天才ギタリストの蒔野と通信社記者の洋子。出会った瞬間から強く惹かれ合った2人だが、やがてお互いの存在にやがて苦悩することに、、、
「大人に贈る恋愛小説」の感想を正直に書きました。
あらすじ
福山雅治さん & 石田ゆり子さん 主演で映画化!
小説内で蒔野が演奏するクラシックギターは、情景が思い浮かぶような美しさに溢れているので、そこを福山雅治さんがどのように演じるかが注目ポイントです。
映画はU-NEXTの無料体験でみることができます。ついでに小説版も同じく無料体験で読めます。(31日の無料期間終了前に解約すれば、費用はかかりません)
ちなみに小説冒頭で蒔野が演奏するプログラム。
「メインは新日本フィルとの共演によるアランフェス協奏曲で 、三度に及んだアンコ ールでは 、ラウロの 《セイス ・ポル ・デレ ーチョ 》 、蒔野自身が編曲したブラ ームスの間奏曲第二番イ長調 、更には武満徹の編曲によるビ ートルズの 《イエスタデイ 》」
めちゃくちゃ豪華だ!
率直に。
わんこたんはこの小説を好きになれませんでした。理由を以下に書いていきます。
「蒔野」と「洋子」に感情移入できない
お互い愛し合っているはずなのに、その愛に自身がついていけない。そんな2人の苦悩が綴られていきます。
しかし、ギタリストと通信社記者という職業が、私、わんこたん(普通のサラリーマン、普通に出勤してお給料もらう生活)とかけ離れすぎて感情移入が難しかった。
特に洋子。彼女は過去に中東での取材中にテロに巻き込まれた、という経験があります。その後、薪野との幸せの中で、テロの記憶がフラッシュバックし、PTSD状態に。これがいかほどの苦しみか、想像が追い付かない。
「蒔野」と「洋子」のキャラが苦手
洋子はジャーナリストゆえか、正論で自分も相手を追い詰めるタイプ。
リチャードの職業のことは以前から知ってたよね?その議論は結婚前にしておこ?
と、ここはリチャードに同情。
一方の蒔野。彼が全くおもしろくない話をし、周りが苦笑いするシーンが何箇所かあるのですが、この「話」が本当におもしろくない!読みながら蒔野への好感度がどんどんさがるほどの「全く面白いはなしを狙って書く」の、逆にすごい。
展開の唐突さが気になる
序盤では想定していなかったのか?と疑いたくなるほど終盤の展開はちぐはぐ。本作はもともと新聞の連載小説であり、そのため途中から展開を修正したのでしょうか。
例えば、
洋子の父親に関する真相、難民となった洋子の仕事仲間、ジャリーラの苦しみなどのサイドエピソードの描写は美しい。ゆえに最後まで中東問題、民族紛争問題描写を描き切って欲しかったなあと、もったいなくも感じました。
ストーリーを支える、マネージャー「三谷」
(偽のメールっていうのが、ちょっとファンタジー的ですが、これがないと恋愛小説って展開しづらいよね。)
偽のメールのことをひた隠しにして、スランプに苦しむ蒔野を支える三谷。やがて三谷と蒔野は結婚し子供を授かるも、人知れず偽メールの過去に苦しむ三谷。彼女の苦悩を想像するだけで胃がキリキリし、彼女がどうなるのか、偽のメールはバレてしまうのか、そこが気になる一心で、この本を読み進めました。
結局最後までもやもやしながら読み進めたなあ。なにかすっきり楽しい頭空っぽになれる本はないかなあ。
恋愛小説に疲れたら、人間やめてヤギになるのもおすすめじゃぞ
おしまい!