いやー面白かった。
人工知能?AI?機械学習?ディープラーニング?
聞いたことはあるけど、結局のところよくわからんぞ、、、?
そんな自分でもすいすい読めて、AIに関する初歩of初歩の知識が得られて、
何より途方もなくおもしろい。そんな「AI解説本」でした。
・初学者向けのAI解説本として最高。
まずコンピューターの仕組みから簡単に説明し、
そこからAIについて基礎の基礎部分
「人工知能」「機械学習」「ディープラーニング」について
分かりやすく解説しています。
ただ、やはり、難しい部分は難しい。
特に「ディープラーニング」の「層」がなんなのか、
私にはきちんと理解できませんでした。
・将棋、囲碁をかじっている人、ぜひ。
将棋AIが題材になっていますので、将棋の棋譜が解説に登場します。
また、巻末では囲碁AI「アルファ碁」と「イ・セドル棋士」の
対局について、囲碁のプロ棋士を交えて解説していますので、
将棋や囲碁の戦略について知っている方であれば、
本書をより楽しめると思います。
私自身は将棋も囲碁も最低限のルールしか知らないので、
知ってる人ならこの部分はもっと楽しめるんだろうな~いいな~
と悔しがりながら思いながら読んでいました。
なお!!ちょうど良いタイミングで、Twitterで囲碁の解説?が始まったので、
初心者の方はこちらでもよいかも。
1日1ツイートで囲碁の解説をしてくれています。
すでに60日は過ぎましたが、まだ解説は終わっていません。
囲碁、奥深すぎ、、、
(ヒカルの碁で、囲碁のルール説明が一切ない理由が分かった気がします)
・人間がAI将棋を受け入れるまで。
2013年にポナンザがプロ棋士に勝利したときの対局後の雰囲気を
著者は「お通夜のよう」と振り返っています。
なんとなくわかります。
もう将棋の時代は終わり。人間が将棋の戦略を突き詰めていっても、
意味がないんだ、と。
ところが、ポナンザが従来の考えにとらわれない斬新な戦術を
次々に生み出し、やがてそれが逆に人間の棋士(※)に流用され、
新戦術として、使われるようになります。
一例として、「左美濃急戦」という戦法がポナンザからうまれ
その影響で「矢倉」という古典的な戦法が一時期に激減したという
エピソードが紹介されています。
最近では藤井聡太七段がAIを活用しているということで
ニュースになりました。
藤井聡太七段の強さ支えるAI 機械との対戦で棋力向上 - ITmedia NEWS
本書の中で一番好きな一文をご紹介します。
「ポナンザはそれらの先入観から解き放たれて自由に将棋の海を潜っていきます。
そしてその海は、私が思っていたよりもずっとずっと深かったのです」
2013年から7年、少なくとも将棋人気は衰えていないように感じますし、
むしろAIの登場が将棋の人気に一役買っているようにも思えます。
ポナンザはもう引退してしましましたが、
AI棋士が、受け入れられるきっかけを作ったのは間違いなく
2013年の電王戦でした。
よかったね、ポナンザ。
※「人間の棋士」って書きましたが、我ながらいい言葉ですね。
21世紀だからうまれた言葉、というか。(自画自賛)
・AIは知性を得られるか
よく、PDCAサイクルって耳にしますよね。
現在のAIはPDCAサイクルのD(探索)とC(実行)のみが可能という状況である、
と本書では述べられています。
特にP=Plan=目的を持つことはまだできなくて、
ポナンザにしろアルファ碁にしろ、
「将棋に勝つこと(相手の王将をとること)」「囲碁に勝つこと」
という最終目標は人間側が設定しています。
※著者はこの自ら目標をたてて行動する能力を→「知性」である
と述べています。
これは私なりの解釈ですが
私のような将棋の初心者が
将棋を学んで強くなろう!
という大目標をたてたら
・まず初心者向けの将棋のルール解説を探して、
駒の動かし方や反則事項などを調べる
・誰かと対戦してみる。
・将棋の戦略についての解説を読んで、実際に試してみる
・プロの棋譜などをみて勉強する。
などといったように、いくつか中間の目的・目標をたてるかなと思います。
でも現在のAIにはまだその機能はないんですよね。
AI自身が能動的に誰かと対戦しようとしたり、
棋譜をネットから探して読み込んだり、はしない。
まだそれは人間側が指示・操作しないといけないわけです。
著者は自身の直感的なものであるとしたうえで
「既存のプログラムの枠組みでは、人工知能に中間の目的を持たせることは
不可能ではないか」と述べています。
一方で、私個人としては、、、
いつか人工知能がこのハードルを越えていく日も来るのかな、と思いたい。
これまで、人工知能は人間の想像を超える速さで進化してきたことを考えると、
今後も不可能を可能にしていくかもしれない、かも。
・AIに負けない、とか、AIに奪われない仕事、とか
(※以下は本書の内容ではなく、全て私の個人的な考えです。)
よく、こういうの見かけますよね。
経済雑誌の特集とか、教育関連本とかで、
もちろん、今後はAIが人間の仕事をどんどん代替していくと思います。
翻訳とか、画像分析、そして簡単なイラストレーションとかカラーリングとか
私が思いつかないだけで、多分もっといろいろ。
※個人的には、請求書処理とかやってほしいですね。
届いた請求書を自動で取り込んで、支払い処理してほしい。
(願いがちっさい)
ただ、AIと張り合ったところで、仮に現状のAIに勝てたとしても、
あちらはどんどん進化しているので、あまり意味がないのかなと。
AIには読解力がないから~という論調を見かけたことはありますが、
多分そのうち学習して、読解力(らしきなにか)をガンガン習得していくと思います。
なので、AIに勝つとか負けないとかではなくて、
AIをどうやって活用するか、ということを考えられる人間になりたいな、と。
そのために、大事なのは
「AIはなにができるのか」というのをみんなが理解しておくことなのかなと。
というわけで、初心者がAIの基礎の基礎を知るという目的でしたら、
本書、とってもおすすめです。
そして10年後くらいに読み返して、
「うわーこの時代のAIってこんなことしかできなかったのか!!」
と、(いい意味で)驚いてみたいな、なんて思ったり。
・おまけ
本書では、AIのすごさと問題点を紹介するために、
ある日本語の「例文」をgoogle翻訳にかけています。
(例文)
父は母がバッグを忘れたことを怒った。
↓
(google英訳)
My father got angry that my mother forgot her bag.
ただしこれは本書の出版(2017年)以前のころの翻訳結果。
3年後の2020年に、試しに、同じ文を入力してみたところ、、、
あらびっくり。
これもAIの進化なのでしょうか?
あるいはAIに影響されて言語のほうが変化していく予兆なのでしょうか?
(追記)
上記のGoogle翻訳の件について、ちょこっと試して記事にしました。
ぜひこちらもどうぞ。
おしまい