1987年の出版から長年愛され続け、近年ではコミカライズに実写映像化など、広がり続ける十角館ワールド!その感想と思い出を(できるだけ)ネタバレなしで語ります。
十角館の殺人 あらすじと概要
洋上の孤島を訪れる、7人の大学生。
彼らは推理小説クラブのメンバーで、その島でクラブの合宿を行う手筈だったが、宿泊先の建物「十角館」には、あるいわくがあって、、、
- 著者:綾辻行人
- 発売:講談社 1987/9/5
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
著者 綾辻行人さんと、「館シリーズ」について
十角館の殺人は綾辻行人さんのデビュー作。
デビュー作がこれなんだから、当時のミステリー界にとっては、隕石が落ちたくらいの衝撃だったのではないでしょうか。
綾辻さんのペンネームはこれまた超有名な「占星術殺人事件」の著者、島田荘司さんが考えたものだとか。
十角館の殺人は、のちに「館シリーズ」とよばれる全10作(予定)シリーズの第1巻。もっともシンプルな「館」なので、とっつきやすいのも魅力の一つ。
現在最後の10作目となる、双子館の殺人を執筆中とのことで、楽しみです!
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十角館の殺人、映像化決定!
なんとなんと、2023年3月24日、Huluでの「十角館の殺人」 実写映像化が決定!どうやって実写化するの?と、作者本人が首をひねるほどの衝撃!
ネタバレを見る前に、早く読まなきゃ!
以下、ストーリーの核心は避けて解説していますが、展開に触れる内容がございますので、未読の方は読むのをお控えください。
十角館の殺人 感想と、その衝撃
わんこたんが「十角館の殺人」をはじめて読んだ当時の衝撃や感想をまとめました。
斬新な「トリック」と、それをもたらす構成に脱帽!
登場する推理小説クラブのメンバーたちは、お互いを有名ミステリ作家の名前で呼び合います。登場する「ミステリ作家の名前」は以下の通り。
- ポウ
- カー
- エラリイ
- ヴァン
- アガサ
- オルツィ
- ルルウ
なんだこいつら、きざったらしいなあ、と思っていたのが懐かしい。
しかも、後から登場する「江南」と「守須」という「本名」のせいで、読者は気が付かないうちに「強烈な刷り込み」を与えられます。これにはしてやられた。
探偵役の江南くん
本土で探偵役となる江南くん、熱しやすく冷めやすいと自称してはいますが、めちゃめちゃ熱心に捜査していて、ちょっとホームズっぽいところは面白い。
十角館の殺人、実はコミカライズもされていて、なんと江南くん女性になっています。みてください、2巻表紙のこの挑戦的な目つきを。かわいい。
そもそもどうやってコミカライズしたんだ、、、?まあとにかく読んでみて!
本格ミステリーの掟をやぶった「新本格」ミステリー
犯人が〇〇によって、自由に移動できたり、洋上の密室かと思われていた「孤島」が実は、、、だったりと、実は本格ミステリーとしては「掟破り」をしているのです。まさに「新本格」。
そして、ラスト、あの一行の衝撃。やはり傑作だなあと。
なにせ、本書の登場をもって、ミステリジャンルにおいて「綾辻以降」なんて言葉が産まれるくらいですから。
十角館の殺人。一番好きなシーン
「カー」とか「エラリィ」とか、あだ名で呼び合っていたメンバーが、最後に新聞記事で実名で報道されるシーン。
ふわっとした、まるで夢の中で起きていたかのような事件が現実の世界におりて、標本のように、固定されるのするようで、ぞっとします。
個人的に一番好きなシーン!
「救いがたい」?のエラリイについて妄想
エラリイは最後まで外部犯の可能性を信じていました。
「救いがたい道化役者」と、犯人にも評されてしまう、かわいそうなエラリイ。
すごーく好意的に解釈するのであれば。
- エラリイは誰が犯人かはともかく、犯行動機には当初から気が付いていた
- 誰が犯人か気づきつつ、「外部犯説」を皆が信じるよう、誘導していた
- 自分の運命を覚悟していた
(でも最後に館の地下室の謎は最後に解いておきたかった笑)
、、、と読むこともできなくはない、かも。
もちろん証拠は一切なく、わんこたんの勝手な妄想です。
最後にここだけツッコミたい
ラスト、ビンを拾うところ。自分で渡してほしかったな~。笑
十角館の殺人 まとめ
ミステリ界の伝説であり、今なお色あせない傑作。
コミカライズもされましたが、コミックだとなんとかなるけど、さすがに映像化は厳しいだろうなあ。
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(2024年1月8日追記)なんて、2021年にこの記事を投稿した際には、そう書いていたのに、まさか実写化されちゃうなんてね!
双子館も執筆中ということで、まだまだ広がる館ワールド。楽しみにしています!
ミステリー界へのラブレターであり挑戦状。雪深い山奥での豪華絢爛な謎解きをご堪能あれ!
特に、十角館の殺人への「愛」が大変重たい作品となっております。館シリーズファンはぜひ挑戦を。