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(読了)読書感想文/なめらかな世界と、その敵 「秒速0.0003cm」の世界

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

普段読書するときは、kindleの機能で気になった個所にマーカーをひいて
ブログを書くときに読み返したりするのですが。

 

本書は、「ついぐいぐいと読んでしまって、全然マーカーひけてない、、、」
てなるタイプの本でした。
つまり最高でした。

 

 

 

 

 

全てではないですが、
人間の脳の知覚や思考をテーマとした作品が多かったかなと。

 

一方で、短編ごとの書き口は全く異なっていて、
「本当に一人の作家さんが書いたの!?」と思うレベル。
これだけの振れ幅で作品を書けるは本当にすごいことだと思います。
天才か。


短編によっては、「その世界独特のルール・設定」が
あったりするのですが、その提示の仕方も本当になめらか。
なめらかな世界だけに

あと表紙の女の子がめちゃかわいい。
漫画家・赤坂アカ先生の絵とのことです。

以下、何篇か抜粋で感想を書きました。
ネタバレにご注意ください。

 

 

 

 

『なめらかな世界と、その敵』

並行世界を知覚し、並行世界で「ありえたかもしれない」
生活を送っている無数の自分と意識を共有できる世界。

主人公は学生でもあり、同時にアルバイトであり、
友人はクラスメートであり、アルバイトの同僚であり、警察官であり

と、このように書くとめちゃくちゃわかりづらいのですが、
この世界観を読者にすんなり理解させる、構成能力、すごい。
この世界観で、「爽やかだけど、ちょっとほろ苦い青春小説」
が成り立っているのがさらにすごい。

 

 

『美亜羽へ贈る拳銃』

本作品は夭逝のSF作家、伊藤計劃氏へのトリビュートであり、
「美亜羽」は伊藤計劃氏の著書「ハーモニー」に登場するミアハから
名前をとっています。

(ハーモニーを読んでいなくてもストーリーの理解には影響ないので
その点は心配ご無用です
でもやっぱりハーモニーもぜひ読んでいただきたい、、、)

 

本作の世界では、感情インプラント技術によって、
感情を自在にコントロールすることが可能に。
饒舌で社交的になったり、運動が大好きになったり
夫婦間で互いを愛し続けられるようになったり、、、


自分はこの技術「ありじゃん」と思ってしまいました。
イライラするとすぐ態度に出してしまうところを直したいw

初読ではラストシーンが理解できず、冒頭を読み返し、
「幼い君の手」と記載されているところで、
「幼い君」が誰なのかを理解し、そしてやっと結末を理解しました。

結局、冒頭に登場した「使用済みの銃」は
誰が誰に対し使用したか明かされませんでした。
これはハッピーエンドなのでしょうか?

 

 『シンギュラリティ・ソヴィエト』


AIに支配されたソヴィエトとアメリカの対立。
歴史改変SFっていいよね~


全人間の脳の一部をAIの演算領域として供している、とか
そういうマトリックスとかサイコパスに通じる設定、
大好きです。わたし。
 

 

『ひかりより速く、ゆるやかに』

とある事情で修学旅行を欠席した主人公。
クラスメートが乗った帰りの新幹線が
前代未聞の異常な事故に巻き込まれ、
主人公は図らずも『幸運な生存者』となり、、、

 

時速300㎞のバイクで走るシーン、
主人公がみたであろう、おそらく3秒前後の「あの瞬間」の光の明滅。

私の脳内では新海誠監督作品風の映像で再生されました。笑
タイトルは「秒速0.0003cm」ですかね。

 ※時速300kmの2600万分の1で計算。間違っていたらごめんなさい。