
いろいろあったけれど遂に完成した、古典部の文集「氷菓」。ところが予定以上の部数を発注してしまい、大ピンチ!
さらに文化祭では、謎めいた盗難事件まで発生し……!?古典部シリーズ3作目 クドリャフカの順番の感想を書きました。
クドリャフカの順番 あらすじ
神山高校 文化祭、開幕!
古典部が刷りすぎた文集「氷菓」に頭を抱える中、文化祭では謎の連続盗難事件が発生。現場にはまるで犯行声明のようなカードと、文化祭のしおりがおかれており……
果たして、奉太郎たちは文化祭を無事に終えられるのでしょうか??
- 著者:米澤 穂信 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:KADOKAWA 2012/04/25
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象
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古典部の仲間と一緒に文化祭を回っているような、没入感が最高なんです。朗読版、ぜひお試しを。
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著者 米澤穂信氏と、古典部シリーズについて
直木賞受賞作家である米澤氏のデビュー作でありアニメ化もされた 氷菓。クドリャフカの順番は、氷菓からはじまる古典部シリーズの3作目です。
- 1作目 氷菓▶氷菓 青春×ミステリーな原作小説はやっぱりおもしろい - わんこたんと栞の森
- 2作目 愚者のエンドロール▶本郷の真意とタイトルを解説 古典部シリーズ2作目 愚者のエンドロール - わんこたんと栞の森
4作目 遠回りする雛 以降は随時更新予定!
省エネ主義で、灰色の高校生活を自負する折木奉太郎が、仲間と共に高校生活でまきおこる謎を解くシリーズ。
3作目 クドリャフカの順番は、まるで某クリスティ作品のような、「とある規則で順番に起こる事件」が文化祭をかきまわします。
以下にシリーズを並べました。※書影クリックでAmazonのページにジャンプ。
クドリャフカの順番 「古典部」シリーズ 感想
今作では視点が古典部メンバー4人(折木 奉太郎、福部 里志、伊原 摩耶花、千反田 える)の間を何度も行き来。
4人それぞれがいろんな視点で文化祭に関わってる感じが、お祭り騒ぎっぽくて楽しい!
- 落語研究会で爆笑したり
- ブレイクダンスショーで「わあ」となったり
- コスプレして店番したり
- 地学講義室で眠そうにしていたり
楽しそうな文化祭描写から、徐々に盗難事件:「十文字」による犯行が明らかになっていく感じもわくわく。刷りすぎた氷菓の残部数も、定期的にお知らせしてくれるのも楽しいです。
ただ、摩耶花は所属する漫研の先輩、河内 亜也子と言い争いをしてしまい、いたたまれない感じでちょっとかわいそう。がんばれ摩耶花。
冒頭からきっちり仕込まれた伏線
楽しそうな文化祭、の影で、ちゃーんと冒頭からしっかり伏線が仕込まれていました。この匠な構成、さすが、米澤先生。
特に、福部 里志が文化祭の総務委員メンバーとして、文化祭のしおりに掲載する古典部の順番を画策するエピソード。
里志がしおりの掲載順変更を提案したことで、犯人が十文字事件の実行を思いついたようにも読み取れるんですよね。仮に例年通りの掲載順だったら、同じページに「あ」ではじまる部活と、生徒会長の名前は載らなかったでしょうから。
自覚ないところで事件の根幹にかかわっていたという、さすが里志。
また、結末にも関わる文化祭グッズの通販についてもちゃんと冒頭で触れられていました。最初に読んだときは全く気が付かなかったわあ。
読み返すといろいろ発見できて楽しいね、これ。
クイズ研究会でちゃんと生徒会長の名前の読み「陸山=くがやま」を提示しているのも、再読で気が付きました。
今作も古典ミステリがモチーフに
前作 愚者のエンドロールは、推理合戦ものの元祖 毒入りチョコレート事件/アントニイ・バークリーがモチーフでしたが、今作 クドリャフカの順番は、クリスティのABC殺人事件がモチーフに。
ポアロに届いた不気味な予告状。
その予告上のとおり、Aで始まる地名の町で、Aの頭文字の老婆が殺され、現場にはABC鉄道案内が残されていた。まもなく、第二、第三の挑戦状が届き、Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺され……。
という、予告殺人ものの代表作です。
米澤作品て古典作品の引用が随所にあって、それがまた楽しいんですよね。
ちなみに4作目 遠回りする雛では、これまた名作 九マイルは遠すぎる/ハリイ・ケメルマンがモチーフになっています。
才能あるものへの、憧れと嫉妬とやるせなさ
解決パート、楽しい文化祭とは対照的なさびしい場所で、犯人と奉太郎が対峙するシーンが印象的。
才能があるのに、やる気がないなら、残された才能のないものはどうしたらいいのだ??という、嫉妬と悲しみと無念さが混じったような、ほろ苦感情が事件の動機でした。
そして、同じような感情=才能あるものへの憧れと嫉妬 を、漫研の河内先輩や福部 里志も抱いていた、という構図もまた感慨深い。
……にしたって、盗難事件はやりすぎ、というかこじらせすぎー!思うことがあるなら、当事者に直接伝えろーー!!w
しかも、こんなややこしい暗号から犯人の真意を読み取るの、当事者でもだいぶ難しいのでは…?ただでさえ忙しい文化祭の現場で、ちょっとした小物が盗まれてカードがおかれても、私だったら確実に見落とすw
ま、おかげさまで文化祭は大いに盛り上がり、無事、氷菓は完売御礼となるので、古典部にとってはありがたい事件だったわけですが。
文化祭を盛り上げることも意識して、こんなややこしい事件にした……というのはさすがに考えすぎかな?
相変わらずのキャラクターたちが楽しい
文化祭という、いつもと違う雰囲気で、古典部メンバーもちょっとだけ浮かれ気味?
各キャラの、個人的おもしろポイントをまとめました。
折木 奉太郎:古典部の店番
地学講義室にどっかり座って、ただ氷菓が売れるのを待つだけという、相変わらずの省エネ志向。でもそれが許容される「奉太郎はこうだよね」な古典部の暗黙の了解が笑えます。
そして、地学講義室にいるだけでいろいろサポートして解決しちゃうの、さすが。
福部 里志:ちゃっかり文化祭を楽しむ
氷菓を売るため、古典部アピールの場を見つける!という建前のもと、文化祭を楽しみつくす里志。クイズ大会でデータベースの面目躍如なるか……?
が、その一方で探偵である奉太郎に対する、憧れのような、嫉妬のような、複雑な感情もにじみでています。相変わらずのキザな決めゼリフ「データベースは結論を出せないんだ」が、今回はちょっと寂し気。
千反田える:ついつい文化祭を楽しむ
今回はお料理研究室のコンテストに参加。知られざる才能が明らかに!?
決めゼリフ「わたし、気になります!」が雰囲気で封じられ、しおしおと「……いえ、やっぱり、気になりません」と言うのがカワイイ
伊原 摩耶花:不本意ながらもコスプレ
漫研の売り子として、仕方なくコスプレ(河内先輩の提案)をする伊原。
伊原と河内先輩のコスプレ元ネタは、以下のサイトにまとまっておりました。世代的にぴんと来なかったので、まとまっててありがたい。
▶Junk Head な奴ら 米澤穂信 「クドリャフカの順番」 感想(ネタバレあり)
女帝 入須 冬美:古典部に協力
2作目 愚者のエンドロールでは奉太郎をいいように手ごまに?していましたが、そのこともあってか、今回はかなり古典部に強力的。
「氷菓」の売り上げにだいぶ貢献してくれました。さらには千反田に校内放送のアドバイスまで。
河内亜也子:漫研の先輩
伊原 摩耶花が所属する漫研の先輩で中心的なメンバー。しかし摩耶花とは根本的に思想が合わず……
嫌なタイプのキャラクターで、わんこたん苦手。
ただ、「あんまり漫画読まない」を自称する友人がいて、その人が初めてマンガ原作をして、すごい傑作を出して来たら、同じマンガ書きとして二度と読みたくない、という気持ちはちょっとわかる。
次作は、短編集
さて、続く古典部シリーズ4作目 遠回りする雛は短編集。
折木奉太郎の感情が大きく動く??気になるあなたは、ぜひ読んでみてくださいね。
クドリャフカの順番 の次に読みたい おすすめ作品
次に読みたいおすすめ書籍をまとめました。キーワードは文化祭!年に1度のお祭り舞台では、不思議なことがおこる……かも?
六番目の小夜子 /恩田 陸
その高校には三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が選ばれる謎めいた伝説があった。今年、「六番目のサヨコ」が誕生する年に、美しく謎めいた転校生、津村沙世子がやってきて……
文化祭シーンの迫りくる恐怖の演出は必見!恐ろしくもどこかさみしい、伝説の青春小説です。
感想記事はこちら▶︎六番目の小夜子 原作小説の残された謎を考察 - わんこたんと栞の森
予測不能ショートストーリーズ 文化祭編 /にかいどう青
文化祭当日の朝、起きたら猫耳が生えていた!?
予測不能な12の「すこしふしぎ」な青春ショートストーリーを収録。ほんわか、キュン、ハラハラがつまった、未良来(ミラクル)中学校の文化祭、開幕!
おすすめ作品、他にもいろいろ!
当ブログでは、他にもさまざまな小説を紹介中。ぜひブクマして、気になる記事をチェックしてみてくださいね。




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