ドラえもんに、バックトゥザフューチャー、、、
この記事では、そんな「タイムトラベルSF」の元祖となった小説「タイム・マシン/H.G.ウェルズ」と、その続編、「タイム・シップ/S.バクスター」について、イラスト付きで紹介します!
- ①タイムトラベルSFはこの小説から始まった!タイム・マシン/HGウェルズ
- ②タイム・マシンから100年後に生まれた「正当続編」タイム・シップ/Sバクスター
- まとめ「タイム・マシン」「タイム・シップ」の見どころ!
①タイムトラベルSFはこの小説から始まった!
タイム・マシン/HGウェルズ
- 著者:H.G.ウェルズ
- 発売:1895年発表。
邦訳版は光文社、創元SF文庫など、各出版社より発売中 - Kindle Unlimited:光文社古典新訳文庫版は読み放題対象(2023年12月現在)
- Audible(聴く読書):対応なし
タイム・マシン/H.G.ウェルズ あらすじ
1891年、イギリス、リッチモンド。
タイムマシンを発明し、80万年後の未来へと飛び立つタイムトラベラー。
壮麗で煌びやかな未来世界への期待に反し、そこに広がっていたのは
エロイ族の女性、ウィーナと親交を深めるタイムトラベラーでしたが、そこに迫る謎の影。それはエロイ族と進化の袂を分かった
タイム・マシン、続編のタイム・シップ、ともに主人公は「タイムトラベラー」と呼称され、本名は明かされません。
100年の時を超えて受け継がれる、タイムトラベルSFの魅力
小説「タイム・マシン」は、未来へ飛ぶというアイデアはもちろん、未来が希望に満ち溢れるものとは限らない、という皮肉ある内容になっています。
滅亡に近づく地球の姿も描かれ、当時の読者も衝撃を受けたのでは。
マシンに乗りながら外の世界を眺める際、外の世界が加速して見えるという、ビジュアル面での演出も斬新!
100年以上前の作品とは思えない、想像力の豊かさに驚かされます。
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19世紀の英国人を楽しませた2大SF作家
タイム・マシンは1895年の作品ですが、このようなSF作品は1890年頃から発達したと言われています。当時は「科学ロマンス」と呼ばれ、大いに人気を博しました。
シャーロック・ホームズシリーズで有名な「コナン・ドイル」も1912年に、恐竜が登場する科学ロマンス作品「失われた世界」を発表。
ドイルとウェルズ。2大英国SF作家によって、娯楽としての科学を大衆が楽しむ。そんな時代の空気を感じることができます。
映画化もされた「タイム・マシン」
タイム・マシンでは、マシンの見た目や仕組みについてはあまり説明がありません。
- 真鍮や石英が使われている
- 自転車みたいなサドルがあって、またがって乗車する
- 2本のレバーを取り付けないと操作できない
- 現在の「時点」を指し示すメーターがついている
いったいどんな見た目なのか?気になるあなたは映画版「タイムマシン」をチェック!
わんこたんのお友達、ほろろさんの記事で映画版「タイムマシン」を紹介しているので、ぜひご覧ください。原作版との違いもばっちり説明されていますよ。
ウェルズのファンが生み出したタイムトラベルSFの有名作品「夏への扉」
「夏への扉」は、これまたSF界を代表する作家、ロバート・A・ハインライン氏の人気作品。
友人と婚約者の裏切りで未来に厄介払いされてしまった主人公の、奮闘が描かれます。
夏への扉でも紹介されている、HGウェルズの「冬眠者めざめるとき」はハインライン氏の大好きな作品で、なんとウェルズ本人から、この本にサインを書いてもらったそう。
ウェルズの生み出した「タイムトラベル」という概念が、後世代に脈々と受け継がれていることを感じさせるエピソードですね。
②タイム・マシンから100年後に生まれた「正当続編」
タイム・シップ/Sバクスター
- 著者:スティーブン・バクスター
- 翻訳:中原尚哉
- 発売:2015/5/22 早川書房
- Kindle Unlimited、Audible(聴く読書):対象外(2023年9月現在)
タイム・マシン刊行100周年を記念して書かれた本作。
HGウェルズの遺族が了承したため、タイム・マシンの正統続編とされています。
タイム・シップ/S.バクスターのあらすじ
前作「タイム・マシン」で出会ったエロイ族のウィーナ。タイムトラベラーは彼女をモーロック族の襲撃から救い出せませんでした。
無事、元の世界には戻ってきたものの、ウィーナを救い出すため、2回目の時間旅行を敢行します。
しかし1回目のタイムトラベルとは異なり、辿り着いたのは、
タイムトラベラーが1回目のタイムトラベルに成功し、「タイム・マシン」という小説が出版されたことにより、歴史の流れが変わってしまったのです。
闇の世界を支配していたのは、1回目のタイムトラベルでエロイ族を襲っていたモーロック族たち。しかしこの世界のモーロック族は発達した技術と深い知性を携えていました。
その先進的な社会と科学技術に驚きつつ畏れを抱くタイムトラベラー。再びタイムマシンに乗ってモーロック族から逃亡を試みますが、モーロック族であるネボジプフェルがタイムマシンに無理矢理乗り込み、、、
壮大な時の流れをめぐる、2人の大冒険が始まります!
ウェルズから100年。進化したタイムマシン理論がタイムトラベラーを襲う!
自分がタイムマシンを生み出したために、
この悲劇を繰り返さないために、主人公は過去の自分に会い「タイムマシンを作るな」と警告しようとします。
1作目「タイム・マシン」では、主人公は未来へと飛ぶのみでしたが、続編のタイム・シップは過去に未来に縦横無尽!
H.G.ウェルズの時代から100年。タイムトラベルSFは多くの作品を生み出しながら、量子力学や並行世界の概念を取り込んで大きく進化しました。
過去に戻って歴史を改変したらどうなるのか?タイム・シップは、100年間で進化したタイムトラベルの理論について学べる、教科書のような作品と言えます。
エンタメ作品としてのおもしろさも進化した「タイム・シップ」
エンタメ小説としての面白さも抜群なのが、タイム・シップの魅力。
互いに過去の改変を試みるイギリス軍とドイツ軍、暁新世への脱出、などなど、冒険小説、戦争小説としてのワクワクも特盛です。
続きはぜひ本編でお楽しみください。
1891年の主人公を導く相棒、ネボジプフェル
主人公のタイムトラベラーは1891年からやってきた存在であり、その時点までの科学知識しか持っていません。当時、まだ人類は有人宇宙飛行すら達成していませんでした。
タイム・シップでは、高度な知性を持つモーロック族のネボジプフェルが、「現在の読者」とタイムトラベラーの間にある、歴史や知識のギャップの橋渡し役となり、スムーズに物語が進行していきます。
このネボジプフェル、いろいろ皮肉をいいつつ主人公を支える、めっちゃいいやつなのです。しかし、愚かな人間のせいで、いろいろたいへんな目に、、、
ネボジプフェルのことを。主人公のタイムトラベラー(と読者)はモーロック族と認識しています。
しかし、1回目のタイムトラベルとは別の歴史から生まれた種族なので、本当は全然別の種族と言えるのかも。
主人公が1回目のタイムトラベルから帰還し、変化した世界線で生まれたのが、ネボジプフェルたち。なので、タイムトラベラーが居なければネボジプフェルも生まれなかったという、不思議な縁を持ちます。
だいたいいつも、人間は愚かで、矮小
主人公であるタイムトラベラーは天才的な科学者である一方、粗暴で短絡的という側面を持つ、人間の代表として描かれています。
過去を改変し、強力な爆弾で同胞を傷つけ、地球すらも捨て去る人間の姿が、これでもかと描写され、切ない気持ちになります。
それでも、人間は、そのささやかな目標に向かって生きる
壮大な物語の結末で、さらなる旅に出発するネボジプフェル。
一方で主人公タイムトラベラーが旅の終着点として選んだのは、壮大さとは無縁の小さくてささやかな世界でした。
人間は暴力的で、短絡的ですが、それでも愛おしさを感じてしまう、暖かなラストシーンでした。
続編「タイム・シップ」の注目ポイント
- タイムマシンの動力はなんなの?
1作目「タイム・マシン」ではほとんど触れられなかった、タイムマシンの動力、その名「プラトナーライト」が登場。物語の進行上のキーポイントとなるため、要チェックです。 - エロイ族とモーロック族への進化の分岐はなぜ起きたのか?
1作目「タイム・マシン」では、2種族分岐の歴史は主人公の想像でのみ描かれています。
続編「タイム・シップ」では博物館の資料によって、その歴史が少しだけ補足されます
まとめ
「タイム・マシン」「タイム・シップ」の見どころ!
タイムトラベルSFの原点として、後世の作品に大きな影響を与えた「タイム・マシン」
前作の空気感を損なうことなく、正統派「タイムトラベルSF」として、世界の始まりと終わりまでを描き切った傑作、「タイム・シップ」
どちらも現代のSFを語るうえで外せない作品といえるはず!
ぜひ、読んでみて、当記事コメント欄に感想など頂けたら幸いです。
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