目が覚めるとそこは深紅の大地だった?
突如「火星の迷宮」に放り込まれ、デスゲームに参加させられる男女の運命は。
血で血を洗う凄惨な展開だけど、読むのがとまらない!貴志祐介作品の中でも人気の高い傑作ホラーゲーム、クリムゾンの迷宮の感想を書きました。
クリムゾンの迷宮 あらすじ
藤木芳彦は、深紅の岩山の中で目覚めた。ここに来るまでの記憶は、ない。
そばの携帯用ゲーム機には、
「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」というメッセージ。
藤木は、同じくゲームに放り込まれた、大友 藍とともに、生き残りをかけたサバイバルに挑む。最初の選択肢「サバイバルアイテム」「護身用アイテム」「食料」「情報」の4択で、藤木は「情報」を選択するのだが、それは、血で血を洗う凄惨なゲームのはじまりだった……
デスゲーム小説の元祖であり、傑作。日本を代表する、傑作ホラー小説。
- 著者:貴志 祐介 → Amazonの著者作品一覧はこちら
- 発売:KADOKAWA 2002/11/08
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象
▶︎5分間の試聴はこちら(リンク先で「▶プレビューの再生」を押下
サバイバルアイテムの一覧表などが登場するので、初読の際は文字の書籍のほうが分かりやすいかも。でも、マスコットキャラ、プラティくんのファンキーなセリフなど、朗読ならではのお楽しみもあります。
気になる方は、ぜひチェックを!
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著者 貴志 祐介氏について
日本を代表するホラー小説作家。デビュー作は十三番目の人格 ISOLA。ホラーだけでなく、人間ドラマ、ミステリーそしてSFと、幅広い要素が盛り込まれ、読者を楽しませてくれます。
以下に代表作をご紹介します。(※書影クリックでAmazonの作品ページにジャンプ)
実写化・アニメ化・等のメディアミックスも多数。
なお、管理人わんこたんは新世界よりが大好き!小説版もアニメ版も制覇しております。えへへ。
クリムゾンの迷宮 感想
クリムゾンの迷宮の発行は1999年ですが、実はあの バトル・ロワイアル(懐かしい!)とほぼ同時期の刊行。
日本のデスゲームブーム(?)の先駆けとなる二大巨頭が同時にこの世に生まれていたなんて、ちょっと感動しちゃう。というか、当時はデスゲーム、なんて言葉もなかったような。
「バトロワ」が中学生のクラスメイト同士の殺し合いで、グロさと、感情的な描写のシーンが目立つ一方、クリムゾンの迷宮はあくまで「サバイバル」に徹し、物語がドライに展開していくのが見どころかなと思います。
序盤のアイテム分配でワクワク
最初にアイテムの分配があったり、選ぶ道によって命運が決まったり……不謹慎ながら「ワクワク」させられるのはさすが。
特にアイテムは役立ち度が18段階で表記され、設定の細かさが不穏ながらも興味をひきます。
アイテムは全部で79品目あったようですが、作中では登場ないものも。貴志先生の設定上では、どんなアイテムがリストアップされていたか、気になる……
リアルなサバイバル描写に、以降の作品の片鱗を感じる
食糧を現地調達するシーンがありますが、これがまたリアリティがあって、焼いたトカゲなんかグロテスクなのにどこかおいしそう。野生動物やら生態系の描写がけっこう細かいんですよね。
後年の作品、新世界よりや、梅雨物語にも、動植物の生態が物語のヒントになるシーンがあるのですが、クリムゾンの迷宮のころから、その片鱗があったのだなあ。とちょっと感動。
登場する食料のひとつ、ウィチェッティ・グラブについて、動画がありました。木の幹の中にもいるんですね。焼かずに丸かじりしてるし。
作中だとけっこうおいしそうだったけど、こうしてみるとやっぱり抵抗感がありますw
罠アイテムと食屍鬼と
この作品が、他のデスゲームと一線を画しているのは、「とある罠アイテム」の存在。
一般人を巻き込む系のデスゲームって、どうしても人を殺すまでの抵抗感があって、展開がもたつきがちですが、罠アイテムによってその葛藤をすっとばし、食屍鬼を登場させて、サクッと殺人ゲームに持ち込むスピーディな展開を可能にしています。
しかも、腐敗しやすい生鮮食料品をどうやって保存するか……?というところで出てくる解答がまさかの「持ち運べるお弁当作り」
この発想、さすが貴志先生!というほかない。狂ってやがる。
やっぱりクリムゾンの迷宮は楽しい
とりえのない中年男性が、極限状況でサバイバルに目覚め、ヒロイックに活躍する、という展開だったり、途中に濡れ場があったり、あらためて読むと、若干のお約束展開が鼻につかないでもないです。
でも、綿密なサバイバル描写に、他にはない罠、何よりも、おもしろくてぐいぐい読めちゃうのは、さすが貴志祐介作品、といったところ。
エンタメ系ホラーの傑作として、ぜひ読んでみてほしいなあと思います。
クリムゾンの迷宮の次に読みたい おすすめ作品
「ゲーム要素のあるエンタメ小説」を集めてました。あなたは勝ち残ることができるか?それとも……
地雷グリコ /青崎 有吾
勝負ごとにめっぽう強い女子高生、射守矢真兎(いもりや・まと)が、並み居る強敵をなぎ倒す!
地雷グリコに坊主衰弱、フォールームポーカー、などなど、名前だけで気になるゲームが盛りだくさん。ゲーム×青春×ミステリーが楽しい1冊です。
(人は死にません、ご安心を!)
インシテミル /米澤 穂信
時給112,000円という破格のバイトの求人。それは参加者を閉じ込め、報酬をめぐって殺人をさせる、ゲームのような悪夢だった。
はいはい、よくあるデスゲーム系。かと思いきや、本格ミステリー愛にあふれた小ネタの数々に、思わずニヤリ?古今東西の推理と凶器の世界に、あなたも「インして」みませんか?
感想記事はこちら▶︎インシテミル 原作小説の感想と、作中登場ミステリーの解説 - わんこたんと栞の森
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