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(読了)読書感想文/ギルガメシュ叙事詩

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FGOやってるので読んでみた的な。
(オタクなのでつい原典を調べてしまう的な)

 

概要

エンタメとしてのギルガメシュ叙事詩ではなく、
原典をできる限り忠実に和訳することを試みた、
学術研究の側面が強い作品です。

本文から一部抜粋すると、こんな感じ↓

  

ギルガメシュは首すじめがけて切りつけた

彼の友エンキドゥは〔二度かさねて切りつけた〕

三度〔目にフンババはついに〕うち倒された

大混乱が起〔こり、〕静けさが〔やってきた〕

森の番人フンババは大地に〔うち倒さ〕れた

二ベールにわたって杉の木〔のざわめきが聞こえた〕

 

ギルガメシュ叙事詩のおおもとはシュメール語で書かれていたようなのですが、
そこからヒッタイト語、アッシリア語、バビロニア語などの諸言語に訳されていて、
いろいろな版がちょっとずつ断片的に現存しています。

 

当然ながら、欠けている部分も多々あるし、
補足はされているもののわかりづらい箇所はたくさんあるのですが、

それでも

 自分は数千年前の人々と同じ目線で
世界最古の物語を読んでいるのだな、、、

ちょっと感動しますw

 

強いけど、不完全な王様と、神の作った人形の物語
と、書くだけで、すでにエモい感じがしますね。
Fateなど、エンタメ作品として形を変えながら、
現在でも親しまれている理由がよくわかります。

 

世界の伝説との類似性

旧約聖書に出てくる大洪水と同じモチーフのエピソードが
出てくるのもそうですが、(当然、ギルガメシュ叙事詩のほうが古い)


「冥界めぐり」によって、で死者を連れ帰ろうとするエピソードも、
ギリシャ神話(オルフェウスのはなし)や日本神話(イザナギのはなし)と
よく似ています。冥界を下るとペナルティはあるところもそっくり。

(冥界の7つの門をくぐるごとに召し物をとられていく
イシュタルのはなしも収録されています。
これがFGOの元ネタなのね、とニヤニヤしてしまいます。)

この類似性が偶然なのかどうかはわかりませんが、
死んだ人を惜しむ気持ち、生き返ってほしいなあと思う気持ちは
古来から人類共通の願いだったのかなあ。と感じさせられます。

 

ギルガメシュ王は実在の人物がモデル

様々な研究資料からウルクの城壁を築いた
ギルガメシュ王なる人物が実在していたことが、わかっているそうです。
これは知らなかったので驚きでした。

叙事詩では強くて勇敢、でも暴虐無人で人々を困らせたり、
と、欠点をわりとしっかり書かれています。
当時の人々から見た「王」はいったいどんな人物だったのでしょうか。

 

注意点

本書は再編されてはいますが、初版がかなり古い本なので、
最新の研究、発掘成果は反映されていないようです。

 また、電子書籍版を買ったのですが、脚注にリンクがないんですよね、、、
膨大な脚注にリンクを付けるのも大変な作業とは思いますが、
そこはやっぱり電子書籍の長所を生かしてほしいなあと思いました。

 

おしまい!

 

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wan3ko5tan.hatenablog.com