一緒に絶望いたしましょうか/狗飼 恭子
感想を書きました。
あらすじ
心にわだかまりを抱えながら結婚生活を送る「
突然泊まりにくるだけの恵梨香に片想いする「
全く接点のなかった2人の周りに巻き起こる、さざなみのような「事件」。そして事態は予想もつかない方向へと転がりだす。
深い絶望とささやかな希望を描いた、恋愛小説です。
本編を読み終わったら、忘れずに冒頭部分を読み返そう!
- 著者:狗飼 恭子
- 発売:幻冬舎 2020/2/6
- Kindle Unlimited:対象外
- Audible(聴く読書):対象外
著者 犬飼恭子さんについて
1974年生まれ、恋愛小説を得意とする作家さんで、なんと高校生の時から作品を発表!
わんこたん的には著者20歳の時のデビュー作となる、短編集「冷蔵庫を壊す」が気になるので、次回はこちらを読んでみようと思います。
「一緒に絶望いたしましょうか」
感想と好きなキャラ、セリフ
個性的なキャラクターたちの突拍子もない行動に、振り回されつつも、徐々にそれぞれの内面が明らかに。
印象的なセリフで、独特な世界観を保ちつつ、
吉本ばななさんのキッチンを彷彿とさせる、透明で率直なセリフたち。
よくこんな表現を思いつけるなあ、と感心しながら読んでいました。
以下に、「一緒に絶望いたしましょうか」を読んで、わんこたんの心に響いたセリフをまとめます。
キムさん
本作の唯一の良心。香子さんと結婚し、韓国料理屋を営んでいます。
ちょっと適当で突拍子もなくて、いろいろ苦労もある。けれどそれを表に出さない。
奥さんである、香子さんの「絶望」を受け止めようとするキムさん。
香子さんは絶望から逃れようとどこかに行ってしまうけど、それでも香子さんを探しに行こうとするキムさん。そのときのセリフが、どこまでも明るくて好きです。
「一緒に絶望できるのが夫婦ってもんなんだよ」
津秋ちゃん
本作の主人公の1人。キムさんの営む韓国料理屋でバイトをしています。
冒頭で、同居する「彼」との心のすれ違いが描写されますが、その実態は、、、?
津秋ちゃんは大切な人を亡くし、
「不在」を通して描かれる喪失感と絶望感が印象的でした。
テーブルの向かいに、二人掛けソファの半分に。「不在」はいつも存在した。
古沢さん
キムさんのお店の常連である女子大学生。
妻帯者であるキムさんに惚れ、一方的にキスしようとし、困ったキムさんが思わず彼女を突き飛ばして怪我をさせてしまいます。(超軽症)
そのケガをネタにキムさんを強請り、四万円をゲット。
書きだすとなんだか最低なキャラですが、そんな彼女が、津秋ちゃんの心の支えになる。というのが、また面白かったです。
失恋してもどこかさっぱりとしている古沢さんの言動に、なんとなく憧れてしまうわんこたんでした。
「ちなみになんで四万円だったんですか?」
「四十代男性の、一ヶ月のお小遣いの平均金額だから」
一ヶ月くらい苦しんでもらえたらそれでいいのよ
香子さん
キムさんの奥さん。
他の男の子の家に泊まったり、キスしたりと、奔放に見えて、その実
津秋ちゃんと同じ、とある死による「不在」を抱えていますが、「不在=絶望」と生きて行くことを決意し、最後に姿を消します。
「絶望はとても強い。全ての色を飲み込んでしまう。しかもとても足が速いのよ絶望は。逃げても逃げても追いつかれる。
だから共存することにした 」「でもそう決めたのはわたしだけだし、うちの旦那を付き合わせるのは可哀想だから、わたしは絶望をつれて行くことにしようと思うの」
「微妙でリアルな人間関係」を描いた小説たち
ただの「友情」「恋愛」で終わらない、「汚さ」「ずるさ」を描いた恋愛小説の方が、リアルさがあって、わんこたんは好みです。バッドエンドも大歓迎!
恋愛小説ではないですが、「
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読み手は、アニメ「呪術廻戦 虎杖悠二」役でお馴染みの榎木淳弥さん!
プロの声で小説を読んでもらうの、わくわく。
「肉料理メニュー」を目次にみたてた短編集。料理をキーワードに、ままならない人生の姿が描かれます。
「豚足煮込み」をここまでおいしくなさそうに描く小説を、わんこたんは他に知らない。
肉汁したたる美味しいグルメ小説を期待すると後悔するよ
紹介記事はこちらです。