Huluドラマ「十角館の殺人」感想を、原作ファン視点から語ります。
以下、Huluドラマ「十角館の殺人」の内容に触れています。ご注意ください
\ドラマ十角館の殺人はHulu限定配信/
ほぼ、原作準拠でファン大満足!
ドラマ化にあたり、原作小説からストーリーを改変する事はよくありますが、十角館の殺人に関しては、ストーリはほぼ、原作通りでした。
原作のセリフをそのまま使っている箇所も多かった印象。
そのうえで、細部を説明したり、人物像に奥行きをもたせるために、細かな調整がされていた、という印象。
つまり、原作ファン的には大満足!なドラマ化でした!
原作 あの1行をどう演出・再現したのか?
まず原作既読の方なら、第1話で守須が登場した時点で、ああ~あれをあれするのね~~、とわかってしまう。
けれど、十角館の不気味な雰囲気、島田と江南のでこぼこバディ感、原作よりも深堀された犯人の動機など、見ごたえあって、原作ファンも最後までしっかり楽しめるつくりになっています。
というか、原作ファンにこそ、観てほしい!
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あの1行の登場は、原作第4話
そしてドラマ版4話のラストで、ついに「あの1行」が登場。そこからいっきにエンディングテーマに流れ込むシークエンスが最高でした。観ながらゾクゾクしちゃった!
ちなみに原作未読の方によれば、そのシーン登場まで、本当に「わからなかった」ということなので、演出の目論見は大成功!のようです。
原作小説だと、あの一行のインパクトがすごくて、青屋敷事件の謎とか千織の生い立ちとか、中村紅次郎と青司の兄弟の確執とか、かすんでしまうんですが、ドラマ版ではそういう部分をきっちり描いてくれて。
ああ、十角館の殺人て、こういう物語だったんだなあ、というのを改めて理解できた気がします。
5話目は犯人のモノローグによるトリックの種明かしが主。
でもラスト、犯人は自身の勘違いに気づくってのが切ない。
各キャラクターの造形がよかった
キャスティングにも相当苦労した、と、プロデューサーさんがインタビューで語っているだけあって、キャラクターの造形、とってもよかったです。
犯人役は「有名な俳優さんだとわかってしまう」ので、わざわざオーディションで若手を発掘する徹底ぶり。
参考▶
ミステリーの金字塔『十角館の殺人』映像化を実現したプロデューサーが重視した「意外なこと」(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社
エラリイがあまりにも愚かでエラリイでした
原作では「ひょろりと背の高い、色白の好青年」と描写されるエラリイ。
ドラマ版で演じたのは望月渉さん。想像よりもおぼっちゃまな印象で、いかにも「ヌクヌクとした家庭でたくさんミステリーを読んできました~」感が伝わってきました。
「#十角館の殺人」新キービジュアル、場面写真が公開されました。
— 望月歩公式ツイッター(気まぐれにスタッフ) (@hiratahirata18) March 29, 2024
僕はエラリイ役をやらせていただいてます。原作を読んでファンになり、携わった方全員で丁寧に挑みました。
たくさんの方に観ていただけると嬉しいです。是非!!#エラリイ #エラリィ #どっちでエゴサするか迷う僕。 pic.twitter.com/tcbEs7jzXr
(以下は誉め言葉です)
エラリイお前、オルツィが死んでるのに推理楽しんでるんじゃないよ。そういうところだよ。
で、周りの奴もエラリイのことそんなに頼りにしちゃうなよ。ポゥの言う通り持ち物検査しろよ。
みたいに、ツッコミながら観るのが本当に楽しい。
エラリイは最後の最後まで、本格ミステリの世界で生きてるんですよね。
あくまで中村青司は生きている、とか、秘密の部屋が、とかにこだわる。当たってた部分もあるけど、これはフィクションではない、「現実」の事件なんだってところに最後まで気づかない。
そんな愚かで哀れなエラリイが最高でした。
島田潔があまりにも島田潔
原作では「痩せて背の高い、やたらと細長い男である。江南はとっさにカマキリを連想した。」と描写される島田潔。
ドラマ版で演じたのは青木崇高さん。原作よりも胡散臭くて、お調子者に仕上がっていたかもしれません。おかげで江南くんとのわちゃわちゃバディ感が楽しめました。
以下はおそらくドラマ版オリジナルと思われる島田。
- 寝起きの江南くんにマネキンのパーツでドッキリをしかける
- 紅次郎さんに怒られて全部江南くんのせいにする
ドラマの第3話で「自分がいれば中村千織は死なずに済んだのか?」と自問自答する江南くんに、「自分のせいで何かが変わったと思うのは傲慢だ。ワトスンくん」と語りかけるシーン。
ここも原作にはなかったはず。励ましのセリフには、グッとくるものがありますね。
1986年という舞台を再現したセットがいい!
舞台は原作と同じ1986年。
昭和!っていうセットづくり、気合入ってたな~!
特に江南くんのアパートのボロっちさとか、紅次郎さんの邸宅、十角館の内装など、作り込まれていました。大好きな原作の世界にどっぷり浸かれる感じ、よき。
しかし江南くん、なぜ自宅に人体模型やらマネキンがあるんでしょう。ミステリーを書くための資料でしょうか?ミス研はやめたけど、ミステリーは好きで、家にいろいろ資料があって、という感じなのかな?
十角館の殺人 続編にも期待していい?いいよね?
『十角館の殺人』は館シリーズの1作目でもあるので、誰がどの役を演じるかは非常に話し合いました。
という、プロデューサー木下さんのインタビューでの発言から、続編の構想アリ、とわんこたんは信じています!
参考▶ミステリーの金字塔『十角館の殺人』映像化を実現したプロデューサーが重視した「意外なこと」(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(2/4)
そのままの順番でいけば2作目は「水車館の殺人」になるわけですが、ドラマ版も同じ館の順番でいくかは不明。
2作目、3作目と、原作では江南くんが登場しないのですが、ドラマ版ではぜひぜひ島田×江南のコンビでいってほしいなあ、なんて勝手に期待しています!