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江戸川乱歩「人間椅子」の感想と、その世界観を堪能できる作品たち

記事内のリンクには広告を含みますが、本の感想は全て正直に楽しく書いてます。ぜひ最後までお楽しみください★

「人間椅子」
あまりにも有名な江戸川乱歩の小説。
その世界観を十二分に味わえる
作品たちをご紹介します。

あの「結末」についても考察してみました。

まずは江戸川乱歩の「人間椅子」

原作の著作権は切れており、
Amazon(kindle)の青空文庫であれば
無料で読むことができます。

 

以下があらすじです。
短いので20分もあれば読めます。

ある女性作家のもとに届いた
一通の手紙。
それは差出人である椅子職人が
自身の罪を告白した手紙でした。
その恐るべき内容とは?

読む前は、
「人間の体をパーツに椅子を作成する
猟奇的なお話かなあ」なんて
勝手に想像しておりました。

猟奇的な展開は一切ありませんが
それよりもずっと不気味な、
「背中に張り付くような」不安感を
味わうことができます。

以下は乱歩の「人間椅子」読了を
前提とした内容となっています。
ぜひ、人間椅子を読んでから、
続きをお読みください。

「人間椅子」結末の解釈について考察
(ネタバレ注意)

人間椅子は、
創作話とも実話ともとれる、
読者によって解釈が分かれる
結末となっています。

が、

私は「実話であった」説を推したいです。

ポイントは最後に登場するこの一文

ある理由の為に、原稿の方は、
この手紙を書きます前に
投函致しましたから、
已に御覧済みかと拝察致します。

「ある理由の為」、が何を指しているのか
作中では明示されていません。
私は「ある理由」
=女性に事情を知らせないまま
一通目の手紙を読ませて恐怖を与えるため
と解釈しました。

 

そして
恐怖におののき震える女性の肢体を
実際に椅子の内側から堪能していた、、、
と。

いやーーーー変態ーーーーーー!!

 

さらに女性が一通目の途中で恐怖して
離席することを見込んで、
女性が離席したタイミングで
自分も椅子から抜け出して、
郵便受けにあらかじめ用意しておいた
ニ通目を投函した、、、なんて😱😱😱

 

もちろん、これは私独自の妄想ですが、
このように読者が想像する余地を残し、
楽しませてくれる点が、本作が時代を超えて
長く読まれている理由のひとつなのでしょう。

 

人間椅子に登場する二六時中ってなに?
四六時中なら知ってるけど、、、

 

「二六時中」は「1日が12刻」であることから
「一昼夜、一日中」や「いつも、年中」
という意味で使われる言葉じゃ。
「四六時中」は1872(明治5)年に
24時間制が採用されたあとから、
「二六時中」と同じ意味で使われるように
なったようなんじゃ。

参考

二六時中? 四六時中? - ことばマガジン:朝日新聞デジタル

江戸川乱歩といえば、、、
名探偵 明智小五郎!!!
その彼のデビュー作が「D坂の殺人事件」です。
ほろろさんのブログで紹介されていますので、
是非ご覧ください。

apotheker2.fun

 

人間椅子ー乱歩奇譚ー

人間椅子ー乱歩奇譚ーは同名のアニメ作品の
ノベライズ小説です。
あらすじ

始業前の教室。
何者かに眠らされていた
小林少年が目覚めると、
そこにあったのは変わり果てた
担任教師の姿だった。
バラバラにされ椅子の形状に
組み合わされた首無し死体――。
高校生にして名探偵の明智は、
容疑者となった小林に、
自分で事件を解決してみせろというのだが……。
全体的な書き口はラノベ文体であり
人によっては受け入れづらいかもしれません。
ラノベ(ライトノベル)文体:
しゃべり口調、効果音や擬音を多用しつつ、
どこか芝居がかった大仰なセリフを
多用する文体
※わんこたんの独断です


ですが
犯人のモノローグ(と思しき箇所)は
原作の人間椅子にかなり寄せた表現を
しており、ノベライズならではの工夫を
楽しむことができます
以下に一例を示します。

 

原作 人間椅子より引用

何という坐り心地のよさでしょう。
フックラと、硬すぎず軟かすぎぬ
クッションのねばり工合、
態と染色を嫌って灰色の生地のまま張りつけた、
鞣革の肌触り、
適度にオンモリとふくれ上った、
両側の肘掛け、それらの凡てが、
不思議な調和を保って、渾然として
「安楽(コンフォート)」という言葉を、
そのまま形に現している様に見えます。

 

人間椅子ー乱歩奇譚ー より引用

肘掛けの優しい曲線、縊れのある美脚、
包み込むように抱擁する、
ふくよかな緩衝座布団、艶めく皮革の淫靡な光沢。

(中略)

あの、母の膝の上での尊いひと時こそが、
文字通り、私にとっての
「安楽(コンフォート)」であったのだと。

 

椅子を女性の肉体のように表現したり、
安楽(コンフォート)のルビなど、
原作を意識していることが見て取れます。

 

この作品、実は前半を読んだ時点では
わんこたん評価「低」でした。

江戸川乱歩作品の名を借りて、
見栄えのするエログロ耽美で
まとめただけでしょ。
その手にはのらないもん!!

ところが、ラストではきっちり
「原作の人間椅子のテーマ」
に回帰してくる

ことに驚かされました。

 

 原作がアニメであり、
キャラ付け、セリフが
かなりぶっ飛んでいる点。

推理物の体をしてはいますが、
色々と無理のある点。
は難点ですが、
あくまでエンターテイメント的に
楽しんでほしい作品であり、

そういうのが気にならない方には
大変オススメです!
続編もでていますよ~

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魔人探偵脳噛ネウロ 第11巻収録
第92話 「机【つくえ】」/松井優征

2005年~2009年に週刊少年ジャンプで
連載されていたマンガです。

歴代の所有者の命をうばってきた
「呪いの机」が登場する回ですが、
(椅子を含む)家具に魅入られすぎた職人が
登場します。

ただし、

乱歩の作品の椅子職人は
「椅子に座った人間との接触」
に悦楽を見出す
のですが、

ネウロに登場する職人は
「家具そのものに崇高さを見出し
家具と一体化すること」

を重視し、
座る人間のことをむしろ軽視しています。
ある意味、乱歩の人間椅子とは

対極的なスタンスともいえます。

 

なお、人物の変態性は乱歩の人間椅子に
負けず劣らずです。

いやーーーー変態ーーーーーー!!

 

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※当ブログでは松井優征先生を
応援しています。
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いかがでしたでしょうか。
この記事が、よき人間椅子ライフの
助けになれば幸いです。

他に「人間椅子」関連作品があれば
ぜひコメント欄で教えてほしいんじゃ

いや、正直もうおなか一杯だよ?!

おしまい。