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書籍「「みんなの意見」は案外正しい」は、正しいか? ~google検索と集合知の世界~

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

「専門家が考えた結論」よりも
「みんなの意見」を集めたほうが
正しい?そんなことあるの?

この記事ではそんな「集合知」の
不思議について
ジェームズ・スロウィッキー著の
「みんなの意見」は案外正しい
をもとに解説しています。
 

専門家の意見< みんなの意見? 
~集合知の仕組み~

素人がたくさん混じった集団より
その道の専門家集団が集まって
意思決定をしたほうが
正しい意見が導き出される、
と思われがちですが、
実はそうではない、という事実
「集合知」
を本書では紹介しています。

The Wisdom of Crowds みんなの意見は案外正しい

専門家集団が誤った決定をした例

アメリカの諜報機関(専門家集団)は
9.11のテロ計画に関連した情報」を
得ていたにも関わらず、
その情報の重要性を十全に理解し
活用するのに失敗。
重要な情報を見逃してしまった。と、
連邦議会の独立調査委員会は
結論付けています。

「みんなの意見」が力を発揮する条件

「以下の4条件」がそろったときに
「みんなの意見」は力を発揮します。

多様性

独立性

分散性

④①~③の条件を満たした意見を
集約」するシステム

どうすれば
4条件を
満たせるのかな?

 

 

牛の重さあてコンテスト

「4条件」を満たす例を見てみましょう。

イギリスのプリマスで行われた
家畜の見本市。

そこで開催された賞金付きの
「雄牛の重さあてコンテスト」
(※食肉処理した解体後の重さ)


参加した800人
(家畜の専門家から素人まで様々)が
投票用紙に書いた重さの平均値は
「1197ポンド」
実際の重量「1198ポンド」と
ほとんど変わらなかった
のです。

科学者フランシス・ゴールトンは
たまたま見本市に参加して
このことに気づき、
1907年に発表しました。

The Wisdom of Crowds みんなの意見は案外正しい

  • 多様な考え方の人々(専門家~素人)が
  • 独立して判断し(重さをあてれば賞金をひとりじめできる)
  • ある程度意見が分散(約800名が投票し、軽い予想~重い予想まで様々)

そのうえで、情報を集約(重さを用紙に書いて投票する)できたからこそ
「みんなの意見」が力を発揮したのです。

「googleの検索システム」も「みんなの意見」を集めていた!

ゴールトンが偶然発見した「集合知」
これをうまく応用したのが
「google」の検索システムに使われている
ページランク アルゴリズム」です

ラリーペイジとサーゲイブリンが、
スタンフォード大学での
研究の一環として、
検索に革命をもたらす
PageRankを考案しました。
それは、ウェブページの質を把握する最良の方法は、
そのページへのリンクの
数と質を分析することである、
という考えに基づくものでした。 

Google 検索の歴史

より引用

ページB→ページAへのリンク
(被リンク)を
「ページAはページBで紹介するに値する良質な記事」
=「ページBからページAへの支持投票」とみなし、
ページAの重要性を判断。

さらに、投票をしたページBについても分析して
重要度の高いページからの投票
=被リンクをより高く評価し、
検索時に上位表示する
仕組みを作ったのです。

The Wisdom of Crowds みんなの意見は案外正しい

1998年に発表された論文
ハイパーテキスト対応大規模ウェブ検索エンジンの分析
では、google黎明期のページランクシステムについて
説明されています。

ページランクの
計算式も
のっておるぞ

Page Rank

これ絶対
むずかしいやつだ!

「みんなの意見」は本当に正しいのか

「ページランク アルゴリズム」は
googleのリリース当時は
検索システムの根幹でしたが、
現在ではそこまで重要視されていません。

現在は、 Google のインデックスに登録された 何千億ものページから信頼できる情報源を特定 する仕組みが数多く存在し、 PageRank はその 中の一つに過ぎません。

Google 検索の歴史

より引用

*1

多くの人がgoogle検索を
利用するようになるにつれて、
 Page Rankをあげるために、
質の低い被リンクをお金で集めたり、
利用者の健康や人生に
影響を与えるような極端な意見が
上位表示されてしまうことが
問題視されてきました。

The Wisdom of Crowds みんなの意見は案外正しい

2022年現在、
特に健康やお金に関連する
YMYLというジャンルでは
権威性のあるwebページ
(専門家が書いた記事など)が
上位表示されるようになっています。

参考:Google General Guidelines(Google検索品質評価ガイドライン)

これ「みんなの意見」を取り入れる
「集合知」からは逆行していると
思いませんか?
「集合知」は間違っていたのでしょうか?

 

 

以下は当ブログ
管理人
わんこたんの
私見です。

「集合知=みんなの意見」が
役立たずなわけではない。
しかし、4条件

①多様性

②独立性

③分散性

④①~③の条件を満たした意見を
「集約」するシステム

を完ぺきに満たすシステムの構築は
残念ながらまだまだ発展途上。

例えば、「被リンクをお金で買う」のは
「②独立性」に反する行為ですが、
それらを排除するために、
googleはページランクだけに頼らない
検索システムを作らざるを得なかった。

「みんなの意見」を正しく集めるために
googleも試行錯誤しているのだと、
わんこたんは考えています。

いつか、完璧な形で
「みんなの意見」を
集められる時代が
来るのかな

「「みんなの意見」は案外正しい」を読んでみよう

この本では当記事で紹介した例
(牛の重さ、googleの検索システム)
以外にも、
みんなの意見が力を発揮した例

みんなの意見を取り入れなかったがために
失敗した例
他にもたくさん掲載されています。

また、「4条件」についても、
詳しく説明されています。

読みづらい箇所もありますが、
拙記事をきっかけに
「みんなの意見」に耳を傾ける
きっかけになれば幸いです。

絶版だけど、
図書館にあるかも
探してみてね~

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*1:「みんなの意見」は案外正しい は、2004年初版