
ついに読み終わってしまいました。綾辻行人 館シリーズの7作目にして文庫全4冊の大長編ミステリー、暗黒館の殺人。
最終 第4巻は怒涛の解説にまさかの展開。そしてラストの絶妙な余韻に終始圧倒されていました。
読書好き管理人わんこたんによる、暗黒迷宮の惑いの記録、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
すべての謎がつながる、第4巻!圧倒的ダリア!
暗黒館の殺人、全編の読了を前提とした感想記事になります。未読の方は充分ご注意ください。
※便宜上、1991年の江南孝明くんを「江南くん」、1958年に塔から落下した自称江南青年を、「江南氏」と呼称しています。
- ダリアの花言葉について
- 中也と玄児の絆がかなしい
- 偶然が重なりすぎている気もするけれど
- 家人の優秀な医師とは誰なのか?1991年に存命なのは?
- 江南くんと、館との、運命の糸
- 3巻までの考察答え合わせ
- 暗黒館の殺人、ドラマ化できるのか???
- やっぱり暗黒館の殺人はすごかった
ダリアの花言葉について
大変今更な疑問ですが、なぜ、綾辻先生は、暗黒館の中心的存在となる狂気の魔女にダリアという名前をつけたのか。
ダリアの誕生日、9月24日は確かにダリアの開花時期ではありますが、メインの理由はその花言葉にあるのかなと。
ダリアの花言葉は「華麗」「優美」「気品」。一方で「裏切り」「移り気」「気まぐれ」「不安定」といったネガティブな花言葉もあり、ダリアの花を愛するあまり独占しようとした、ナポレオンの最初の妻ジョセフィーヌの逸話が関係しているとも。
参考▶ダリアの花言葉|色別や誕生花、名前の由来 | 観葉植物・お花の通販 AND PLANTS (アンドプランツ)
2面性のある花言葉。2種類の仮面を持つ始祖ダリアにぴったりじゃないですか。
中也と玄児の絆がかなしい
中也の回想に何度も登場する、母親の言葉「男の子のくせに、この子は。」
そして、玄児との別れ際の中也の言葉「私はーー私はーーあなたを……」
中也(中村青司)の心は、ずっとずっと引き裂かれたままだったのですね。
切ないなあ。
偶然が重なりすぎている気もするけれど
まず、江南くん(1991年)と江南氏(1958年)の名字の漢字が同じ、という時点で、偶然ができすぎているし、江南忠教と遠藤富重(江南くんの祖父)のイニシャルがいっしょ、ていうのもなかなか強引。
他にも、1991年と1958年で、「偶然」同じような状況で自動車事故を起こしたり、ついうっかりふらふらと十角塔に入ってしまったり……
でもこれも、江南くんと館との奇妙な縁といわれると納得させられてしまうんですよね。
よくよく考えると強引、でもそれを読者に受け入れさせてしまうのも、暗黒館の殺人という作品のパワーがなせる技なのかも……?
家人の優秀な医師とは誰なのか?1991年に存命なのは?
1991年、暗黒館の主は浦登征順氏となっていました。
その後の暗黒館の状況について、多くを語らない征順氏ですが、1958年の関係者が、1991年も暗黒館に残っている可能性が、示唆されています。
- 気を失った1991年の江南君を治療したのは誰だったのでしょう。
「家人に一人、優秀な医師がいる」という征順氏の発言。
玄児(本名は忠教)が、<ダリアの肉>で家事を生き延び、医師として今も暗黒館に……なんて。考えたくなりますね。(でも、血を注射するのは勘弁願いたい)
個人的には「奇跡的に清が長生きして、医師になれた」という説も、捨てがたいです。清くん、いい子だったからさ……
伊佐夫が嫁を迎え、その家系から医師を輩出した、という現実的な可能性も(夢がない) - 1991年の北館から聴こえてくる、シューベルトの「ピアノ・ソナタ 第二十番イ長調」の第2楽章。双子の片割れ、美鳥が弾いているのでしょうか?
- 小柄で真っ黒なマントの人物を鹿谷が目撃。まさか、鬼丸老がまだ生きている?
- 玄遥は、まだ惑いの檻にいるのでしょうか?
想像は読者におまかせ。こういう幻想的な余韻も、館シリーズならでは。
江南くんと、館との、運命の糸
運命のいたずらとでもいうべき、「相似」「対比」のモチーフが、暗黒館の殺人には多数みられます。哀しくも、美しい……
- 病に苦しむ母親を殺してしまった、江南
- 病に苦しむ母親を、最後まで看取った江南くん
さらに
- 火事によって運命を大きく書き換えられた玄児と忠教
- 火事の中、慎太を助け出す市朗。(18年前の玄児と忠教も、同じような状況だったのでしょうか)
- 火事によって、分かたれる玄児と中也
そして江南くんは、暗黒館の殺人で、中村青司と確固たる縁を結んでしまったような。これが彼の人生にとって吉と出るか凶と出るか……
3巻までの考察答え合わせ
第1巻~第3巻の感想記事で、奇説珍説を繰り広げてきた管理人わんこたんですが、考察の答え合わせをしていきたいと思います。
暗黒館の殺人の作中で答えが明記されている部分は割愛。
玄児のセリフへの違和感→特になにもなし
十角塔から落下した江南氏の身元がわからず、玄児が専属医の野口先生や使用人の鶴子さんに「この人は誰だかご存じですか?」と聞く場面。
野口先生や鶴子さんの知り合いである可能性を疑うような質問の仕方に違和感を覚えましたが、ただの考えすぎだったかも。
ただ、玄児は幼いころ江南氏(=本物の浦登玄児)に出会っているので、そのときの記憶がうっすら呼び覚まされ、見覚えのある顔のような気がして、こんな質問をしたのかもしれませんね。
浦登家は、光が影響する遺伝的疾患を抱えている?→特になし
暗黒館が黒に統一されているのは、光を避けることで闇に生きることで、不老の力を授かれると考えていた、始祖ダリアの影響でした。
浦登家は遺伝的リスク(早老症)は抱えていましたが、光にあたって病気になるほど脆弱なものではなかったようです。
ただ現実に「光老化」という言葉はありますので、光を避けることで老化をふせごうとしたダリアの判断は、意外と正しい、のかも?
参考▶日焼け Q5 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)
過去に湖で溺れて死んだ屋敷の使用人の親子→特になし
実はダリアの実験の犠牲になったのでは?とか、かつて暗黒館に勤めていた諸居静のことでは?などと予想していましたが、ストーリーにはあまり影響なかった。
水遊びは危ないから注意しなくちゃね(´・ω・`)
なぜ玄児は「私」に中原中也の格好をさせるのか?→特になし
中也っぽい服装をさせて、誰かと誤認させるトリックなのか?などと考えていましたが。ただの玄児の趣味だったみたい。
太字部分は誰の視点?→江南くんでした
読者の視点みたいなものかなあと思っていましたが、「江南くん」の視点だったのですね。つまり江南くんは、暗黒館の殺人の作中にずっと登場していたわけです。
当初、太字が登場人物の内面の精神を表しているのか?などと考えていたので、だいぶ混乱しました。
十角塔の鍵が開いていた理由は?→たぶん経年劣化
1958年に十角塔から江南氏が転落した際、そもそも十角塔の鍵が開いていたのは想定外の自体でした。
入口の南京錠が壊れていたのに、何か理由があったのかな?とも思いましたが、作中では特に語られず。
藤沼一成の絵「緋の祝祭」が表すものとは?
藤沼一成の絵、便利ですよね。
水車館の殺人で、彼の絵に未来視の力があることは確定済み(?)なので、ミステリー作品にオカルト的要素を盛り込むスパイスになってくれます。
さて、改めて「緋の祝祭」の描写を見直してみましょう。
- 黒い額縁に黒い布張り
- 右上から左下へ分断する搗色の太い線。
- この線=板を突き抜けるように、垂直に走る鋭い線(蒼白に銀、稲妻)
- 右下から土気色の腕、左腕が生え、左上空間に一羽の白い鳥が飛んでいる
- その翼の羽先はわずかに赤く、しずくを垂らす。
- 右下4分の1から蠢くように広がる不定形の赤(炎?)
炎と稲妻は、第4巻で落雷によって発生した火事を表す描写で確定として。
右下から生えた腕……「左腕」とあるので、玄児の「聖痕のある左腕」の意味でしょうか?では、白い鳥は中也……?
これは玄児と中也の別れ、中也の心に刻まれた傷を表していたのかな……
料理人の宍戸さんと蛭山さんの口論→特になし
蛭山さんの殺害に関し、宍戸さんが「何年も前につまらない口論を蛭山とした」と証言していたので、何かのヒントかな?と思いましたが、特に何もありませんでした笑
玄児と忠教の入れ替わりについて
火事で2人が入れ替わったのは考察通りでしたが、「顔に火傷を負ったので、2人の見分けがつかなくなった」という点は不正解。
どうやって望和や美惟をごまかしたのか気になっていましたが、きちんと柳士郎から説明されていたんですね。
双子の姉妹による「あだ名」は何かの伏線?
第1巻の時点から、シャム双生児の美鳥、美魚姉妹は、各人物にあだ名をつけて遊んでいました。
あだ名の由来がはっきりわかる人物もいれば、よくわからない人物も。首藤伊佐夫 → 蚯蚓(ミミズ)とか、ただの悪口でしょw
玄児は泳げない→特になし
泳げないんだ……
鬼丸老は双子殺人犯説→不正解
疑ってごめんね、鬼丸老。
しかし「鬼丸老は絶対に嘘をつかない」という理由で犯人から除外されるのは、ミステリーとしてちょっと納得いかないw
暗黒館の殺人、ドラマ化できるのか???
綾辻行人先生の館シリーズは、現在Huluでドラマ化企画が進行中。われらが江南くんを奥智哉さんが演じています。
十角館の殺人はすでに配信され、ドラマ版2作目として時計館の殺人も配信が確定!
果たして、暗黒館の殺人もドラマ化されるのでしょうか?
叙述トリックと呼べる箇所が多数あり、視覚的なハードルはかなり高そう。特に、江南くんと江南氏を同一視させる映像づくりは、かなり難易度高そう。
でもなあ。見てみたい!ドラマ化された暗黒館!!
いっそ開き直って、江南氏と江南くんの2役を奥田さんが演じてしまいましょう。「2人は、時を超えてたまたま顔も似てましたw」てことで。
やっぱり暗黒館の殺人はすごかった
暗黒館の殺人、長大で読むのは大変でしたが、やはり読み終えたときの感動はひとしお。これまでの館シリーズへの印象がガラリとかわる、まさに転換点な1冊でした。
次の「びっくり館」も、楽しみに読んでいきたいと思います。
シリーズの他作品については、以下の紹介記事をご覧ください。
| 1作目 十角館 | 2作目 水車館 | 3作目 迷路館 |
| 4作目 人形館 | 5作目 時計館 | 6作目 黒猫館 |
| 7作目(記事作成中) | 8作目(記事作成中) | 9作目(記事作成中) |




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