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チェスの魅力を凝縮した1冊 エヴァーグリーン・ゲーム 感想

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

絶対に負けられない覚悟を背負い、4人はチェスでぶつかり合う。

チェスはただのゲーム。でも彼らにとって、チェスは人生そのものだった。

64マスの盤上で交錯する思い。永遠に色褪せない戦いを描いた、第12回ポプラ社小説新人賞受賞作、エヴァーグリーン・ゲームの感想を書きました。

 

エヴァーグリーン・ゲーム (ポプラ文庫)
エヴァーグリーン・ゲーム (ポプラ文庫)
 

 

 

エヴァーグリーン・ゲーム あらすじ

難病をかかえ、思うような学校生活をおくれず鬱屈していた透の人生は、チェスに出会ったことで大きく動き出す。

透と、同じく小児病棟のチェス仲間、輝(アキラ)と瑠偉(ルイ)の3人の絆は、多くの人とつながり、交わっていき……

世界有数の頭脳スポーツ・チェス。64マスの盤上で、今、人生が動き出す。

 

  • 著者:石井仁蔵
  • 発売:ポプラ社 2023/11/1
  • Kindle Unlimited:対象外
  • Audible(聴く読書):対象
    ▶︎5分間の試聴はこちら(リンク先で「▶プレビューの再生」を押下)
    書籍版に掲載されているチェスの盤面図が、Audible版に付属していないという難点はありますが、図がなくても勢いで読めるので問題なし!
    キャラクターの熱い気持ちが、朗読から伝わってきます。

    合わなければ体験中の解約OKで安心

聴く読書っていつ聴いたらいいの?Audibleの取り入れ方を解説しています▶聴く読書Audibleっていつ聴けばいいの?ぴったりハマる時間があるんです。

 

著者 石井仁蔵氏とエヴァーグリーン・ゲームについて

小説を書き続けて約20年、このエヴァーグリーン・ゲームでデビューを果たしました。

【Vol.7:石井仁蔵】編集者が注目!2024年はこの作家を読んでほしい! | ほんのひきだし

作中に登場するチェスプレイヤーたちの苦悩と挫折と、それでも前を向こうとあがこうとする姿は、石井先生自身の人生体験がとりこまれている、のかも。

石井仁蔵氏のXアカウントはこちら

 

ちなみに、単行本版(左)と文庫版(右)で表紙デザインが大幅に変わっています。爽やかさ溢れる単行本版も、クラシカルな文庫版も、どちらも素敵だなあ。

エヴァーグリーン・ゲーム
エヴァーグリーン・ゲーム (ポプラ文庫)

 

▼作品のイメージを映像化したショートフィルムも公開中▼

 

エヴァーグリーン・ゲーム 感想

この作品の何が素敵って、チェスっていいな〜!やってみたいな~!っていう気持ちになれるところ。

管理人わんこたんはチェスのプレイ経験皆無なのに、チェスゲームの美しくて、ハードで、スピーディで、魔法のような展開が、読んだ後もずっと記憶に残っているんです。

それくらい、チェスの魅力をあます所なく教えてくれる作品でした。

 

チェスを知らない多くの読者のために、将棋との比較でチェスを解説しているところもわかりやすい。

もちろん、将棋のほうがいい、チェスの方がいい、という対立論ではなく、将棋はこういうゲーム、チェスはこういうゲームなんだと、丁寧に描いているところも好印象。

手に汗握るラストの展開は圧巻でした。

 

伝説のチェス名局 エヴァーグリーン・ゲーム

作中で紹介される、伝説的なチェスの名局。

150年前にアンデルセンとデューフレンによってなされたとされるこの戦いは、非公式ながら、色あせない美しいチェスとして、今でも世界中で愛されているそうな。

より詳しく解説した動画がありましたので、ご紹介します。

 

 

冴理の母親に嫌悪感マシマシ

生まれつき全盲のチェスプレイヤー、冴理は、母親への反発心を糧にチェスに没頭していくキャラクター。

冴理の母親は、冴理にピアニストの道を歩ませたかったようですが、冴理は厳しいピアノの練習を拒否。冴理の妹、莉帆にピアノの才能が開花してこともあって、母親は冴理を見捨てるような態度をとります。

最初は、全盲の娘が自立して生きていけるように、親心から厳しい態度をとっているのかと思っていますが、冴理が性被害にあったときの「迷惑をかけるな」という冷たいセリフから、別に愛情のかけらもなく冴理を見捨てていたことが判明。

 

いやあ、ものすごーく胸糞悪い母親でしたね。最後に和解してはいましたが、正直、管理人わんこたんは、この母親のこと最後まで大嫌いでした。冴理のぶんまで、ここで怒りをぶつけちゃいます。

 

キャラクター造形が突飛すぎたかも

どのキャラクターからも、チェスにかける強い思いが伝わってきましたが、後半に行くにつれて人物像を「盛りすぎる」場面もチラホラ。

 

その最たる人物が、釣崎信生。

少年院あがりで、粗暴。チェスだけを愛しチェスだけを信じる彼は、その圧倒的な実力で並み居るプレイヤーをなぎ倒していきます。

釣崎はマフィアの一員なので、「臓器売買」やら「間男」やら「殺し」やらのワードが登場し、物語が急にきな臭く。

チェスにあまり関係ない文脈で使われる性的ワードが、本作を小~中学生に勧めづらいものにしてしているのも残念でした。

 

裏社会の人間もなんだかちぐはぐ。(「〜ネ」「〜アルヨ」なんてファンタジーな喋り方をするシンガポール系マフィア、現実にはいないでしょ)

 

釣崎に限らずですが、キャラクターを印象付けるためでしょうか、設定を加えすぎたあまり、現実なのか、ファンタジーなのか、世界観がぼやけてしまったように思います。

釣崎をここまで突飛なキャラクターにしたり、架空の悲劇的な疾患(輝が治療していた「ジェフビッチ症候群」や、透が抱える「全身型特発性神経不全症」)を登場させたりしなくても、すばらしい物語として成立したと思うので、そこは残念でした。

 

爽やかで、希望に満ちたクライマックス

決して交わるはずの人生が、チェス盤の上で交錯する。

物語の発端となった、輝、透、瑠偉という3つの光が、多くの人たちを照らし、その人生をチェスワングランプリというひとつの舞台に導いていくのが印象的でした。

苦手なキャラクターもいましたが、希望に満ちた結末へと収束してくれて、一安心。

釣崎も、最後までヒール役でありつつ、憎めないキャラクターとしていい味だしていましたね。

間違いなく、チェスの知名度アップに貢献した作品だと思います。

 

エヴァーグリーン・ゲーム (ポプラ文庫)
エヴァーグリーン・ゲーム (ポプラ文庫)
 

 

エヴァーグリーン・ゲーム の次に読みたい おすすめ作品

若い力が、ぶつかり合い、磨きあう小説を中心に。

 

蜜蜂と遠雷/恩田陸

 

どこまでも高みを目指す、才能たち

ピアノコンクールで競い合う4人のピアニスト。

若く、荒々しくも、どこまでも純粋で透明な才能がぶつかり合う演奏描写は、本当に音楽が聴こえてくるよう。

管理人わんこたんは、あまりに濃厚な音の奔流に、読み終えた後は長距離を走り切ったように感じるほどでした。

ほとばしる音楽のエネルギーに満ちた、本屋大賞受賞作品です。

 

蜜蜂と遠雷(上)
蜜蜂と遠雷(上)
 

 

感想記事はこちら▶︎タイトルの意味を考察!蜜蜂と遠雷(原作小説版)の読書感想文 - わんこたんと栞の森

 

地雷グリコ /青崎 有吾

 

天才高校生たちの、頭脳戦!

「グリコ」や「だるまさんが転んだ」など、誰もが知っているおなじみのゲーム(※ただし特殊ルールあり)に、挑むのは、勝負事にやたらと強い、ちょいギャル女子高生!

ゲームの攻略に、見え隠れする過去の謎。読む手がとまらなくなる頭脳バトルミステリーです。(人は死なないのでご安心を。)

 

地雷グリコ
地雷グリコ
 

 

紹介記事はこちら▶友情×青春×爽快頭脳バトル! 地雷グリコの感想 - わんこたんと栞の森

 

宙わたる教室 /伊与原 新

 

教室で学ぶことを、あきらめない

不良、保健室登校、ママ、おじいちゃん。年代も背景もバラバラな、定時制高校の生徒たちが、学会発表を目指す!?

様々な理由でふつうの高校に入れなかった彼らが、時にぶつかりあいながらも科学の力で「やりたいこと」を取り戻す感動の青春物語。

教室ではなんだって作れる。青空だって、雲だって、火星だって。

NHKによるドラマ版も非常に良かったです。アマプラで観られます

 

宙わたる教室
宙わたる教室
 

 

感想記事はこちら▶︎原作もNHKドラマ版も、すんごく良かった 宙わたる教室 感想 - わんこたんと栞の森

 

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