2009年に発売され、累計270万部の大ヒット。マンガ化、アニメ化、映画化と一世を風靡した小説 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら を覚えていますか?
あれから10年余。今更初めて読みましたが、そこには色褪せない魅力が。マネージャーの絶対条件「真摯さ」を武器にチームを変える!もしドラの感想を書きました。
今から読んでも遅くない。名作!
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら あらすじ
野球嫌いながら野球部のマネージャーとなった、みなみ。マネージャーの仕事について知るため本屋に行くも、間違って買ってしまったドラッカーの『マネジメント』。これ、ビジネスの本では?と後悔するも、読み始めると、そこには野球部のマネジメントに役立ちそうなメッセージがたくさんあって……
会社員でも、学生でも、主婦でも、読めば何かが刺さるはず!マネジメントの真髄をわかりやすく教えてくれる、青春小説。
- 著者:岩崎 夏海 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- ダイヤモンド社 2009/12/03
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 著者岩崎 夏海さんについて
岩崎夏海さんは放送作家であり、AKB48のプロデュースにも携わった、という経歴の持ち主。2005年に偶然出会ったドラッカーのマネジメントに感銘を受け、4年かけてもしドラを執筆、大ヒットとなりました。
続編「もしイノ」もあります。
2022年に稲田豊史氏との共著でゲームの歴史を発表。しかし、内容について事実誤認を多量に含む、との各方面からの指摘を受け、絶版になっています。
「ゲームの歴史」――間違いだらけの本はなぜ出版されたのか?(まつもとあつし) - エキスパート - Yahoo!ニュース
もしドラが素晴らしい本だっただけに、この顛末は残念でした。
そもそもドラッカーのマネジメントってなんだ?
ピータードラッカーは1909年生まれの経営学者。
ユダヤ系の出身であり、ナチスから逃れるためにアメリカに移住。巨大企業の社会的使命について研究し、組織、政治に関する著書を多数発表。
そのうちのひとつが1973年に発表された、「マネジメント」であり、独自の経営論によって、組織を定義し、その社会的意義を解説しています。
原著を完全無修正版で翻訳した、全4巻のマネジメントシリーズ(日経BP版)のほか、重要部分を抜粋したエッセンシャル版が存在。
もしドラ作中では書店の店員からエッセンシャル版を勧められ、主人公みなみがそれを読み進める、という展開が描かれます。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 感想
物語としてはかなりシンプルで、小説らしい形容表現はほとんどなし。誰が何をし、どう考え、何を言ったか、に絞って話が進んでいきます。言うなれば、台本を読んでいるのに近い感覚。
普通の小説だったら物足りない。けれど、もしドラの場合は、物語部分の情報が絞られることとで、「ドラッカーのマネジメント」の情報がちょうどいいバランスで頭に入ってきて読みやすかったです。
(著者の岩崎夏海さんは放送作家出身なので、こういう伝え方に長けているのかも?)
などと読み進めていくと……終盤は驚きの展開に!これはやられました。あくまでマネジメントの本、小説部分はおまけ、と油断していると、物語に涙すること間違いなし。
本当に1年で甲子園にいけるのか?
作中では短いページ数で、それなりに苦労しつつも物語がトントン拍子に進みます。なんだかんだ部員たちも素直だし。(これは入院中のマネージャー、宮田夕紀の資質によるところが大きいかも)
さすがに実際の弱小チームが1年でここまで組織(野球部)が成長するのは難しいかもしれません。でもこれを2年3年と続けたら、本当に弱小野球部でも変わっていけるのかも?
そう思えるリアリティがありました。マネジメントすげー。
ちなみに、守備側が合唱で応援しているシーンがありますが、高校野球で守備側応援は声を出すのNGなので、そこだけはご注意を。
監督ではなく女子マネージャーを柱にした。
日本の部活だと監督や顧問が主体となって部活の運営を決めていくことも多いと思うのですが、もしドラでは監督は「専門家」という位置付け。これは、なるほどなあと思いました。
日本の部活動、顧問となる教員の負担が大きいことが問題に挙げられがちですが、顧問がマネジメントでも指導でもなんでもやる、という考えを改め、まず部員たち主体で運営を決めていかなきゃなあと思いました。
(中学時代の吹奏楽部のことを思い出して、ちょっと反省)
マネージャーが、金銭的な視点から弱小チームを強くする、映画マネーボールを思い出しました。
野球とお金にスポットを当てた映画ですが、もしドラのマネジメントと通ずるものがあるかも。ブラピ主演、面白くてタメになる、おすすめ映画です。
マネジメントは企業だけのものじゃない。
マネジメントって、必ずしも企業やプロジェクトチームのような集団に限定されないってことに気づかされました。
例えが自分1人であっても
家族という単位でも
わたしは誰に価値を提供してるんだろう??
家族の目的ってなんだろう??
夫婦の意義ってなんだろう??
そんな身近なところにマネジメントをあてはめて、考えたくなる。そんな魅力がもしドラにはがありました。
読み終われば、いつもより少しだけ真摯な自分に出会えるはず。マネジメントの入門of入門として学べ、なんだか元気も湧いてくる!おすすめの1冊です。
もしドラ の次に読みたい おすすめ作品
もしドラの次に読みたいおすすめ書籍をまとめました。
マネジメント[エッセンシャル版]/P.F.ドラッカー
もしドラでも抜粋されて紹介されていますが、こちらでは実際の企業の実例を挙げながら説明されているので、よりマネジメントを詳しく理解できるはず!
…というのが数ページパラ読みした感想。いずれちゃんと読むぞー!
元気が出る本、あります
もしドラのような、読むと元気が出る本を集めました。疲れているときに、読書で心を癒しませんか?