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目を擦る女 小林泰三 感想

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

 

クセ強で、グロい。だけど壮大で、驚きたっぷり。そんな小林泰三SFの濃ゆい部分を煮詰めたようなSF短編集、目を擦る女の感想を書きました。

 

目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)
目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)
 

 

 

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目を擦る女 あらすじ

小林泰三先生らしい、こゆーい7作品を収録。

なお、短編集 見晴らしのいい密室と、半分以上の収録作品が重複しています。(以下の赤字部分)

 

見晴らしのいい密室 目を擦る女
  • 見晴らしのいい密室
    (超限探偵Σと同一内容)
  • 目を擦る女
  • 探偵助手
  • 忘却の侵略
  • 未公開実験
  • 囚人の両刀論法
  • 予め決定されている明日
  • 目を擦る女
  • 超限探偵Σ
  • 脳喰い
  • 空からの風が止む時
  • 刻印
  • 未公開実験
  • 予め決定されている明日

 

見晴らしのいい密室について

ミステリーっぽいタイトルですが、ゴリゴリのSF短編集。以下の記事で紹介しています

▶︎読者を翻弄するSF短編集 見晴らしのいい密室 感想と解説 - わんこたんと栞の森

 

 

著者 小林泰三氏について

小林泰三(こばやしやすみ)先生は、1995年 玩具修理者 で日本ホラー小説大賞短編賞を受賞しデビュー。

 

ホラー、SF、ミステリーと、多彩なジャンルで読者を楽しませてくれましたが、2020年11月に残念ながら逝去。

以下に作品の一部を並べました。(書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ)

アリス殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)
クララ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)
ドロシイ殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)
ティンカー・ベル殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫)
玩具修理者 (角川ホラー文庫)
人獣細工 (角川ホラー文庫)

 

小林泰三先生のおすすめ作品については、以下の記事をご覧ください。

 

 

目を擦る女 感想

うん、表紙が怖い!

たしかに内容には合ってる。でももっとキャッチーなイラストにして、多くの人に手に取ってもらって欲しいなあ。でも中身がだいぶとんがっているから、やっぱこの表紙が最適解なのかなあ。

そんなことを延々と考えてしまう、重度ヤスミスト(※小林泰三ファン)の管理人です。

見晴らしのいい密室 と半分以上内容が重複しており、個人的には「見晴らし」の方が好きなんですが、目を擦る女に登場する「蚊子さん」のインパクトも捨てがたい。

もちろん、小林泰三作品コンプリートを目指すなら、必読の1冊となります。

 

目を擦る女

引っ越しの挨拶のため隣の部屋を訪れた操子。部屋の住人の不気味な女は、なぜか「自分は眠っている」と言い張るのだが……

小林泰三さんらしい、不気味さと湿っぽさ全開のホラーSF。この世界は現実か?それとも誰かの夢なのか?薄膜 1枚隔てたところに、絶望的な世界があったらと思うと……

目を擦ることで2つの世界が入り混じるシーンが印象的でした。


超限探偵Σ

どんな謎も、たちどころに解いてしまう、その名は超限探偵Σ!

報酬も名誉もいらない、素晴らしく芳醇な香りを称えた事件こそが自分への報酬であると、うっとり呟くΣ(シグマ)は、まるで、とある単純娯楽マンガの魔人や、硝子の塔に招かれた名探偵を彷彿とさせます。

その真相はまさかの……えーーーーそんなのありですかw

 

ちなみに超限探偵Σは、更新世の殺人にも登場。また、「仮想世界」の正体は、正直者の逆説を読めば明らかになります。(どちらも 大きな森の小さな密室 東京創元社 収録)

 

大きな森の小さな密室について
大きな森の小さな密室
大きな森の小さな密室
 

 

紹介記事はこちら▶︎大きな森の小さな密室 感想と解説 - わんこたんと栞の森

 

あるときはバカミスの世界、あるときはSFミステリーの世界を変幻自在に飛び回る、超限探偵Σ!小林泰三作品の中でも大好きなキャラクターの1人です。


脳喰い

ぐーろーい!タイトルそのまんま、ぐーろーい!

シミュレーション仮説的な、この世界が実在するのか、それとも仮想空間内にあるのかは、区別がつかないよね、という話ですが、小林泰三せんせの手にかかれば、こんなにグロくなる笑

あと、西山下腕彦ってなんだよ。主人公につける名前じゃないよ。名前に意識半分くらいもってかれるよw

ラストの河子のセリフが意味深。もしかするとずっとずっと前から、この世界は脳喰いに侵されていたのかもしれない。

 

空からの風が止む時

実はこの世界の正体は……という、展開は、小林泰三作品の中でもよく登場するんだけど、これもまた奇想天外な世界でした。

「海を見る人」や「時計の中のレンズ」に、ちょっと雰囲気似てるかも(どちらも 海を見る人/小林泰三 (早川書房)に収録)

 

海を見る人 について

小林泰三先生の著者の中でもイチ推しです。

紹介記事はこちら▶︎ハードSF短編集 海を見る人 不思議な世界と人間たちの物語 - わんこたんと栞の森

次第に重力が衰退する世界。空から吹く風は、世界の縁へと流れていく。いったいこの世界はどんな姿をしているんだろう?

他にも星虹(スターボウ)という自然現象があったり、時間の単位が独特だったり(刹那、とか、牟呼栗多とか、仏教由来の単位が使われている)ところなんか、めっちゃ想像をかき立てられます。

(刹那は10^−18を表す単位、牟呼栗多は48分を表す単位ですが、これが日付や年の単位ぽく使われています。この世界が、人類の感覚と比較し、非常に短い時間の中に存在していることを示唆しているのかも)

 

刻印

ある日自宅のトイレを開けたら等身大の蚊エイリアンがいました。ぎゃー。

話しかけても「ぶう〜ん」としか答えない蚊に、「ブウーン人ですか?」「それともブウーン蚊(ブン)かな?」と、頑張って会話しようとする主人公が笑える。お前すごいな。

そんな蚊エイリアン、こと蚊子さん。生き延びるため主人公宅に居候するうちに、だんだん……あれ、おかしいな、だんだん蚊子さんが可愛く思えてきたような……いやでもやっぱ、無理でw

 

もともとは、プレステ2のゲーム「蚊」をもとに編まれたアンソロジー、その名も蚊 コレクションに収録されてた作品なのだそう。

あったね、そんなゲーム。

 

蚊 PlayStation 2 the Best

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未公開実験

丸鋸遁吉(まるのこ とんきち)は怒っていた。

「ターイムマスィーーン」を発明して、何度も歴史を改変しているのに、友人3人がちっとも理解してくれないからだ。

今日こそ「ターイムマスィーーン」の偉大さを知らしめててやると、丸鋸は3人を呼び出して実演を始めるのだが……

 

シミュレーション仮説をもりこんだタイムマシン短編。けっこう高度な内容な気がするのに丸鋸と3人のアホアホすぎる会話劇のせいで全く頭に入ってきません。なんなんだこれ。

魏志倭人伝を改変して邪馬台国の場所を詳細不明にしてやった、などと豪語する丸鋸ですが、友人3人はピンと来ない様子。

もう一度歴史を変えてやる、と過去に出発しようとする丸鋸を待ち受ける、衝撃のオチ。ギャグみたいな展開から、この結末は、さすがすぎる。

さあみんなでレッツ、「ターイムマスィーーン」!!

 

予め決定されている明日

算盤人(そろばんびと)のケムロは、算盤玉を弾いてひたすら計算を繰り返す、過酷な仕事を強いられていた。

そんななか、電子計算機の存在を知ったケムロ。この機械さえあれば、自分はこの状況から脱出できる!電子計算機をなんとか使用して状況を脱しようと、ケムロは一計を案じるのだが……

ケムロの正体が、そして「予め決定されている明日」というタイトルの意味が徐々に明らかになる展開がおもしろい。ケムロのいる世界には3次元ではなくω次元で、「電子」が存在しないとのこと。いったいどんな世界なのでしょう?

 

 

目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)
目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)
 

 

目を擦る女の次に読みたい おすすめ作品

とにかく濃い!わんこたん推しのSF短編集2冊をご紹介します。

 

円 劉慈欣短篇集 /劉 慈欣

 

脳がシビれる傑作SF短編集

中国のSF作家 劉慈欣(りゅうじきん/リウ ツーシン)さんのSF短編集。歴史・哲学・貧困・宇宙……ほのぼのからハードまで、みっちり詰まった傑作ぞろいです。

特に表題作の「円」が、すごい。

秦の始皇帝と荊軻。史実では「暗殺対象」と「暗殺者」な2人ですが、作中では……?ということで、後は読んでのお楽しみ!

SF初心者からマニアまで、強くオススメしたい1冊です。

 

円 劉慈欣短篇集
円 劉慈欣短篇集
 

 

感想記事はこちら▶︎「円 劉慈欣短編集」のネタバレ感想。短編から味わう劉慈欣SFの魅力! - わんこたんと栞の森

 

海を見る人 /小林泰三

 

あまりにも異常で、美しい世界

旅をする世界。対立する2大国の世界。逆さまの世界……

かなり不思議で、ちょっぴりホラーなセカイと、そこに生きる人間たちの切ない物語を集めた、小林泰三ワールド全開のハードSF短編集。

ハードSFって、なんだか敷居が高いですが、海を見る人なら、ワクワクしながら読めること請け合いです。

 

海を見る人
海を見る人
 

 

感想記事はこちら▶︎SF短編集 海を見る人/小林泰三 感想 不思議な7つのセカイの物語 - わんこたんと栞の森

 

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