「運はポイント」貯めてから使うもの?
小説「運転者 未来を変える過去からの使者」のあらすじと感想をまとめました。
「運転者/喜多川泰」のあらすじ
主人公は「修一」。
うだつの上がらない保険会社営業員。
彼の頭の中はいろんな悩みでパンク状態です。
- 担当先の保険が大量解約。給料激減の大ピンチ
- 給料が減れば、妻の楽しみにしているパリ旅行はキャンセル必至。
妻の不機嫌も必至。 - 中学生の娘は不登校。
- なかなか会いに行けない実母のことも心配。
「
そんな修一のもとにやってきた、一台の不思議なタクシー。
タクシードライバーの導きで修一は「運」にまつわる場所を訪れることに。
修一の悩みは解決するのか?
そして運を取り戻す方法とは?
本作はKindle Unlimited 対象書籍です。
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「運転者」は239ページと短めながらお値段1650円。
ちょっとお高いけど、
Kindle unlimitedで読む前提の値段設計かな。
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「運転者」はどんな人におすすめ?
自分には不幸なことばかり起こると感じている人
日々を前向きに生きたい人
「最後には全てうまくいく」という希望を持ちたい人
逆に!
「過去からの使者」という謳い文句から、SF小説のような不思議で複雑な世界観を期待して買うと後悔します。
「運転者」の正直な感想・評価
本作の良かった点、いまいちな点をまとめました。
(以下、辛口注意)
よかった点 不機嫌をやめて「運」を呼び込む
「不機嫌」と「運」に何の関係があるの?
「運のよい人」「運の悪い人」と書くと、「そんなの偶然」と思いたくなる。
でも
「転がっているチャンスを生かす人」「チャンスに気が付かず見逃す人」
と書けば感じ方もかわるはず。
たくさんくじを引けば、あたりを引ける可能性も増えそう!
それが周りからは「運のよい人」に見えるのかもしれないのう
ここで問題になるのが「不機嫌」。
「不機嫌な人」には誰も近づきたくないし、話しかけたくもない。
だから
自分が不機嫌になると相手は嫌な気持ちになるし、自分にとっても「チャンスを失う」デメリットしかない。なのに、なぜ人は不機嫌になってしまうのか。
「不機嫌な態度で、相手にダメージを与えること」に快感を覚えてしまっているのかなあ。
本当に嫌に思っている、困っているなら、不機嫌な態度で察してもらうのではなく、相手にそれを伝えたり、相談したりする方が建設的に感じられます。
不機嫌な態度をとったばかりにせっかくのチャンスを逃してしまう修一。
わんこたん自身、ついつい家族に「不機嫌」な態度をとりがちなので、反省させられました。
不機嫌な態度をとってもいいことなし。
運を呼び込むために、機嫌よく!
いまいちな点①
「運のポイント」設定が適当
修一を導く不思議なタクシー。料金メーターの代わりに「貯まっている運」が表示され、利用するたびに数値が減ります。
ドライバーいわく、「運はポイントのように貯めてから使うもの」
修一のメーターの数値は最初の時点で「69820」。どうしてそんなに運が貯まっていたのか?という理由は後々明らかに。
しかし、「ポイントが全部なくなるとどうなるのか」「ポイントの数値はどのように算出されるのか?」等の説明は一切なし。
SF小説では細かい設定の「種明かし」がひとつの見どころですが、残念ながら本作は「自己啓発書」。
いまいちな点②
主人公の設定に現実味なし
修一の職業は「歩合制の保険営業」。
もともとは別の職業でしたが、勧められるがままに安易に転職。
案の定なかなか契約は取れず、家族、こどもがいるにもかかわらず収入激減のピンチ。
修一の想像力がなさすぎて、読みながらちょっとイライラします。
「運のない主人公」を作りたいがために、現実味のない設定を盛り合わせただけに感じられるのは残念でした。
いまいちな点③
妻との会話に現実味がない
修一は妻と娘の3人家族。
パリ旅行を楽しみにする妻。不登校の娘。
保険の契約解除で落ち込む修一に妻から電話が。
「娘の件で、今日学校と面談するけど、同席できる?」
「あと旅行代金はやく振り込んでくれる?」
娘の心配からいきなり旅行の心配。話題の振れ幅大きいな!
修一の運のなさを強調したいがために、現実感のない会話シーンになっていたのが残念でした。
いまいちな点④
修一の上司「脇屋」が不機嫌
主人公修一の上司として登場する「脇屋」
冒頭、大量の保険契約解除があったことを修一に告げ、不機嫌をあらわにします。
ストーリーの根幹に触れるため詳細は書きませんが、「脇屋の過去」を知ると、冒頭で「不機嫌をあらわにする脇屋」が矛盾することに。
いまいちな点⑤
昔の人が運を貯めてくれていた??
中盤、修一の祖父「良蔵」が第二次世界大戦末期にサイパン島で戦死していたことが明かされます。
「良蔵をはじめ、昔の人々は運を貯めても使う機会に恵まれなかった」
「その貯めた運が引き継がれ、今を生きる人々の幸せな生活がある」
タクシーのメーターに表示されていた修一の運ポイント「69820」は、良蔵をはじめとする過去の人々が貯めてくれていたものだったのです。
当初、「運は貯めないと使えない」と説明されていましたが「過去の人が使いきれず余った運は未来に持ち越される」という
当時の人々にも、当時なりの「幸せ」があったはず。
それを否定し「当時の人々は不幸せだったから、今の人が幸せになれた」とひとまとめにする点は好きになれませんでした。
いまいちな点⑥ 不登校解決!
修一の娘の不登校が解決するシーン
そんな簡単に解決したらだれも苦労しない
まとめ
自己啓発書として読めば、全てが繋がって、うまくいくストーリー展開に、前向きな気分になれるはず。
ただし、小説として読むと、上で書いたようにアラが目立つ点が気になりました。
文句ばっかり書いてるけど、
それなら、
というわけで