「みんなの意見」を集めたほうが
正しい?そんなことあるの?
この記事ではそんな「集合知」の
不思議について
ジェームズ・スロウィッキー著の
をもとに解説しています。
※残念ながら絶版のため、中古書のみの取り扱いです。
(2022/10/25現在)
専門家の意見< みんなの意見?
~集合知の仕組み~
素人がたくさん混じった集団より
その道の専門家集団が集まって
意思決定をしたほうが
正しい意見が導き出される、
と思われがちですが、
実はそうではない、という事実
を本書では紹介しています。
専門家集団が誤った決定をした例
アメリカの諜報機関(専門家集団)は
「
得ていたにも関わらず、
その情報の重要性を十全に理解し
活用するのに失敗。
重要な情報を見逃してしまった。と、
連邦議会の独立調査委員会は
結論付けています。
「みんなの意見」が力を発揮する条件
「以下の4条件」がそろったときに
「みんなの意見」は力を発揮します。
①
②
③
④①~③の条件を満たした意見を
「
どうすれば
4条件を
満たせるのかな?
牛の重さあてコンテスト
「4条件」を満たす例を見てみましょう。
イギリスのプリマスで行われた
家畜の見本市。
そこで開催された賞金付きの
「雄牛の重さあてコンテスト」
(※食肉処理した解体後の重さ)
参加した800人
(家畜の専門家から素人まで様々)が
投票用紙に書いた重さの平均値は
「1197ポンド」
ほとんど変わらなかった
科学者フランシス・ゴールトンは
たまたま見本市に参加して
このことに気づき、
1907年に発表しました。
多様 な考え方の人々(専門家~素人)が独立 して判断し(重さをあてれば賞金をひとりじめできる)- ある程度意見が
分散 (約800名が投票し、軽い予想~重い予想まで様々)
そのうえで、情報を
「みんなの意見」が力を発揮したのです。
「googleの検索システム」も「みんなの意見」を集めていた!
ゴールトンが偶然発見した「集合知」
これをうまく応用したのが
「google」の検索システムに使われている
「
ラリーペイジとサーゲイブリンが、
スタンフォード大学での
研究の一環として、
検索に革命をもたらすPageRank を考案しました。
それは、ウェブページの質を把握する最良の方法は、
そのページへのリンクの
数と質を分析することである、
という考えに基づくものでした。より引用
ページB→ページAへのリンク
(
「ページAはページBで紹介するに値する良質な記事」
=「ページBからページAへの支持投票」とみなし、
ページAの重要性を判断。
さらに、投票をしたページBについても分析して
重要度の高いページからの投票
=被リンクをより高く評価し、
検索時に上位表示する
仕組みを作ったのです。
1998年に発表された論文
「ハイパーテキスト対応大規模ウェブ検索エンジンの分析」
では、google黎明期のページランクシステムについて
説明されています。
ページランクの
計算式も
のっておるぞ
これ絶対
むずかしいやつだ!
「みんなの意見」は本当に正しいのか
「ページランク アルゴリズム」は
googleのリリース当時は
検索システムの根幹でしたが、
現在は、 Google のインデックスに登録された 何千億ものページから信頼できる情報源を特定 する仕組みが数多く存在し、 PageRank はその 中の一つに過ぎません。
より引用
多くの人がgoogle検索を
利用するようになるにつれて、
Page Rankをあげるために、
質の低い被リンクをお金で集めたり、
利用者の健康や人生に
影響を与えるような極端な意見が
上位表示されてしまうことが
問題視されてきました。
2022年現在、
特に健康やお金に関連する
YMYLというジャンルでは
(専門家が書いた記事など)が
上位表示されるようになっています。
参考:Google General Guidelines(Google検索品質評価ガイドライン)
これ「みんなの意見」を取り入れる
「集合知」からは逆行していると
思いませんか?
「集合知」は間違っていたのでしょうか?
以下は当ブログ
管理人
わんこたんの
私見です。
「集合知=みんなの意見」が
役立たずなわけではない。
しかし、4条件
②独立性
③分散性
④①~③の条件を満たした意見を
「集約」するシステム
を完ぺきに満たすシステムの構築は
残念ながらまだまだ発展途上。
例えば、「被リンクをお金で買う」のは
「②独立性」に反する行為ですが、
それらを排除するために、
googleはページランクだけに頼らない
検索システムを作らざるを得なかった。
「みんなの意見」を正しく集めるために
googleも試行錯誤しているのだと、
わんこたんは考えています。
いつか、完璧な形で
「みんなの意見」を
集められる時代が
来るのかな
「「みんなの意見」は案外正しい」を読んでみよう
この本では当記事で紹介した例
(牛の重さ、googleの検索システム)
以外にも、
みんなの意見を取り入れなかったがために
他にもたくさん掲載されています。
また、「4条件」についても、
詳しく説明されています。
読みづらい箇所もありますが、
拙記事をきっかけに
「みんなの意見」に耳を傾ける
きっかけになれば幸いです。
絶版だけど、
図書館にあるかも
探してみてね~
関連書籍
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「みんなの意見」に翻弄される
戦いの場、、、
「みんなの意見」が株式の値動きに
どう影響するのか?
より気になる方は、
「ウォール街のランダム・ウォーカー」第10章で紹介されている
「
\こちらの記事もあわせてどうぞ/
*1:「みんなの意見」は案外正しい は、2004年初版