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記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

紙鑑定士。て、いったい何者?

紙に関することならおまかせあれ。ちょっと特殊なスキルをもった主人公が謎を解くミステリーシリーズ、紙鑑定士の事件ファイル1作目 模型の家の殺人の感想を書きました。

 

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (宝島社文庫)
紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (宝島社文庫)
 

 

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 あらすじ


どんな紙でも見分けられる「紙鑑定士」渡部が営む紙鑑定事務所。

何の変哲もない紙片や、ジオラマ模型から導き出される真相は……?

依頼の調査を始めた渡部だが、やがてそれが恐ろしい大量殺人計画へと繋がっていることに気が付き――。

第18回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作品です。

 

 

 

著者 歌田 年 氏について

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人でデビュー。

紙鑑定士シリーズとして、2作目、偽りの刃の断罪 3作目、紙とクイズと密室と も刊行中です。

著者ご本人が造形家(ジオラマ制作)として長年活動されていたこともあり、作中には模型作りをはじめとする蘊蓄がたっぷり。

 

以下に作品を並べました。※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ

紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪 (宝島社文庫)
紙鑑定士の事件ファイル 紙とクイズと密室と (宝島社文庫)
BARゴーストの地縛霊探偵 (宝島社文庫)

 

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 感想

模型の家の殺人、というだけあって、ジオラマ模型に関する豆知識が多数登場。これがなかなか面白い。が、それと同時に不満点もあって……

以下に詳しい感想を書きました。

 

タイトルに異議あり

やっぱりタイトルには文句を言いたい。

「紙鑑定の事件ファイル」が表紙に大文字でかかれたうえ、紙がぺりぺりめくれたようなデザイン。いかにも「紙鑑定士」が主題かのように見えますが

実際の中身は「模型」メインです。

冒頭から主人公渡部の「紙知識」が披露され、この知識を生かしてどうやって活躍するのかな、わくわく。と読者は期待してしまうのですよ。しかし話はどんどん模型の方向へ。

模型パートはたしかにおもしろかったです。でも、期待していた「紙知識」があまり出てこなくて、管理人わんこたんはがっかりしちゃったんです。

そしてこのがっかりは、適切なタイトルがつけられていれば、避けられるはずだった。

 

この件、後書きによれば「マーケティング戦略のため」「紙鑑定士なら、物珍しさで売れるという判断」という理由でのタイトル変更だと明かされており、

売る為だからってそんなことしていいんかい、

読者舐めとんのかー!

と、編集・版元サイドには、文句いいたいわんこたんなのでした。

(※シリーズ2作目以降は、もうちょっと紙知識シーンが増えていくみたい)

 

ちょっと変わった?キャラクターたちが大活躍

  • 主人公の紙鑑定士、渡部。
    調査の途中で人に会うたび、きちんと手土産を持っていく、丁寧なビジネススタイルに、なんだかほっこり。
    お土産のペコちゃん焼き、食べてみたい。

 

  • 雑誌編集部の「新人」野上。
    電話嫌いで登場するのはメール文だけですが、そのメールの文体だけで強烈な印象を残してきます。しかし作中ではその後登場がなく残念……
    続編では活躍してくれるかな?

 

  • 主人公渡部の相方となる、土生井(はぶい)。
    土生井は凄腕の造形師であり、この知識が捜査に大いに役立ちます。

 

なお、土生井は自宅で認知症の老いた母を介護しており、その母が遠因となって土生井自身が入院してしまう、といったシーンがあるのですが……

これらのエピソードはあまりストーリーに影響しません。

 

本作がミステリであるがゆえに、細かい描写やエピソードも「何かの伏線かも?」と思えてしまう。しかしそれらの伏線・フラグが必然性をもって回収されないため、すっきりしないなーと感じてしまいました。

 

ミステリとしては、ちょっとぶっとびすぎ!?

 

CAUTION!

以下、作品の結末に関する内容が書かれています。未読の方はご注意ください。

 

  • 唐突な「紙片」の登場
    冒頭、推理のカギになる「財布の中の名刺の紙片」が登場しますが、そもそも名刺って、そんな簡単に財布の中で破れて紙片になるかしら?という疑問が、、、

    多分「紙鑑定士」として活躍するための「紙片」だと思いますが、ちょっと無理矢理かなあと思ってしまいました。

 

  • 犯人の不可解な行動。その理由は二重人格でした。えー。
    二重人格が明らかになるのが唐突で、なんだか都合よく二重人格を利用しているなぁと感じてしまったのが不満。
    二重人格って、ミステリーではよく出てくる題材ではありますが、うまく処理しないと「何でもあり」になってしまうところがあり、取り扱いが難しいなぁと。

 

  • さらに犯行の動機として出てくる「人柱信仰」もかなり突飛。
    常人とは異なる、サイコな動機を持つ犯人、というのは、やはりミステリ小説では珍しくないですが、「二重人格」というだけでかなりぶっ飛んでいるのに、さらに「人柱信仰」という濃いめのキーワードがぶちこまれる。
    まとまりがつかないなあ、という印象を受けてしまいました。

 

装丁にこだわりあり!

「紙鑑定士」ということで、装丁に5種類、本文中に4種類の紙を使用している豪華っぷり。さらに証拠品の手紙の実物が綴じこまれた、豪華な装丁になっています。

どのページがどの紙か?というのもちゃんと説明されていますが、うーん、素人には微妙に色が違う、ということしかわからなかった笑

紙鑑定士、すごいスキルだ……異世界転生したら活躍できたりして。

(※特殊装丁は、文庫版では再現されておりませんのでご注意を

 

模型の話をもっと読みたい 

辛口の感想になってしましましたが、模型やジオラマに関する蘊蓄はとってもおもしろかったです。

ミステリという形にこだわらず、ジオラマの世界を堪能できるような作品を、ぜひ、読ませていただきたいな、と思いました。

キャラクターも、どこかにくめない奴ばかり。シリーズ続刊の活躍に期待です。

 

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (宝島社文庫)
紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (宝島社文庫)
 

 

紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人の次に読みたい おすすめ作品

紙鑑定士 渡部のような「その道のプロフェッショナル」が活躍する、ミステリー小説をご紹介します。

 

元彼の遺言状 /新川帆立

 

エリート弁護士、遺言状の謎を解く!

28歳、年収約2000万のエリート弁護士、剣持麗子は、亡くなった元カレの遺言状の対応をすることに。

その遺言状には「自分を殺した犯人に全財産を相続する」と書かれていて…?

金にうるさく個性的、だけど仕事っぷりは超優秀な麗子をあなたも応援したくなるはず。

法律関連の描写がきちんとしている部分にも注目です。

 

元彼の遺言状
元彼の遺言状
 

 

感想記事はこちら▶︎小説 元彼の遺言状がおもしろい!ドラマ版と原作の違いを解説 - わんこたんと栞の森

 

作家刑事毒島 /中山七里

 

作家兼刑事、が、謎を解く!

編集者殺しの容疑者は編集者に恨みを抱く新人作家たち!?

売れっ子作家でもある毒舌刑事、毒島真里(ぶすじま しんり)が謎を解く、作家×事件な5作品を収録した短編集。

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作家刑事毒島
作家刑事毒島
 

 

感想記事はこちら▶︎出版業界をぶった斬る問題作!?作家刑事毒島の感想を書きました - わんこたんと栞の森

 

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