
近畿地方のある場所■■■■■について、情報をお持ちの方はご連絡ください。
こんな不気味な本、読みたくなるに決まっている!
新しくどこか懐かしいモキュメンタリーホラー。近畿地方のある場所について の感想を書きました。
近畿地方のある場所について あらすじ
失踪した友人の編集者「小沢くん」についての情報を探しています。小沢くんはホラーの特集記事のため、近畿地方の■■■■■地域にまつわる怪談を調査していました。■■■■■について情報をお持ちの方は、ご連絡ください。
- 著者:背筋
- 発売:KADOKAWA 2023/08/30
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象
▶︎5分間の試聴はこちら(リンク先で「▶プレビューの再生」を押下)
雑誌や2chスレの投稿を引用したような描写が多いので、Audibleとの相性はいまいちかも。個人的には文字書籍のほうが合うように感じました!
書籍の袋とじ部分はAudibleにもきちんと収録されていますので、ご安心を。
合わなければ体験中の解約OKで安心
聴く読書っていつ聴いたらいいの?Audibleの取り入れ方を解説しています▶聴く読書Audibleっていつ聴けばいいの?ぴったりハマる時間があるんです。
著者 背筋氏について
小説投稿サイト、カクヨムで連載していた近畿地方のある場所についてが2023年にKADOKAWAより書籍化されデビュー。さらには映画化もされ、話題となりました。
著者のXアカウントはこちら▶https://x.com/sesujisesujises
背筋作品を以下に並べました。どれから読んでも問題なし!※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ
近畿地方のある場所については、文庫版と単行本版で内容が異なります。単行本版とは違う人物が語り手になっているなど……気になる方はぜひチェックを。
穢れた聖地巡礼について 紹介記事はこちら▼
(ユルめの考察・キャラ深掘りなど)穢れた聖地巡礼について 感想 - わんこたんと栞の森
口に関するアンケート 紹介記事はこちら▼
近畿地方のある場所について 感想
近畿地方のある場所■■■■■で発生した過去の失踪事件や集団ヒステリー事件を紹介しつつ、語り手である「わたし」が、失踪した友人の編集者「小沢くん」についての情報を求める、という構成。
当初、地域以外はあまり共通点のなさそうに見えるできごとが、徐々につながり、入り混じっていくというのは、ひとつの文化の伝播と変容を見ているようでもあり、謎解きミステリーのようでもあり、楽しかったです。
- 山へ誘うもの
- 嫁入りを要求するもの
- 白くて大きい「何か」
- 大きな口を開けた「何か」
- 「ましろさま」の存在
- 手を挙げてジャンプする怪異
- 赤い服の女
- 謎の「石」
- 自殺(飛び降り、ダムへの入水、石に頭を打ち付ける、など)
- 大量のお札
これらがどのようにつながっていくのか……??
徐々に変容していく「わたし」が怖かった
語り手である「わたし」は、序盤では行方不明の「小沢くん」を懸命に探しているようなのですが、徐々にその様子が変化していきます。
唐突に「2か月後、彼は死にました」と語り「近畿地方のある場所については、はこれでおしまいです」と語る。
しかもそれが何度も繰り返される……紹介される様々な怪異よりも。この部分が一番怖かったかも。
伝播して変容する不条理
作中でホラー系ライターのおばちゃんも語っていますが、近畿地方のある場所についてでは、怪異(幽霊)の伝播が、特に強調して描かれているんですよね。
伝播し、関わったものに災厄を撒き散らす不条理な存在。
噂話などで勝手に存在が広まり、しかも話にだんだん尾ひれがついて、そのたびに怪異が悪い方に変異していくという、悪質さ。
その正体を突き止めようとするなんて、怪異の伝播に加担するのと同じこと。
小沢くんもわたしも、怪異の認識をひろめようとする、怪異自信の底知れぬ悪意に巻き込まれ、「贄が贄を求める」状態になってしまったような。そんなふうに読みながら感じました。
伝播、だなんて病原体ウイルスみたいですが、そういえJホラーの元祖リング/鈴木光司も、怪異をウイルスとして描いていました。うーん、懐かしい。
怪異の起源はどこにあるのか
終盤に語られる、怪異「ましらさま」の起源。
怪異の原型になったのは、明治時代に殺された「マサル」の話。殺されたマサルの祟りによって多くの人間が亡くなり、慌ててマサルを祀ったところ、祟りが収まった、ということらしい。
が……
さらに古い、なにか語られていない怪異の原型があるのではないか?と仄めかされています。
神社の石碑の文字はほとんど読めず、その「原型」は不明のままですが、かろうじて「鬼」という文字が読めます。「明治時代のマサル」よりさらに古い、「鬼」が登場する怪異の起源があり、そこから脈々と「マサル」はひきつがれてきたのかも。
それが現代のオカルトブームやインターネットの拡散力もあいまって、一気に広まり力を持つようになってしまった。
この怪異の広まりは、もはや収束不可能なのではないか、そう考えるとじわじわ怖くなてきます。
と、いうわけで、この記事の締めくくりも、以下の言葉で。
「見つけてくださって、ありがとうございます」
近畿地方のある場所についての次に読みたい おすすめ作品
近畿地方に続け!映像化決定の話題作をご紹介。
爆弾 /呉勝浩
2025年10月31日公開!物語の鍵を握る不気味な中年男「スズキタゴサク」を佐藤二朗さんが演じます。
あの不気味な雰囲気をどのように演出してくれるのか??ぜひ原作とあわせてチェックを。
プロジェクト・ヘイルメアリー/アンディ・ウィアー
アンディ・ウィアー主演で2026年3月の公開が決定した本作。原作は何もかもわからない状態からの謎解き要素が楽しいのですが、劇場版では、予告編からかなりの要素を「ネタバレ」していることが判明。
気になる方は、ぜひなにも情報を入れずに原作を読むことをお勧めします
感想記事はこちら▶︎
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