この記事には、前作爆弾の結末に触れる部分があります。ご注意ください。
法廷占拠 爆弾2 あらすじ
およそ600人の死傷者を出した、スズキタゴサクの爆弾事件の公判も5回目。刑事の倖田と伊勢は、証人として出廷していたが、そこで突如、法廷占拠事件が発生する。
タゴサクと2人の刑事を巻き込んだ占拠事件の行?犯人の目的は?
二転三転する展開に目が離せない!読み始めたらとまらない、ノンストップミステリの名作、爆弾の続編です。
このミステリーがすごい! 2023年、ミステリが読みたい! 2023年でW1位を獲得!読み始めたらとまらなくなるおもしろさです。
- 著者:呉 勝浩 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:講談社 2024/7/31
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):2025/1/31より配信開始
前作 爆弾 は取り調べの緊迫感が伝わる朗読がすごく良かったので、今作も期待大!
→(前作 爆弾の)冒頭5分のサンプルはこちら (リンク先で▶プレビューの再生ボタンを押してください)
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法廷占拠 爆弾2 登場人物
前作からの続投キャラについては(1)を記載しています。前作 爆弾で活躍した刑事たちが、法廷占拠事件でどう活躍するのか、注目!
<犯罪者たち>
- 柴咲奏多 法廷占拠の実行犯。父親がタゴサク事件で死亡し、遺族会に加わっていた。
- 新井啓一 もと、オレオレ詐欺のかけ子(電話かける担当)。柴咲とともに犯罪計画を立てる。
- スズキタゴサク(1)死者98名、重軽傷者500名超を出した、爆弾事件の容疑者。
他人から強い感情(怒りなど)を向けられることを好む。
その中年おじさんな見た目とはうらはらに、思考能力が異常に高く、他人の感情を操ることに長けている。
<警察関係>
- 倖田沙良(1)爆弾事件の際、捜査の実働舞台だった巡査。この事件で同僚の矢吹が重傷を負い、怒りのあまり取調室に乗り込み、タゴサクに怒りのあまり銃を突きつけた経験も。
爆弾2では証人として公判に出廷し、法廷占拠に巻き込まれる。 - 伊勢勇気(1)野方署の刑事。倖田と同じく証人として出廷。
前作爆弾では、取り調べ中にタゴサクに操られ、矢吹が重傷を負う遠因を作った。 -
高東柊作 警視庁の刑事 特殊犯捜査第一係 係長で、スズキタゴサクを取り調べた清宮の後任。
-
猫屋 ひょろりとした、高東の部下 特殊犯係配属2年目
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類家(るいけ)(1)爆弾事件でタゴサクを取り調べた清宮の部下。であり、実質的な取調べ担当官。類まれなる思考能力をもるが、精神的に危うい部分も。
爆弾事件の後は特殊犯係の五係で実質的な謹慎処分を受けていたが、法廷占拠事件で犯人と交渉する高東の補佐に入る。猫屋からは類家先輩と呼ばれている。せんぱい、、、!
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猿橋忍(1)杉並署刑事 前作では倖田沙良と一緒に爆散捜索に奔走した。その厚みのある体格から、倖田は密かに「ラガーさん」と読んでいる。
- 矢吹泰斗(1)爆弾事件の捜査中に爆破に巻き込まれ、倖田の目の前で片足を失う重傷を負う。そのケガから、刑事としての復帰は難しいと思われたが……?
<一般人>
- 湯村 タゴサク事件の遺族会の1人。遺族会で柴崎と出会い、親しくなる。
著者 呉勝浩さんについて
2015年「道徳の時間」で第61回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。
2018年「白い衝動」で第20回大藪春彦賞、2020年「スワン」で第41回吉川英治文学新人賞と第73回日本推理作家協会賞を受賞しています。
爆弾がめちゃくちゃおもしろかったので、これをきっかけに他の作品も読んでみたい!
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法廷占拠 爆弾2 登場人物と感想
まず、読者の期待に応えて続編を書いてくれた、作者 呉勝浩さんに感謝。きちんと完結させた作品の続編を書くというのは大変なことだったと思います。
爆弾の「読み始めたらとまらない」感を、ふたたび味わえました!
続投警察キャラの活躍がうれしい
前作 爆弾でタゴサクに煮え湯をのまされた、伊勢、矢吹。
相変わらず思考力高くて変人な、類家さん。
爆弾に対峙し、恐怖しながらも警察としての矜持をつらぬくラガーさん。
などなど、続投の警察キャラが活躍してくれたのが、うれしかった!
タゴサクは相変わらずタゴサクだった。が……?
法廷でもタゴサクは相変わらずの様子。
折れた指について弁護側に訊かれても、「わたしの指が人様に折られた?」などとすっとぼけます。
確かにこれは折られた指、ではなく「〇〇さんの⬛︎の形」ですから無問題。取り調べ室で暴力行為はなかった。デスヨネー
前作 爆弾では逃げる気ゼロ。冒頭から自ら警察に捕まりにいったタゴサクですが、法廷占拠爆弾2のラストではちょっとした心境の変化があったようで……
ええぇぇ、この結末はいろいろな意味でやばいのでは……?
傑作 爆弾の続編を書くことの難しさ
大ヒット作の続編を書くことは難しい。爆弾2法廷占拠を読んで真っ先に感じたのがこれ。
前作 爆弾の面白さの裏には、スズキタゴサクの濃縮された悪と、それに犠牲をはらいつつ抗う警察、というシンプルな構図があって、その中で、クセの強いキャラクターたちが光っていたように感じます。
法廷占拠の犯人も、相当に賢いし、犯人の真の目的が明らかにになる、という謎解き部分は面白かった!けれど、犯人にタゴサクほどのカリスマ性はありませんでした。
占拠犯、タゴサク、警察、という三つ巴の戦いになったことで、それぞれの活躍が薄まってしまったことが残念。
警察があまり活躍できなかった
爆弾2法廷占拠では、タゴサクのカリスマ性を損なわずに、かつ、占拠犯の知能の高さも描写しつつ……となった結果、警察の対応が後手にまわり、無能になってしまうという事態に。
法廷は■■されるし、タゴサクは最後に■■ちゃうし、警察、全然ダメじゃん!となってしまったのが残念。
(もっと類家さんの活躍が見たかったなー)
さらなる続編(3作目)があるような結末だったので、次はぜひ警察に活躍してほしい!
いろいろ書いたけど
犯人,タゴサク、警察の三者のバランスを取りすぎて、読みたい展開が読めなかった、というのが、管理人わんこたんの感想でした。
- 法廷で柴咲くんが徐々にタゴサクに操られる
- 警察とタゴサクが共闘して謎を解く
- 警察vs占拠犯という構図が、徐々に警察vsタゴサクになっていく
そのような「みたかった展開」が、チラ見せされつつも、消化不良のまま終わってしまいました。
それだけ、前作爆弾で作り上げられたキャラクターが魅力的だった、ともいえます。
清宮は類家に対し「いずれあいつは自分の頭脳が通じない事件に出くわすだろう」と評価しているけど、そのセリフの結果はまだ回収されていないはず。
今後の展開に期待しつつ、続編を楽しみに待ちたい!