衝撃の結末!として2023年に一躍話題となったミステリー アリアドネの声。管理人わんこたんも読みましたが、思いっきり泣かされました。
でも感想はちょっと辛口。泣かされたのに辛口ってどういうこと?できるだけネタバレに触れないよう解説したので、ぜひご覧ください。
アリアドネの声 あらすじ
救助災害ドローンを製作するベンチャー企業の社員 ハルオ。
巨大地震に遭遇し、地下商業施設に取り残された一人の女性を救助するミッションを課されるが、その要救助者は「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱えていた……
ドローン×救助を描いた、異色のサバイバル小説!
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アリアドネの声 著者 井上真偽さんについて
井上真紀さんは、メフィスト賞出身の推理小説家。
デビュー作の恋と禁忌の述語論理は数理論理学をテーマにした作品とのことで、俄然興味をそそられます。読みたい!
以下に著者の作品の一部をご紹介。※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプします。
アリアドネの声 感想
良かった部分もあるのですが、全体的にちょっと都合良すぎやしないか?というのが正直な感想でした。以下より詳しく書いていきます。
ここから、ストーリーの内容に触れています。未読の方はご注意ください。
ミステリーと呼ぶにはちょっと弱い
一応伏線と、トリック的なものはありますが、ヒントがわかりやすく、多くの読者は読みながら結末の予想がついたのではないでしょうか。
どんでん返しミステリー!と帯に書かれており、ミステリー的な複雑怪奇な謎解きを期待して読むと、かなり拍子抜け。
最初から、サバイバル小説、あるいは人命救助小説として読めたら良かったのですが。どんでん返しをアピールしたい!という売り手側の思惑が強すぎて、関心の中身とキャッチコピーが合っていないのが本当にもったいない作品でした。
地下都市の設定のちぐはぐさ
ドローンで障害者を救助する、というドラマチックな物語を成り立たせるために、周りの設定がちぐはぐになってしまっていたのも残念。
そもそも地下都市にはドローン輸送用のチューブが張りめぐらせてあると言う設定なのですが、空間の限られた地下都市で、その輸送方法は本当に効率的なんだろうろうか。チューブがあるなら、レールと小型輸送機のセットでいいじゃんと思ってしまったり。
もはやゲームのステージのよう
サバイバル感と伏線を演出するために、地上まで徒歩で避難しようとすると、絶対にスパ施設を横断しないといけない、という地下都市の構造も理解不能でした。普通、通路があると思うんだけど。
同様に、通路・廊下がないので作物保管庫やフォークリフトのエリアを絶対に通らなければならず、フォークリフトエリアに至っては、一定パターンでフォークリフトが動いているから避けなきゃ!っていやいや、マリオのゲームじゃないんだから。
とにかく困難さを演出するために、ゲームのステージを並べたかのような変な地下空間になってしまっていたのが本当に残念。
最後の驚きを演出し、ドローンを大活躍させるするためにこそ、周りの環境はとことん、本当に現実にある都市かのように、作り込んで欲しかったです。
ただ他の方の感想読んでいると、ゲームのステージのようでわかりやすく読みやすかったと言う意見。ある意味では、作者の演出意図としては成功しているのかもしれませんね。なるほどなあ。
でも結局感動して泣いちゃったのです
ここまで文句ばっかり書いてごめんなさい。実はわたくし、アリアドネの声の200ページ目あたりから結末がわかり、まだ救助できてないのに感動でボロボロ泣いてました。泣かされて悔しくて、こんなに辛口で感想書いちゃったのかも。我ながらひどい。
ひとりで無理しない、足りないものは互いに補いあう。作品の内包するテーマをがつんとぶつけたようなシンプルなラスト、素晴らしかったです。
ミステリーとして読むのでなく、温かい気持ちになりたい時に、前向きになったときに読む本として、出会いたかった。その点が本当にもったいなく感じる作品でした。
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