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教室シリーズ3作収録の完全版 夏の教室/大塚 英志 感想

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

永遠の夏、冬の牢獄、壁の中の戦争、眼球のバーコード。

印象的なモチーフが不思議と心に残る、閉ざされた世界のSF、夏の教室の感想を書きました。

 

夏の教室
夏の教室
 

 

 

夏の教室 あらすじ

16歳の僕達は、壁に囲まれた真夏の世界で自由に生きられる。

17歳になるまでは。

咲庭 一花が17歳になるまであと一週間。僕と彼女の美しく残酷な逃避の物語。

以下の教室シリーズ3作品を収録した、完全版です。

  • 夏の教室(初出 SF Japan 2006 AUTUMN)
  • 冬の教室(初出 徳間デュアル文庫 2000年)
  • 海辺の教室(初出 SF Japan 2007 SPRING)

紙書籍版はおそらく絶版で古本のみ流通、電子書籍版はebook japanで購入できることを確認しています(Kindle、楽天Koboは取り扱いなし)。

 

 

著者 大塚 英志氏について

評論、マンガ原作、小説、などなど、クリエイターとしてマルチに活躍され、特にマンガ原作としては、多重人格探偵サイコ黒鷺死体宅配便 など読んだことがある方も多いのでは。

奥様の白倉由美氏と共同で創作される場面もあるようで、本記事で紹介する 夏の教室も、著者名は大塚氏ですが、表紙にはA.K.Yumi Shirakura のお名前が併記されています。

以下に関連作品の一部を並べました。※書影クリックでAmazonの作品ページへ

黒鷺死体宅配便(1) (角川コミックス・エース)
リヴァイアサン(1) (カドカワデジタルコミックス)
多重人格探偵サイコ(1) (角川コミックス・エース)
アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫)
北神伝綺 上 (角川コミックス・エース)
八雲百怪(1) (カドカワデジタルコミックス)

 

夏の教室 感想

少しずつ明らかになっていく世界の姿。

全体的にただよう不安げな雰囲気と、少年少女のの切ない関係性が、なんともいえない後味を残します。以下に収録3篇の感想を書きました。

 

夏の教室

16歳。ドッグタグ。左目のバーコード。壁の向こうにあるという「トウキョウ」の噂。

そんな限られた情報の世界で、主人公の音夜 琳は、咲庭一花と暮らしています。

ここは永遠の夏の世界。しかし、17歳になると彼ら彼女らはどこかに消えてしまいます。

 

いろいろ残されたままの謎はあるのですが(目の中で育てる石とは?黒架オラクル、何者?とか)、夏の雪のように、溶けて消えてしまいそうな一花の儚さが印象的でした。

  • ドッグタグを2つもつものは、生者であり、戦争中の休暇として、夏を過ごす。
  • ドッグタグが1つしかないものは、すでに死者であり、生者の慰めとして、あるいは石を育てるために、夏を過ごす。

そういうことなのかしら。

なお、「眼球バーコード」というオブジェクトは、大塚 英志氏が原作担当のマンガ多重人格探偵サイコ でも、印象的なモチーフとして描かれています。

 

冬の教室

18歳の僕 千野は、高校の図書室で嶝崎人魚に出会う。人魚は夏に焦がれているが、この世界は永遠の冬に閉ざされており…

ひたすら本を読み他人と関わらず過ごす人々。死がごくありふれた世界。

この世界には「17歳の儀式=徴兵」が存在することが明らかになります。

ということは、「夏の教室」で登場した琳たちは、

  • 17歳で徴兵される
  • 戦争中の休暇として、記憶を消され16歳と認識処理されたうえで夏を過ごす
  • 再び戦争に戻される

ということだったのかなあ。

夏の教室と同じく、この世界から逃亡しようとする千野と人魚。しかしその結末は……

ところで、夏の象徴として登場する琥珀ですが、もしかして「夏の教室」に登場する「目の中で育てる石」だったりして。

 

海辺の教室

17歳で徴兵された少年少女が行きつく先は、壁に囲まれた東京での「戦争ゲーム」。

様々な経緯で徴兵から逃れた3人、翡翠、神名、敦史は、トウモロコシ畑が海のように広がる、廃校にたどりつく。

 

3つの教室の物語を通し、徐々に今の世界の姿が明らかになっていきます。

といっても、細かい設定の考察を求めるよりも、儚く美しい世界観を楽しむ作品だなあという印象。

恐ろしい世界のはずなのに、登場人物の心象の描き方が本当に美しい。

登場する少年少女たちは、絶望的な世界で「死」を受容しているようでもあり、それでいて、新しい世界への旅立ちを求めているようでもあり……そんな心の在り方が印象的な作品でした。

 

夏の教室
夏の教室
 

 

夏の教室の次に読みたい おすすめ作品

夏の教室にちなみ、「寒冷化」をキーワードに、次に読みたいおすすめ書籍をまとめました。

 

人間たちの話 /柞刈 湯葉

 

凍り付いた地球で、ぼくらは生きる

様々なたくましく生きる人間たちを描いたSF短編集。収録作品「冬の時代」は、気候変動で凍りついた日本を南下する兄弟の旅行記となっています。

寒くて絶望的な世界だけど、人々はなんやかんやで生きている。まさに「人間たちの話」を象徴する1作です。

 

人間たちの話
人間たちの話
 

 

感想記事はこちら▶︎読書感想 人間たちの話 柞刈 湯葉 - わんこたんと栞の森

 

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 /アンディ ウィアー

 

太陽ピンチ!地球ピンチ!

映画化も決まった大人気SF小説。孤独な空間で目覚めた男。彼の使命とは??謎が謎呼ぶ展開に読む手が止まらない、ワクワクの科学冒険小説になっています。

できるだけネタバレ抜きで読むことをおすすめしますが、「太陽の異常で寒冷化の危機!」が、キーワードらしい……?

 

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
 

 

感想記事はこちら▶︎2026年公開決定!プロジェクト・ヘイル・メアリー 映画版みどころ予想 - わんこたんと栞の森

 

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