コロナ禍で失職した主人公の新たな職場は、怪獣が闊歩する並行世界の地球だった!?
笑って笑えるド迫力怪獣SFが日本上陸!怪獣保護協会/ジョン・スコルジーの感想を書きました。
スカッと楽しいSF小説!
怪獣保護協会 あらすじ
2020年。コロナ禍のニューヨークで理不尽にも会社を解雇されたジェイミー・グレイ。フードデリバリーでなんとか食い繋ぐジェイミーだが、たまたま再会した旧友の紹介で「おいしい仕事」を紹介されることに。
そんなこんなでグリーンランドに連れて行かれたジェイミーが見たものは、並行世界の地球を闊歩する巨大な怪獣だった!
怪獣保護協会KPS(tha Kaiju Preservation Society) の一員となったジェイミー。果たして愛すべき怪獣たちを保護できるのか!?
- 著者: ジョン・スコルジー → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 翻訳: 内田 昌之
- 発売:早川書房 2023/08/02
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
著者 ジョン・スコルジーさんについて
ジョン・スコルジーさんはアメリカのSF小説家。代表作に、ヒューゴー賞にもノミネートされた 老人と宇宙(そら)シリーズがあります。
スコルジー氏、2020年末に体調を崩し、なんとか復活したものの、今度は書き進めていた別の作品のデータ(締め切り間際!)を吹っ飛ばしてしまい……
そんな時に、この 怪獣保護協会 の全プロットとコンセプトが頭の中に降りてきたとのこと。そこから一気に書き上げ完成した、まさに運命的な作品でした。
怪獣保護協会、とってもよかったので、管理人わんこたん、いずれ他作品も読みたいなと思っています。
怪獣保護協会 感想
いやはや、最初から最後までずっと面白かった。重苦しいシーンや、いや~な敵もいるけれど、とにかくジョークと怪獣のパワーで薙ぎ倒します。
息を吸うように、ジョーク、息を吐くように、ジョーク。ノリノリのハリウッド映画を見ているような、爽快な作品でした。たーのしー!!
怪獣愛120%小説
マシンガンのごときジョークの嵐もすごいんですが、怪獣映画(特にゴジラ)への愛がすごい!管理人は怪獣映画には詳しくないんですが、これ、ゴジラやモスラ好きの人が読んだらだいぶニヤニヤしちゃうではないでしょうか。
作中のKPのメンバーは怪獣を保護しつつ怪獣大好きオタクでもあります。というわけで業務の合間にみんなで日本版ゴジラやパシフィック・リムを観て休憩する場面も。
\みんな大好き激熱映画、パシリム!/
ちなみに怪獣保護協会に登場する怪獣は、並行世界の地球で全く異なる進化の道を辿ったので、体内に原子炉があるという設定。
そこだけ見るとゴジラっぽいんですが、怪獣にひっついた寄生体が怪獣の栄養源になってるとか、成長の過程で適切な寄生体がいないと、原子炉がうまく分化できなくて死ぬとか。そのあたりの生態はかなり細かくおもしろい。
すごい勢いでジョークかましてくるのに、決して怪獣を雑に描かないところに、作品の良さがあるなあと思います。
超真剣 おしごとSF、でもある。
冒頭、コロナ禍で主人公が職を失いフードデリバリーで働くシーン。
2020年当時、ニューヨークはもちろん、コロナ禍で多くの人々が職を失ったことは、記憶に新しいと思います。
一方、転職先KPSでの仕事はつねに危険と隣り合わせ。過去には死者も出ており、安全対策に対しては超真剣です。
そういった、仕事を失うことの悲哀や仕事への真摯な姿勢が細やかに書かれていて、作者の温かさがあらわれているし、主人公を応援したくなっちゃうんですよね。好きだな~こういうの。うんうん。
悲しい出来事もあるけど、最後は笑って爽快に。ラストシーンもまさにハリウッド映画って感じの次に繋がっていくよエンド。なんだか読み終わったら誰かとハイタッチしたくなる、そんな、元気をくれる怪獣エンタメ小説でした。
怪獣保護協会 の次に読みたいおすすめ作品
おすすめ怪獣小説を紹介したい!ところだったのですが他に思い浮かばず。
というわけで、おすすめの恐竜冒険小説をご紹介します。
失われた世界/コナン・ドイル
名探偵ホームズでおなじみのコナン・ドイルですが、恐竜が登場するSF作品もあるんです。
さすがコナンドイル、わくわくの冒険劇は現代でも色褪せません。最後のオチも痛快。ぜひ読んでみてほしい1冊です。
おすすめ作品、他にもいろいろ