか。
この記事が皆様の「この本、読んでみようかな」の
きっかけになれば幸いです。
おしまい