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(読了)読書感想文/絶滅の人類史 なぜ「私たち」が生き延びたのか /更科 功

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

類人猿たちから枝分かれした人類の祖先がどのように進化し、
あるいは絶滅していったのか?
を解説した本。

このジャンル(先史時代の人類)の知識に触れたのは
高校の世界史の授業以来かも。
ここ数年の研究結果も盛り込まれていて、
いろいろアップデートされてますので、驚く箇所も多かったです。

ひとまずの印象


この時代まだまだわかっていないことが多い!多い!


とにかく、証拠が少ないのです。
特に数百万年前の話となれば、化石と炭素同位体比による年代測定が頼り。
わずかな証拠をもとに仮設を立て、議論していく
そんな地道な解明の道筋を、本書では丁寧に解説しています。

謎多き人類史の解明は大変そうですが、ロマンも感じますね。


なお!炭素同位体比による測定技術などの進歩により、
年代測定だけでなく、動物の炭素か?植物の炭素か?
植物ならば森林か?草原か?
ということまでわかるようになったそうです。すげー。

最古の人類=アウストラロピテクスはもう古い

新たな化石の発見、炭素同位体測定技術の進歩などもあり、
人類史はここ数年で大幅に書き変わっています。


高校の世界史で
最古の人類は400万年前のアウストラロピテクスだった
て、習ったような気がするんですが、、、
え、、、今は違うの、、、そうなの、、、
本書で一番の衝撃でした。
知識はアップデートしないと、どんどん古びていきますね。つらい。

(どうやら2017年頃からニュースやバラエティでも
話題になってたらしいので、
私がついていけてないだけかもw)


700万年前の「サヘラントロプス・チャデンシス」というのが、
現在わかっている最古の人類とのこと。
これは世代がバレますね、、、
気をつけよう。

 

直立二足歩行は不利な進化だった?

直立二足歩行には
「速く走れない」
「直立した際に周りから見つかりやすい」
という明確な欠点があります。

生存に不利すぎて、他の生物が取り入れてこなかった直立二足歩行を
なぜ、人類は取り入れ、なぜ、生き延びることができたのか。

 

その理由として、本書ではひとつの
「有力な仮説」を紹介しています。

個人的にはその仮説について
「なるほど!」と「本当に?」の半々の気持ちになりました。
みなさんはどう感じるでしょうか。


まだまだ謎が多い人類史。
この謎がいつか解明される時を待ちたいです。

 

脳が大きい=有利な点ばかりではない?

 

人間の脳は体のサイズを考えると非常に大きいです。
とはいっても、
脳が大きくなるだけで勝手に知能が発達するわけではありません。

人間より脳が大きい動物はたくさんいますし、
同じ人間どうしでも脳の大きさは個体差が大きく、
脳が小さい=知能が低いわけではないことは
すでに明らかになっています

実際、40000年前に絶滅したネアンデルタール人
現生人類より脳が大きかったようです。

 

脳は大量のエネルギーを消費するので、
ただ大きいだけでは生存に不利なのです。

本書ではやたらエネルギーを食うのに活用しきれていない脳の状態を
「アプリを入れすぎて重くなったスマホと表現しています。
環境によっては、脳が小さい方が生存に最適な場合もあるのですね。

 

使わないアプリを消して、最適な状態へと変化していった結果が
私たちのホモサピエンスの脳なのか、
あるいはこれからも脳の最適化が進んで、より脳がちっちゃくなるのか?
などと想像すると面白いですね。

若干の読みづらさを感じる箇所も

本書では、
すでに否定された過去の仮設を織り交ぜつつ、
最新の研究成果、最新の仮説を紹介する、
という箇所が多いのですが、
あれ?今どっちの話してる?(否定された仮設?or最新の仮説?)
と、混乱してしまったり。

 

「~A遺跡ではC行動の痕跡が発見され、、、」
と記載に対し、
「A遺跡って、そもそもネアンデルタールの遺跡?ホモサピエンスの遺跡?」
と、混乱してしまったり。

どちらも、ちゃんと文章を読み返したり
最後まで読むとわかるけれど、途中で混乱してしまう感じです

 

多分筆者の頭の中に
「A説は否定された仮設」
「A遺跡ではB人類のC行動についての痕跡が認められる」
という知識が当たり前のものとして
インプットされてしまっているので、
文章化したときに一般人が求める情報が
抜け落ちてしまったのかなと。

 

これ、結構自分にもブーメランでして、
本の感想かくとき、「未読者にも面白さが伝わるように書こう!」
と思ってても、
自分は既読だから、ついつい前提知識を抜いて書いちゃうことがあって、
既読者しか意味が通らない文章になってたりするのです。

 

といいつつ、ネタバレだらけの読書感想文を書きたいわけではないので、
なかなかバランスが難しかったり。はあ。

 

おしまい。